知人や企業から誘われた場合の履歴書志望動機はどう書く?「受け身」にならず採用を確実にする書き方と例文
知人からの紹介(リファラル採用)や、取引先からの引き抜き、あるいはスカウトサービスを通じたオファーなど、企業側からのアプローチをきっかけに応募するケースは珍しくありません。しかし、いざ履歴書の志望動機を書く段になると、「誘われたから応募しました」と正直に書いてよいものか、それとも通常の応募と同じように熱意をアピールすべきなのか迷うことでしょう。誘われたことは有利な要素ですが、書き方次第では「主体性がない」「入社してもすぐに辞めそう」というマイナス評価につながるリスクもあります。ここでは、誘われた場合の志望動機において、失礼にならず、かつ採用担当者に好印象を与えるための書き方と具体的な例文について解説します。
「誘われたから」だけでは不採用になるリスクがある理由
まず理解しておくべきなのは、たとえ企業側からの誘いであったとしても、採用選考のプロセスにおいては「自らの意思で入社を希望している」ことを明確に示す必要があるという点です。志望動機に「〇〇さんに誘われたので応募しました」とだけ書いてしまうと、採用担当者は「自分の意思はないのか」「仕事内容に興味はないのか」という懸念を抱きます。また、もし入社後に困難な壁にぶつかった際、「誘われたから入ったのに」と他人のせいにして辞めてしまうのではないかという定着性への不安も生じさせます。誘いはあくまで「きっかけ」に過ぎません。そのきっかけを通じて企業を知り、自らの判断で魅力を感じ、入社を決意したという「主体的なストーリー」に変換することが、内定を確実にするための鉄則です。
紹介者の名前を出しつつ主体性をアピールする構成術
誘われた事実を履歴書に記載すること自体は、決して悪いことではありません。むしろ、信頼できる社員や関係者からの推薦があることは、信用力やマッチング精度の高さを示す強力な武器になります。効果的な志望動機の構成は、「きっかけ(紹介)」「納得感(企業研究・共感)」「決意(貢献意欲)」の3段構成です。
- きっかけ: 「以前より親交のある貴社社員の〇〇氏より、事業拡大のお話を伺い~」と、誰からどのような話を聞いたかを簡潔に述べます。
- 納得感: 「そのお話を通じて、貴社の〇〇という理念や将来性に深く感銘を受けました」と、話を聞いた上で自分がどこに魅力を感じたかを記述します。
- 決意: 「私の経験を活かして貢献できると確信し、志望いたしました」と、最終的には自分の意思で応募したことを伝えます。
知人・友人からの紹介(リファラル採用)の場合の例文
知人からの紹介は、社風とのマッチングが期待されています。紹介者を通じて理解した会社の魅力と、自分の適性を結びつけます。
例文
以前より、貴社に勤務されている〇〇氏から、貴社の「社員一人ひとりの挑戦を応援する温かい社風」や、現在注力されている新規事業の将来性についてお話を伺っておりました。〇〇氏の話を通じて、貴社が目指すビジョンに深く共感するとともに、私が前職で培った法人営業の経験や新規開拓のスキルが、貴社の事業拡大の一助になると確信いたしました。信頼できる仲間と共に、貴社のさらなる発展に貢献したいと強く願い、この度応募いたしました。
元上司や取引先から引き抜かれた場合の例文
仕事ぶりを知っている相手からの誘いは、即戦力としての期待値が高い状態です。期待に応える自信と、新しい環境への意欲を伝えます。
例文
前職の上司であり、現在は貴社の部長を務められている〇〇様より、貴社の組織体制強化に伴う人材募集のお声をかけていただきました。〇〇様より貴社の徹底した顧客志向と、質の高いサービスへのこだわりを伺い、私自身もそのようなプロフェッショナルな環境で再び自身のスキルを試したいと強く志望いたしました。これまでの実務経験に加え、マネジメント経験も活かし、貴社の即戦力として期待に応えられるよう、全力で業務に邁進いたします。
スカウトメールやエージェントからのオファーの場合の例文
特定の個人ではなく、スカウトサービスなどでオファーを受けた場合は、「自分のどの経歴が評価されたのか」を分析し、それに応える形で動機を作成します。
例文
この度、転職サイトを通じて貴社より「プロジェクトマネージャー経験者」としてのスカウトのご連絡をいただき、貴社の事業内容を拝見いたしました。数多くの大規模プロジェクトを成功に導いてこられた実績と、技術力で社会課題を解決するという企業姿勢に強く惹かれました。私の強みである「納期管理能力」と「チームビルディング能力」は、貴社が現在進行中のプロジェクトにおいても必ず貢献できるものと考えております。オファーいただいた期待にお応えし、貴社の事業成長に寄与したく志望いたしました。
誘われた場合でも避けるべきNG表現
誘われた立場であっても、以下のような表現は避けるべきです。「熱心に誘われたので話だけでも聞こうと思いました」といった上から目線の表現や、「今の会社に不満があったので、ちょうど良い機会でした」といった他責的な理由は、社会人としての品格を疑われます。また、紹介者の顔を立てて応募しましたという義理人情だけのアピールも、ビジネスの場では不適切です。あくまで「対等なビジネスパートナー」として、自分にとっても企業にとってもメリットがある選択であることを論理的に伝えるよう心がけてください。





