履歴書の志望動機は改行して読みやすくするべきか 採用担当者の視点とレイアウトの正解

転職活動において履歴書の志望動機欄は、自分の熱意や強みを伝えるための最も重要なスペースの一つです。しかし、限られた枠の中に文字を詰め込みすぎてしまうと、読み手にとって負担になることがあります。そこで迷うのが、文章の途中で改行を入れるべきかどうかという点です。改行をすると空白が目立ってしまうのではないか、あるいは改行しないと読みづらいのではないかと悩む方は少なくありません。ここでは、履歴書の志望動機における改行の必要性と、採用担当者に好印象を与えるための適切なレイアウトや構成について詳しく解説します。

志望動機で改行することはマナー違反ではなく推奨される配慮です

履歴書の志望動機欄で改行を行うことは、決してビジネスマナー違反ではありません。むしろ、読み手である採用担当者への配慮として推奨される行為といえます。採用担当者は日々数多くの履歴書に目を通しています。その中で、改行がなく小さな文字でびっしりと埋め尽くされた文章は、読む前から心理的な圧迫感を与えてしまいます。文字の壁と呼ばれるような状態は、どれほど素晴らしい内容が書かれていても、要点を掴みにくくさせてしまいます。適度な改行を入れることで、文章にリズムと余白が生まれ、視覚的な読みやすさが格段に向上します。相手がストレスなく読めるように工夫することは、ビジネススキルの一つとして評価されます。

読みやすさを劇的に変える3段構成と改行のタイミング

効果的に改行を取り入れるためには、文章の構成を意識することが大切です。ただ漫然と改行するのではなく、意味のまとまりごとに段落を分けることで、論理的な印象を与えることができます。おすすめなのは、内容を大きく3つのブロックに分ける構成です。まず書き出しで志望した結論を述べ、そこで一度改行します。次にその理由やこれまでの経験に基づいた根拠を記述し、再度改行します。そして最後に、入社後の意欲や貢献したいことを述べて締めくくります。このように3つの段落に分けることで、採用担当者は志望動機の全体像を瞬時に把握することができ、説得力が増します。

改行によって生じる空白を目立たせないための工夫

改行をすることのデメリットとして、行間が空くことで空白が目立ち、書くことが少ないのではないかと思われてしまう懸念があります。これを防ぐためには、文字数と文字の大きさのバランス調整が重要です。一般的に履歴書の志望動機欄は、200文字から300文字程度で枠の8割以上を埋めるのが適切とされています。改行を入れる場合は、一行の文字数を調整したり、パソコン作成であればフォントサイズや行間設定を微調整したりして、スカスカな印象にならないように配慮します。また、接続詞を効果的に使い、前の段落と次の段落がスムーズにつながるようにすることで、空白があっても内容の密度を感じさせることができます。

手書きの場合とパソコン作成の場合で異なる注意点

履歴書を手書きで作成するか、パソコンで作成するかによっても、改行の扱いは多少異なります。手書きの場合は、一度書いてしまうと修正が効かないため、事前に鉛筆で薄く下書きをして、改行を含めた全体のバランスを確認することが不可欠です。文字の大きさを揃え、行頭をきれいに揃えることで、改行が整然とした美しさを生み出します。一方、パソコンで作成する場合は、ワードやエクセルなどの設定によって行間が広がりすぎてしまうことがあります。意図しない大きな空白ができないよう、行間のポイント数を調整し、適度な密度を保つように設定を見直すことが大切です。

枠が小さい履歴書の場合は改行なしでも問題ありません

使用する履歴書のフォーマットによっては、志望動機欄が非常に小さいものもあります。そのような狭いスペースで無理に改行を行うと、一行に入る文字数が極端に減り、かえって読みにくくなってしまうことがあります。枠が小さい場合は、改行をせずに続けて書いても問題ありません。その代わり、一文を短くすることを意識し、句読点を適切に打つことで読みやすさを確保します。「〜ので、」「〜ですが、」と長く繋げるのではなく、「〜です。そのため〜」といったように言い切る形にすることで、改行がなくてもリズム良く読める文章になります。状況に合わせて柔軟に対応することが求められます。

最終的にはパッと見た瞬間の第一印象で判断します

履歴書は内容もさることながら、パッと見た瞬間の美しさや読みやすさが、応募者の几帳面さやプレゼンテーション能力を表します。書き上げた志望動機を客観的に眺めてみて、窮屈そうに見えないか、あるいは空白が多すぎて頼りなく見えないかを確認してください。改行はあくまで手段であり、目的はあなたの熱意を相手に正しく伝えることです。読む人の視点に立ち、最も内容が頭に入ってきやすいレイアウトを追求することが、書類選考を通過するための重要な鍵となります。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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