履歴書写真の表情で合否が決まる？採用担当者に好印象を与える笑顔の作り方

転職活動における書類選考では、職務経歴書に記載されたスキルや実績はもちろん重要ですが、それと同じくらい履歴書の写真が与える第一印象が合否を左右することをご存じでしょうか。採用担当者は応募書類の入った封筒を開けた瞬間、まず写真に目を向けます。そのわずか数秒の間で「一緒に働きたいと思える人物か」「自社の社風に合うか」を直感的に判断しています。この第一印象を良くするために最も大切な要素が「表情」です。身だしなみが完璧でも、表情が暗ければネガティブな印象になり、逆に表情が良ければ多少の経歴の不足を補うほどの魅力を伝えることができます。ここでは、採用担当者に好感を持たれる表情の正解と、自然な笑顔を作るための具体的なテクニックについて解説します。

履歴書写真における表情の黄金比は「口を閉じた微笑み」

履歴書の写真撮影において、最も推奨される表情は「口を閉じた状態で口角をわずかに上げた微笑み」です。いわゆるアルカイックスマイルや、モナ・リザの微笑みのような、穏やかで知的な表情がビジネスシーンでは最も好まれます。口角がキュッと上がっていることで、性格の明るさやコミュニケーション能力の高さをアピールでき、同時に口を閉じていることで真面目さや誠実さを伝えることができるからです。真顔のほうが証明写真らしいと考える方もいますが、口元が一直線に結ばれた無表情は、見る人によっては「怒っている」「暗そう」「やる気がなさそう」といった威圧感や拒絶のサインとして受け取られてしまうリスクがあります。したがって、親しみやすさと礼儀正しさを両立させるためには、歯は見せずに微笑む程度の表情がベストな選択となります。

歯が見える笑顔が許容されるケースと避けるべき理由

一般的に、履歴書の写真で歯を見せて笑うのは避けたほうが無難です。歯が見えるほどの満面の笑顔は、非常に明るく元気な印象を与えますが、ビジネスの公式な書類としてはカジュアルすぎると判断されることが多いからです。「ＴＰＯ（時・所・場合）をわきまえていない」「真剣みに欠ける」といったマイナスの評価につながる可能性があります。ただし、これには例外もあります。接客業、販売職、アナウンサー、テーマパークのスタッフなど、業務において「笑顔」が重要なスキルの一部とみなされる職種に応募する場合は、歯を見せた写真のほうが「即戦力」として好評価につながることがあります。しかし、事務職や営業職、エンジニアなど一般的な職種であれば、リスクを冒してまで歯を見せる必要はありません。どうしても判断がつかない場合は、どのような業界でも通用する口を閉じた微笑みを選んでおくことが安全策と言えます。

意思の強さと熱意を伝える「目力」の重要性

表情を作る際、口元と同じくらい重要なのが「目元」です。「目は口ほどに物を言う」という言葉がある通り、目にはその人の意志や意欲が色濃く表れます。採用担当者に好印象を与えるのは、しっかりとカメラのレンズを見据えた、力強い眼差しです。これを「目力（めぢから）」と呼びますが、単に目を大きく見開けばよいというわけではありません。驚いたような表情にならないよう、まぶたを自然に開きつつ、レンズの奥にいる採用担当者と対話するような気持ちで、視線に力を込めることが大切です。眠そうな目や、自信がなさそうな伏し目がちな視線は、仕事に対する消極的な姿勢と受け取られかねません。また、顎を引きすぎると上目遣いになり、睨んでいるように見えてしまうことがあるため、カメラの高さと目線の高さを合わせ、真っ直ぐに見つめるように意識します。

緊張でこわばる表情をほぐす撮影直前のテクニック

いざカメラの前に立つと、どうしても緊張して顔がこわばってしまい、自然な笑顔が作れないという方は少なくありません。無理に笑おうとすると、ひきつった不自然な表情になってしまいます。そのような時に有効なのが、撮影直前に「ウィ」と発音する口の形を作ることです。「ウィ」と言うと、頬の筋肉が持ち上がり、自然と口角が横に広がりながら上がります。この頬の筋肉が上がった状態をキープしたまま、静かに唇を閉じると、理想的な微笑みの形になります。また、深呼吸をして肩の力を抜き、奥歯を噛み締めないように上下の歯の間にわずかな隙間を作るイメージを持つと、口周りの筋肉がリラックスし、柔らかな表情になります。撮影ブースに入る前や、カメラマンに撮ってもらう直前に、一度顔全体の筋肉を大きく動かしてほぐしておくのも効果的です。

業界や職種に合わせた表情の微調整

基本的には「口を閉じた微笑み」が万能ですが、志望する業界や職種に合わせて、表情のニュアンスを微調整するとさらに効果的です。金融機関、公務員、医療事務などの堅実さが求められる職種では、口角の上昇を控えめにし、凛とした真面目な表情を強めることで信頼感をアピールします。一方で、広告代理店、アパレル、サービス業などの華やかさや対人スキルが求められる職種では、口角をしっかりと上げ、目元も少し緩めて優しさを強調することで、社交的で明るいキャラクターを印象づけます。自分がその会社で働いている姿を想像し、顧客や同僚に対してどのような表情で接するのが適切かを考えることで、自然とその場にふさわしい表情が見えてくるはずです。鏡の前で何度も練習し、自分の魅力を最大限に引き出す「勝負顔」を見つけてください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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