履歴書写真で採用担当者に「会ってみたい」と思わせる好印象な一枚の撮り方

転職活動における書類選考では、職務経歴書の内容と同様に、履歴書に貼付する写真が合否を分ける重要な要素となります。採用担当者は、まだ会ったことのない応募者の人柄や仕事への姿勢を、その一枚の写真から読み取ろうとします。好印象を与える写真とは、単に容姿が整っているということではなく、ビジネスパーソンとしての信頼感や清潔感、そして意欲が伝わってくる写真のことです。ここでは、採用担当者の視点に立ち、書類選考を通過するために押さえておくべき好印象な写真の条件と、具体的な撮影テクニックについて詳しく解説します。

好印象の絶対条件である「清潔感」を徹底する

履歴書の写真において、最も重要かつ基本的な要素は「清潔感」です。これは個人の好みではなく、ビジネスの場におけるマナーとして捉える必要があります。清潔感を演出するためには、まず髪型の乱れを整えることが不可欠です。寝癖や飛び出している毛（アホ毛）は論外ですが、髪が目や眉毛にかかっていると表情が暗く見え、清潔感を損なう大きな原因となります。前髪を流して額や眉を見せ、サイドの髪を耳にかけることで、顔周りをすっきりと明るく見せるのが鉄則です。また、服装についても、スーツやシャツにシワがないか、襟元が汚れていないかを確認します。男性であればネクタイが曲がっていないか、女性であればブラウスの襟の開き具合が適切かをチェックします。こうした細部への配慮が、仕事に対する丁寧さや几帳面さを連想させ、好印象につながります。

信頼と意欲を伝える「表情」と「目力」

身だしなみが整ったら、次は表情作りです。好印象を与える表情とは、自然な明るさと誠実さを兼ね備えたものです。基本は、口を閉じて口角をわずかに上げた「微笑み」の表情を作ります。真顔すぎると「暗い」「怖そう」といった威圧的な印象を与え、逆に歯を見せて笑いすぎると「真剣みがない」と判断されるリスクがあります。口角をキュッと上げることで、親しみやすさとポジティブな性格をアピールできます。そして、何よりも重要なのが「目力」です。カメラのレンズの奥をしっかりと見据えるように意識し、目に力を込めることで、仕事に対する熱意や意志の強さを伝えます。上目遣いや伏し目がちな視線は、自信のなさや不安を感じさせてしまうため、しっかりと正面を見ることが大切です。

姿勢を正して「自信」と「安定感」を演出する

写真の枠内に写るのは主にバストアップですが、姿勢の良し悪しは全体の印象を劇的に変えます。猫背で背中が丸まっていると、どんなに良い表情をしていても、自信がなく頼りない印象に見えてしまいます。撮影時は椅子に浅く腰掛け、背筋を天井に向かって引っ張られるようなイメージでピンと伸ばします。さらに、胸を軽く張り、脇を締めることで、スーツのシルエットが美しくなり、堂々とした安定感のある雰囲気が生まれます。このとき、顎を上げすぎないように注意し、床と平行の位置から少しだけ引くことで、知的で落ち着いた印象を加えることができます。姿勢が良いというだけで、「仕事ができそう」「任せられそう」という信頼感を視覚的に訴えかけることが可能になります。

写真の質を高める「明るさ」と「背景」の選び方

被写体である自分自身だけでなく、写真そのものの質も好印象を左右する要因です。全体的に暗い写真は、それだけで性格まで暗いように見えてしまうため、適切な明るさを確保することが重要です。写真館やスタジオで撮影する場合はプロのライティングに任せることができますが、スピード写真機を利用する場合は、膝の上に白いハンカチや紙を置いてレフ板代わりにするなど、顔色を明るく見せる工夫が有効です。また、背景色は一般的にブルー、白、グレーが使われますが、それぞれの色が与える印象を理解して選ぶとより効果的です。ブルーは爽やかで誠実な印象、白は明るくフレッシュな印象、グレーは落ち着いた大人っぽい印象を与えます。自分の志望する業界や、なりたいイメージに合わせて最適な色を選ぶことで、戦略的に好印象を作り出すことができます。

最終確認と写真裏面への配慮

撮影した写真を選定する際は、第三者の目線を取り入れることもおすすめです。自分では良いと思っていても、他人から見ると表情が硬かったり、不自然だったりすることがあります。家族や友人に客観的な意見を求め、最も親しみやすく信頼できる一枚を選びます。そして、履歴書に貼る際には、万が一剥がれてしまったときのために、写真の裏面に氏名と撮影日を記入しておくことも忘れてはいけません。こうした見えない部分への配慮も含めて、一枚の写真に対する丁寧な姿勢が、採用担当者に「この人と一緒に働きたい」と思わせる決定的な要因となります。自分自身の魅力を最大限に引き出した写真を用意し、自信を持って書類選考に挑んでください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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