履歴書の志望動機は「3つの理由」で構成すべきか。採用担当者を納得させるロジカルな書き方と例文

転職活動において履歴書の志望動機を作成する際、伝えたいことが多すぎてまとまらない、あるいは逆に内容が薄くなってしまうという悩みはつきものです。そのような時に有効なフレームワークとして、志望動機を「3つの理由」や「3つの要素」で構成するテクニックがあります。数字を用いて構造化された文章は、読み手である採用担当者に論理的で整理された印象を与えます。ここでは、志望動機を3つのポイントで構成するメリットや、限られたスペースで効果的にアピールするための具体的な書き方について詳しく解説します。

志望動機を「3つ」に整理することのメリット

志望動機を考える際、あえて「3つ」という数字を意識して構成することには、大きなメリットがあります。まず一つ目は、論理的思考力（ロジカルシンキング）のアピールになる点です。「志望理由は大きく分けて3点あります」と書き出すことで、情報が整理されており、プレゼンテーション能力が高い人物であるという印象を与えられます。二つ目は、多角的な視点を提示できる点です。「企業の魅力」「自分のスキル」「将来のビジョン」という異なる3つの視点を組み合わせることで、単なるファン心理ではなく、ビジネスとして貢献できる根拠を持った志望動機になります。三つ目は、読み手の記憶に残りやすい点です。人間は3つの要素で提示された情報を理解し記憶しやすい傾向があるため、採用担当者の印象に強く残る効果が期待できます。

履歴書に盛り込むべき「志望動機の3要素」とは

具体的にどのような3つの要素を盛り込めば、説得力のある志望動機になるのでしょうか。基本的には以下の3点を軸に構成するのが王道です。

1. なぜその会社なのか（企業への共感）競合他社ではなく、なぜその会社を選んだのかという独自の理由です。企業の強み、理念、事業内容への共感を具体的に述べます。
2. 自分に何ができるか（スキルと経験）自分のこれまでのキャリアやスキルが、その企業の業務でどのように活かせるかという貢献の可能性です。即戦力であることを証明する部分です。
3. 入社後にどうなりたいか（将来のビジョン）入社後にどのようなキャリアを築き、会社にどのような利益をもたらしたいかという意欲です。定着性や成長性をアピールします。

この3要素をバランスよく配置することで、独りよがりにならず、企業側のメリットも考慮した完成度の高い志望動機になります。

「理由は3点あります」から始める書き方のテクニック

実際に履歴書に書く際、「私が貴社を志望した理由は、大きく分けて3点あります」という書き出しから始める方法は、特に営業職や企画職、コンサルタントなど、論理的な説明能力が求められる職種で有効です。

構成例

• 導入： 「貴社を志望する理由は3点あります。」
• 理由1： 「1点目は、貴社の〇〇という事業戦略に将来性を感じたためです。」
• 理由2： 「2点目は、前職で培った〇〇のスキルを、貴社の〇〇業務で最大限に発揮できると考えたためです。」
• 理由3： 「3点目は、貴社の挑戦を推奨する社風の中で、自らも成長しながら事業拡大に貢献したいと考えたためです。」
• 結び： 「以上の理由から、貴社の一員として全力を尽くしたく応募いたしました。」

このように箇条書きのような構成にすることで、文章全体がすっきりと見え、要点が瞬時に伝わります。

文字数制限がある場合の注意点と調整方法

履歴書の志望動機欄はスペースが限られており、一般的には200文字から300文字程度が目安です。そのため、「理由は3点あります」という構成にすると、文字数が溢れてしまう可能性があります。その場合は、無理に「3点」と言い切らずに、文章の流れの中で自然に3つの要素を組み込む方法に切り替えます。

例えば、「貴社の〇〇という理念に共感し（要素1）、前職の〇〇の経験を活かして（要素2）、貴社の事業成長に貢献したいと考え志望しました（要素3）」というように、一つの文章の中に要素を凝縮させます。あるいは、理由を「2点」に絞ることで、一つひとつの理由を深掘りし、説得力を高めるという戦略も有効です。枠の大きさに合わせて、最も読みやすく伝わりやすい形式を選ぶ柔軟性が大切です。

面接での深掘りに備えた準備

履歴書に3つの理由を書いた場合、面接では必ずその詳細について深掘りされます。「1点目の事業戦略について、具体的にどこに惹かれたのですか」「2点目のスキルは、具体的にどのような場面で活かせると考えていますか」といった質問に対し、履歴書には書ききれなかった具体的なエピソードや数値を交えて回答できるよう準備しておく必要があります。履歴書はあくまで「見出し」であり、面接で詳細を語るための「台本」であると捉え、3つの理由それぞれについて自分の言葉でしっかりと説明できるように整理しておいてください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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