履歴書の志望動機で「給料が良い」はNG?本音を好印象な意欲に変える言い換えテクニック
転職活動において、より高い給与や安定した収入を求めることは、働く上で非常に健全で真っ当な動機です。生活水準を上げたい、自分の頑張りを正当に評価されたいという思いは、仕事への強力なモチベーションになります。しかし、履歴書の志望動機欄に「給料が良いから」「年収を上げたいから」とストレートに書いてしまうと、採用担当者にマイナスの印象を与えてしまうリスクが高いのが現実です。ここでは、稼ぎたいという本音を、企業側が採用したくなるようなポジティブなビジネス意欲に変換するテクニックと、具体的な書き換え例文について詳しく解説します。
「給料が高いから」とそのまま書くと不採用になるリスクが高い理由
採用担当者は志望動機を通じて、応募者の「仕事への熱意」や「自社への貢献意欲」、そして「長く定着してくれるか」を見極めようとしています。その中で、金銭的な理由のみを強調してしまうと、以下のような懸念を持たれやすくなります。
- 仕事内容への関心が薄い: 「給料さえ良ければ何でもいいのか」「嫌な仕事だとすぐに辞めるのではないか」と思われてしまいます。
- 定着性への不安: 「もっと条件の良い会社があれば、すぐに転職してしまうだろう」と判断され、採用コストをかけるリスクが高いとみなされます。
- 貢献意欲が見えない: ビジネスにおいては、まず会社に利益(貢献)をもたらし、その対価として給与を得るのが基本です。要求ばかりが先行する姿勢は敬遠されます。
したがって、給料が良いという事実は応募のきっかけであっても、履歴書にはそれをそのまま書くのではなく、高い成果を出して会社に貢献し、その対価として報酬を得たいという「能動的な姿勢」に変換して伝える必要があります。
「稼ぎたい」という本音をポジティブな志望動機に変換する3つの視点
給料が良い、稼ぎたいという本音は、視点を変えれば「向上心」や「責任感」と言い換えることができます。以下の3つの視点を使って、好印象な志望動機に変換してみてください。
1. 実力主義・成果評価への共感に変換する
給料を上げたいということは、自分の能力をもっと評価してほしいという意欲の表れです。これを「成果を正当に評価する貴社の方針に魅力を感じた」「高い目標に挑戦し、実績を上げることで評価されたい」と言い換えます。これなら、お金への執着が「成長意欲」や「チャレンジ精神」としてポジティブに伝わります。
2. スキルアップと貢献意欲に変換する
高い報酬を得るためには、それに見合う高いスキルが必要です。これを「より専門性の高い業務に就き、自身の市場価値を高めたい」「難易度の高い仕事に挑戦し、貴社の利益に貢献したい」と表現します。スキルアップの結果として年収アップを目指すというロジックは、非常に説得力があります。
3. 長く働くための責任感(生活基盤の安定)に変換する
生活のために安定した収入が必要という場合は、「腰を据えて長く働きたい」という定着意欲に変換します。「安定した経営基盤を持つ貴社で、安心して業務に集中し、長期的にキャリアを築きたい」と伝えることで、会社への帰属意識と責任感をアピールできます。
【例文1】成果主義・実力主義の企業で高収入を目指す場合
営業職やコンサルタントなど、個人の成績が給与に直結しやすい職種への応募に適した書き方です。「稼ぎたい」を「高い目標への挑戦」に変換します。
志望動機 例文
年齢や社歴に関わらず、個人の成果を正当に評価する貴社の実力主義の社風に強く惹かれ、志望いたしました。前職では年功序列の風土が強く、実績がダイレクトに評価に反映されにくい環境でしたが、貴社のような高い目標設定と明確な評価制度がある環境でこそ、私の強みである粘り強さと目標達成意欲を最大限に発揮できると考えております。前職で培った営業スキルを活かし、貴社の売上拡大に貢献するとともに、自身のキャリアアップも実現したいと強く願っております。
【例文2】安定した給与と生活基盤を求めて応募する場合
大手企業やインフラ系など、経営の安定性を重視する場合の書き方です。安定を求めることを、仕事への集中力や長期的な貢献につなげます。
志望動機 例文
長年にわたり業界を牽引し、安定した事業基盤を築かれている貴社の信頼性と将来性に魅力を感じ、志望いたしました。生活の基盤が安定している環境でこそ、目の前の業務に全力を注ぎ、質の高い仕事ができると考えております。貴社であれば、腰を据えて長期的な視点でスキルを磨き、組織の発展に貢献し続けることができると確信しております。前職で培った事務処理能力と正確性を活かし、縁の下の力持ちとして貴社の堅実な経営を支えていきたいと考えております。
【例文3】未経験から収入アップを目指して挑戦する場合
未経験の業界へ転職し、年収を上げたい場合の書き方です。現状を変えるための努力と覚悟を伝えます。
志望動機 例文
今後の成長が期待されるIT業界において、高い技術力を持ち、社員の成長を支援する貴社の環境に惹かれ志望いたしました。前職の販売職では、お客様との対話を通じて信頼関係を築いてまいりましたが、より専門的なスキルを身につけ、高い付加価値を提供できる人材になりたいという思いが強くなりました。現在は独学でプログラミングの基礎を学んでおり、新しい知識を吸収することに喜びを感じております。未経験からのスタートですが、持ち前の向上心で早期に戦力となり、成果を出すことで貴社の事業成長に貢献したいと考えております。
給料以外の「仕事への興味」を必ずセットにする
どのような言い換えをするにせよ、最も重要なのは「給与」の話だけで終わらせないことです。条件面のアピールだけでは、「もっと給料が良い会社があればすぐに辞めてしまう」と思われてしまいます。
必ず、その会社の事業内容のどこに魅力を感じたのか、自分のどのスキルが活かせるのかという「仕事そのものへの興味」をセットで伝えるようにしてください。お金を稼ぎたいというエネルギーを、仕事への情熱や貢献意欲というオブラートで包み込み、論理的に伝えることが、書類選考を通過するための鉄則となります。





