事務職の書類選考を突破する履歴書志望動機の書き方と経験別例文集

安定した働き方やオフィスワークへの憧れから、事務職は転職市場において常に高い人気を誇る職種です。有効求人倍率が低く、一つの求人に多くの応募者が殺到するため、経験者であっても書類選考で不採用となるケースは珍しくありません。そのような競争率の高い環境で採用担当者の目に留まるためには、単に事務がしたいという希望だけでなく、実務能力や適性を論理的にアピールする志望動機が必要不可欠です。ここでは事務職の採用担当者が重視するポイントを押さえつつ、未経験者と経験者それぞれの状況に合わせた、採用に直結する志望動機の書き方について詳しく解説します。

事務職の採用担当者が志望動機で確認している3つの適性

事務職の選考において、採用担当者が履歴書の志望動機から読み取りたい要素は明確です。以下の3つのポイントを意識して文章を構成することで、説得力が格段に向上します。

1つ目は正確な事務処理能力と責任感です。

事務職の基本は、書類作成やデータ入力などをミスなく遂行することです。スピードも大切ですが、それ以上に正確であることが信頼につながります。ダブルチェックを怠らない責任感や、細かい作業を丁寧に行える幾帳面さは大きなアピールポイントになります。

2つ目は社内外と円滑に連携するコミュニケーション能力です。

事務職は一人で黙々と作業をするだけではありません。電話対応や来客対応、社内スタッフとの連携など、多くの人と関わりながら業務を進める調整役としての側面があります。相手の意図を汲み取り、円滑に業務を進めるためのコミュニケーション能力は必須です。

3つ目はPCスキルへの適応力と業務改善への意識です。

ワードやエクセルなどのPCスキルは、実務経験がなくても基本操作ができること、または現在学習中であることを伝える必要があります。また、単に言われたことをやるだけでなく、業務効率化のために工夫をする改善意識があるかどうかも重要な判断基準です。

説得力を高める志望動機の基本構成

読みやすく熱意が伝わる志望動機には、一定の型があります。以下の3段構成を意識して文章を組み立てると、論理的で分かりやすい内容になります。

まず書き出しは結論から始めます。

なぜ事務職なのか、その中でもなぜその会社なのかを簡潔に述べます。

次にその理由に至った根拠やエピソードを記述します。

前職での経験の中に事務職との共通点やポータブルスキルを見出し、適性があることを説明します。具体的なエピソードを加えることで説得力が増します。

最後は入社後の貢献や抱負で締めくくります。

入社後に自分の強みをどう活かして貢献したいかという決意を述べ、ポジティブな印象を残します。

未経験から事務職へ挑戦する場合の書き方と例文

未経験から事務職を目指す場合、実務経験がないことを懸念される可能性がありますが、それを補うポータブルスキルをアピールすることで評価を高めることができます。特に接客業で培ったホスピタリティや、前職で行っていた事務作業の経験は、事務職の現場でも即戦力として期待される要素です。

接客業の経験を活かした志望動機の例文を紹介します。

前職ではアパレル販売員として3年間勤務し、接客販売とともに店舗の在庫管理や売上データの入力業務も担当してまいりました。その中で、数字を正確に管理し、店舗運営を裏方から支える業務にやりがいと適性を感じるようになり、事務職として専門性を高めたいと考えるようになりました。貴社は顧客満足度を重視した丁寧なサービスを展開されており、私の強みである相手の意図を汲み取るコミュニケーション能力と、正確な作業を心がける姿勢を活かして貢献したいと考えております。現在はMOS資格の取得に向けて勉強中であり、早期に戦力となれるよう努力いたします。

経験者がキャリアアップを目指す場合の書き方と例文

すでに事務職としての経験がある場合は、即戦力としての実務能力を具体的に提示するとともに、なぜ環境を変えたいのかという前向きな理由を説明することが重要です。

一般事務から営業事務へキャリアチェンジする場合の例文を紹介します。

前職ではメーカーの一般事務として、データ入力や書類整理、電話対応を担当しておりました。日々の業務の中で、正確性を徹底することはもちろん、効率化のためにエクセルのフォーマットを改善するなど、工夫を凝らしてまいりました。その経験を活かし、よりスピード感を持って事業に貢献したいと考え、営業部門と密接に関わる貴社の営業事務を志望いたしました。営業担当者の動きを把握し、先回りしてサポートを行うことで、チーム全体の売上目標達成に貢献できる存在になりたいと考えております。

事務職の志望動機で避けるべきNG表現と注意点

事務職の志望動機において避けるべき表現がいくつかあります。これらを使ってしまうと、仕事への熱意が低い、あるいは受動的であると判断されるリスクがあります。

まず、サポートしてあげたいという上から目線の表現や、過度な受け身の姿勢は避けます。

誰かの役に立ちたいという動機は大切ですが、それだけでは指示待ち人間と思われるリスクがあります。自ら考えて動くことで役に立ちたい、サポートすることで利益に貢献したいという、能動的な姿勢を加えることが大切です。

次に、条件面のみの志望動機は避けます。

残業が少なそうだから、座って仕事ができるからといった理由は、仕事への意欲が低いと判断されるため避けるべきです。あくまで仕事内容への興味や貢献意欲を主軸に置く必要があります。

最後に、具体性のない抽象的な内容は避けます。

どの企業でも通用するような貴社の理念に共感しましただけの志望動機ではなく、その企業独自の強みや社風に触れることで、志望度の高さを裏付ける工夫も忘れないでください。

事務職は企業の活動を支える縁の下の力持ちです。正確性とコミュニケーション能力、そして能動的に業務に取り組む姿勢を履歴書でアピールし、採用担当者に信頼される応募書類を作成してください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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