履歴書の志望動機で福利厚生を挙げるのはNGか。好印象を与える書き方と言い換えテクニック
転職活動において企業を選ぶ際、給与や休日、手当といった福利厚生は非常に重要な判断基準です。生活を安定させたい、プライベートも大切にしたいと考えるのは働く人間として当然の心理です。しかし履歴書の志望動機欄に福利厚生が良いから志望しましたとストレートに書いてしまうと、採用担当者にマイナスの印象を与えてしまうリスクがあります。本音では福利厚生が一番の理由であっても、それをビジネスの場にふさわしい表現に変換して伝えることが書類選考を通過するための鍵となります。ここでは福利厚生を志望動機にする際のリスクと、採用担当者に好印象を与えるための言い換えテクニック、そして具体的な例文について詳しく解説します。
福利厚生をそのまま志望動機にすると評価が下がる理由
採用担当者は志望動機を通じて、応募者が自社でどのように活躍してくれるのか、仕事に対してどれほどの熱意を持っているのかを見極めようとしています。その中で福利厚生の良さばかりを強調してしまうと、仕事内容そのものには興味がないのではないか、条件がもっと良い会社があればすぐに辞めてしまうのではないかという懸念を抱かせてしまいます。また、会社から与えられる待遇(テイク)ばかりを求めて、会社に対して何を提供できるか(ギブ)という視点が欠けていると判断され、権利意識が強い受け身な人材だと敬遠される可能性があります。したがって福利厚生はあくまで働きやすさを支える基盤であり、メインの志望動機は仕事内容や貢献意欲に置く必要があります。
福利厚生をポジティブな働く環境に変換する思考法
福利厚生に魅力を感じたという本音を好印象な志望動機に変えるためには、福利厚生が整っていることによってどのようなメリットが生まれ、それがどう仕事の成果につながるかというロジックを組み立てることが重要です。例えば年間休日が多いということは、オンとオフの切り替えができ、業務に集中して高いパフォーマンスを発揮できる環境であると言い換えることができます。また産休や育休制度が整っていることは、ライフステージが変わっても腰を据えて長く働き続け、長期的に会社に貢献したいという定着意欲として表現できます。自分にとってのメリットを、会社にとってのメリットである生産性向上や長期就業に変換して伝えることがポイントです。
ワークライフバランスや休日を重視する場合の書き方と例文
残業が少ない、休みが取りやすいといった点を魅力に感じている場合、それを効率性や集中力のアピールにつなげます。
例文
貴社の業務効率化を推進し、メリハリのある働き方を推奨する社風に強く惹かれ志望いたしました。前職では長時間労働が常態化しておりましたが、限られた時間の中で最大限の成果を出すことこそがプロフェッショナルであると考えております。貴社のような生産性を重視する環境であれば、私の強みである集中力と段取り力を活かし、質の高いアウトプットを継続して提供できると確信しております。ワークライフバランスを保ちながら、常に万全の状態で業務に取り組み、貴社の事業成長に貢献いたします。
子育て支援や産休育休制度を重視する場合の書き方と例文
子育てとの両立や制度の充実を理由にする場合、制度を利用したいという姿勢ではなく、長く働きたいという覚悟を伝えます。
例文
貴社の社員一人ひとりのライフプランを尊重し、長期的なキャリア形成を支援する環境に魅力を感じ志望いたしました。私は仕事を通じて社会に貢献し続けたいという強い思いがあり、ライフイベントの変化にも柔軟に対応できる貴社であれば、キャリアを途切れさせることなく腰を据えて働けると考えました。制度に甘えるのではなく、整った環境があるからこそ業務時間内は最大限のパフォーマンスを発揮し、貴社のバックオフィス業務を支える即戦力として長く貢献したいと強く願っております。
教育制度や資格手当を重視する場合の書き方と例文
研修制度や資格手当が充実していることを理由にする場合、自身の成長が会社の利益になることを強調します。
例文
貴社の社員のスキルアップを全面的にバックアップする教育体制と、プロフェッショナルを育成する風土に感銘を受け志望いたしました。私は常に新しい知識や技術を習得し、業務の質を高めていくことにやりがいを感じる性格です。貴社の充実した研修制度や資格取得支援を活用させていただきながら、自らも主体的に学ぶ姿勢を持ち続けたいと考えております。高度な専門スキルを身につけることで、顧客に対してより付加価値の高い提案を行い、貴社の業績拡大に貢献できるよう尽力いたします。
志望動機において福利厚生はあくまでサブとして扱う
福利厚生をポジティブに変換したとしても、志望動機のすべてが福利厚生に関する内容になってしまうのは避けるべきです。採用担当者が最も知りたいのは、あなたがその会社で何を実現したいか、どのような仕事がしたいかという点です。志望動機全体の構成としては、まず事業内容や仕事内容への興味、そして自身のスキルがどう活かせるかという貢献意欲を主軸に据えます。その上で、福利厚生などの働く環境が整っていることが、その貢献を支えるための後押しになったという形で、補足的に付け加えるのが最もバランスの良い書き方です。仕事への熱意と、長く働きたいという誠実な思いをセットにして伝えることで、採用担当者に安心感を与える履歴書を作成してください。





