履歴書の志望動機で離婚を理由にするのはアリか。採用担当者に安心感を与える書き方と例文
離婚を機に心機一転して仕事を探したり、パートから正社員への転職を目指したりするケースは少なくありません。生活を支えるためにどうしても仕事が必要だという切実な事情がある中で、履歴書の志望動機に離婚したためと正直に書いてよいものか、それとも隠すべきかと悩む方は多いでしょう。プライベートな事情をどこまで伝えるべきかは、採用担当者がどのような視点で応募者を見ているかを知ることで判断できます。ここでは離婚という転機を、仕事への責任感や長く働きたいという意欲といったポジティブなアピールに変換し、書類選考を通過するための志望動機の書き方について詳しく解説します。
離婚という事実は志望動機にわざわざ書く必要はありません
まず大前提として、離婚そのものはプライベートな事情であり、履歴書の志望動機欄に必ずしも記載する必要はありません。採用担当者が知りたいのは、あなたがその会社でどのように活躍してくれるか、そして長く定着してくれるかという点です。離婚しましたと書くことで、家庭の事情で休みがちになるのではないか、精神的に不安定ではないかと不要な懸念を抱かせてしまうリスクもあります。したがって、基本的にはライフスタイルの変化によりや一身上の都合によりといったオブラートに包んだ表現に留めるか、あるいは離婚には触れずに仕事内容への興味やキャリアプランを中心に構成するのが最も安全でスマートな書き方といえます。
離婚を伝える場合は責任感と定着性の強さに変換します
もし面接の流れや、扶養家族の変更手続きなどの関係で離婚の事実を伝える必要がある場合、あるいはシングルマザー(ファザー)として働く覚悟をアピールしたい場合は、書き方に工夫が必要です。単に離婚して生活が苦しいからという理由では、同情を誘うだけになりビジネスの場では評価されません。これを一家の大黒柱として長く安定して働き、会社に貢献したいという強い責任感や定着意欲に変換して伝えます。背負うものがある人は簡単に辞めないという点は、企業にとっても大きなメリットになります。生活基盤を安定させたいという本音を、御社で腰を据えてキャリアを築きたいという前向きな言葉に置き換えることが重要です。
正社員を目指す場合の志望動機例文
パートから正社員へ、あるいはブランクを経て正社員を目指す場合、安定して働ける環境と、仕事への意欲をセットで伝えます。
例文
貴社の社員一人ひとりの働き方を尊重し、長期的なキャリア形成を支援する環境に魅力を感じ志望いたしました。この度、生活環境の変化に伴い、一家を支える柱として責任を持って長く働きたいという決意を新たにいたしました。前職では事務職として正確な業務遂行に努めてまいりましたが、今後は正社員としてより責任ある業務にも挑戦し、貴社のバックオフィス部門を支える即戦力として貢献したいと考えております。家族の協力体制も整っており、業務に支障をきたすことなく、安定して勤務できる環境で全力を尽くします。
パートやアルバイトに応募する場合の志望動機例文
家庭との両立を重視しつつ、限られた時間で成果を出す姿勢をアピールします。
例文
自宅から貴店までは徒歩圏内であり、通勤時間が短いため、家庭と仕事を両立しながら無理なく長く勤務できる環境であると考え志望いたしました。現在は子供の手が離れつつあり、生活の基盤を整えるためにも、安定したシフトでしっかりと働きたいと考えております。前職での接客経験を活かし、明るい笑顔と丁寧な対応でお客様に喜んでいただけるよう努めます。急な欠員が出た際などにも、近隣在住の強みを活かして柔軟に協力させていただきたいと考えております。
子育てとの両立に対する懸念を払拭する書き方
離婚を機に就職活動をする際、採用側が最も懸念するのは子供の病気などによる急な欠勤や早退です。この不安を払拭するために、志望動機や本人希望記入欄、あるいは面接の場で、サポート体制があることを伝えておくと有利に働きます。実家の両親のサポートが得られる、病児保育の登録を済ませているといった具体的な対策を伝えることで、仕事に対するプロ意識と準備ができていることを証明できます。もちろん嘘をつく必要はありませんが、できる限りの対策を講じている姿勢を見せることは、信頼獲得につながります。
ネガティブな事情をポジティブなエネルギーに変える
離婚は人生の大きな転機ですが、それを乗り越えて働こうとするエネルギーは、仕事における粘り強さや困難に立ち向かう力にも通じます。履歴書においては、過去の事情を嘆くのではなく、これからの未来をどう切り拓いていきたいかというビジョンを語ることが大切です。生活のためという切実な動機を、会社への貢献意欲と責任感というビジネススキルに昇華させ、自信を持って書類を提出してください。あなたの覚悟は、必ず採用担当者の心に響くはずです。





