履歴書の志望動機で「子育てとの両立」はどう書く?好印象を与える書き換え術と職種別例文
結婚や出産、育児といったライフステージの変化に伴い、仕事と家庭の両立を目指して転職活動を行う方は非常に多くいます。しかし履歴書の志望動機を作成する際、「子育てと両立しやすいから」という理由を正直に書いてよいものか、採用担当者に「仕事よりも家庭を優先するのではないか」と懸念されないかと不安になることはあるでしょう。結論から申し上げますと、子育てとの両立を志望動機に含めることは問題ありませんが、それだけを前面に押し出すのは得策ではありません。ここでは子育て中の求職者が、家庭を大切にしながらも仕事への熱意をしっかりと伝え、書類選考を通過するための志望動機の書き方と具体的な例文について詳しく解説します。
「子育てと両立したい」を企業側のメリットに変換する視点
採用担当者が最も懸念するのは、家庭の事情で急な欠勤が続いたり、責任のある仕事を任せられなかったりすることです。そのため「残業ができないから」「休みが取りやすいから」といった条件面のみを志望動機にしてしまうと、権利ばかりを主張する受け身な人材だと判断されかねません。重要なのは、子育てと両立したいという希望を、企業側のメリットになるように変換して伝えることです。
例えば「限られた時間内で効率的に業務を遂行し、成果を出したい」と伝えれば、生産性の高さをアピールできます。また「家庭と両立できる環境で、腰を据えて長く働き続けたい」と伝えれば、早期離職のリスクが低い定着性のある人材として評価されます。子育て中であることをハンデではなく、タイムマネジメント能力や責任感の強さといった強みとして提示する意識を持つことが大切です。
志望動機に盛り込むべき3つの要素
説得力のある志望動機にするためには、以下の3つの要素をバランスよく盛り込みます。
- その会社を選んだ業務上の理由条件面だけでなく、仕事内容や企業理念への共感を必ずメインに据えます。「なぜその仕事がしたいのか」がなければ、単に条件が合う場所を探しているだけだと思われてしまいます。
- 貢献できるスキルや経験これまでの職歴で培ったスキルや、未経験でも活かせるポータブルスキルを提示し、即戦力として貢献できることを伝えます。
- 両立への覚悟と環境への感謝「制度を利用したい」ではなく「制度が整っている環境だからこそ、恩返しとしてしっかり貢献したい」という能動的な姿勢を示します。
事務職で効率性をアピールする場合の例文
事務職は人気が高く競争率が激しいため、単にサポートしたいというだけでなく、効率化への意識を強調します。
例文
貴社の「社員が長く活躍できる環境づくり」に注力されている点と、業務効率化を推進する社風に魅力を感じ志望いたしました。前職では営業事務として、正確なデータ入力はもちろん、優先順位を見極めて業務フローを改善し、チームの残業時間削減に貢献してまいりました。現在は子育て中ではありますが、限られた時間の中で最大限のパフォーマンスを発揮し、貴社のバックオフィス業務を支える即戦力として貢献したいと考えております。家庭との両立を図りながら、長期的に貴社の一員として成長し続けたいと強く願っております。
パート・アルバイトで近さをメリットにする例文
パート勤務の場合は、自宅から近いことやシフトへの適応力をアピールすると好印象です。
例文
自宅から貴店までは徒歩圏内であり、通勤時間が短いため、家庭と仕事を両立しながら無理なく長く勤務できる環境であると考え志望いたしました。前職では接客業に従事しておりましたので、その経験を活かし、明るい笑顔と丁寧な対応でお客様に喜んでいただけるよう努めます。子供が学校に行っている平日の日中が中心となりますが、近隣に住んでいる強みを活かし、急なシフトの調整などにも可能な限り協力させていただきたいと考えております。責任を持って業務に取り組み、貴店に貢献いたします。
経験者がキャリア継続への意欲を示す例文
専門スキルがある場合は、それを活かして働き続けたいというプロ意識を前面に出します。
例文
前職ではWebデザイナーとして5年間、サイト制作やバナー作成に従事してまいりました。出産を機に一度現場を離れましたが、培ったスキルを活かして再び社会に貢献したいという思いが強く、フレックス制度など柔軟な働き方を導入されている貴社を志望いたしました。子育てを通じて培った生活者としての視点は、貴社のターゲット層に向けたデザイン制作においても新たな強みになると確信しております。時間の制約はありますが、業務中はプロとして集中して取り組み、質の高いクリエイティブを提供できるよう尽力いたします。
ブランクから復帰する未経験者の例文
子育てによるブランクがある場合は、社会復帰への強い意欲と、子育てで得た忍耐力などをアピールします。
例文
子育てがひと段落し、改めて社会に出て仕事に打ち込みたいと考え、未経験からでも挑戦できる貴社の製造職を志望いたしました。専業主婦として家事や育児をこなす中で、複数のタスクを同時進行で管理する段取り力や、予期せぬ事態にも冷静に対応する忍耐力を養ってまいりました。貴社のチームワークを重視する温かい社風のもと、周囲の方々と協力しながら正確に業務を遂行し、長く安定して働くことで貴社の生産活動に貢献したいと考えております。
採用担当者に不安を与えないための配慮
志望動機を書く際、「子供が熱を出したら休みます」といったネガティブな情報をわざわざ書く必要はありません(面接で聞かれたら正直に答える準備はしておきます)。また、ファミリーサポートや両親の協力が得られる場合は、「緊急時には家族のサポート体制が整っております」と一言添えるだけで、採用担当者の安心感は格段に上がります。子育て中であることは事実として伝えつつ、あくまで仕事のプロとして貢献するという姿勢を崩さないことが、採用を勝ち取るための鉄則です。





