履歴書写真で黒シャツを着るのはアリか？採用担当者が抱く印象と業界別の判断基準

転職活動の準備を進める中で、履歴書の写真撮影に使用するインナーの色選びに悩む方は少なくありません。一般的には白いワイシャツやブラウスが推奨されますが、黒いシャツやカットソーはシックで落ち着いた雰囲気があり、自分らしさを表現できるアイテムとして魅力的に映ることもあります。しかし、ビジネスの場、特に採用選考という場面において黒シャツが適切かどうかは、慎重な判断が求められます。ここでは、履歴書写真における黒シャツの着用の是非や、採用担当者に与える印象、そして着用が許されるケースについて詳しく解説します。

履歴書写真における黒シャツの一般的な扱い

結論から申し上げますと、一般的な転職活動において履歴書の写真で黒シャツを着用することは、避けたほうが無難であると言えます。日本のビジネスシーン、特に履歴書という公的な書類においては「清潔感」と「誠実さ」が最も重視されます。白いシャツはレフ板のように光を反射し、顔色を明るく健康的に見せる効果がありますが、黒いシャツは光を吸収してしまうため、顔周りが暗く沈んで見えたり、表情が硬く見えたりする傾向があります。また、黒いシャツは水商売やナイトワークを連想させる場合や、個性が強すぎて協調性に欠けるといったネガティブなバイアスを採用担当者に与えてしまうリスクも孕んでいます。したがって、基本的には白いシャツを選ぶことが、書類選考を通過するための安全策となります。

黒色のシャツが相手に与える心理的効果とリスク

色彩心理学の観点から見ると、黒は「強さ」「威厳」「高級感」を表す色ですが、同時に「拒絶」「頑固」「孤独」といった印象を与えることもあります。採用面接官は、応募者が組織に馴染める柔軟性を持っているか、チームワークを大切にできるかといった点を見ています。黒シャツを着ている写真は、ともすれば「自分のスタイルを曲げない」という強い自我の表れと受け取られかねません。特に、金融、公務員、メーカー、医療・福祉といった保守的な業界や、顧客からの信頼が第一とされる職種では、黒シャツはビジネスマナーから逸脱していると判断される可能性が極めて高くなります。たかがシャツの色ですが、それ一つで常識を疑われてしまうのは非常にもったいないことです。

業界や職種によって異なる許容範囲

すべての業界で黒シャツがNGというわけではありません。ファッションセンスや個性が重視されるアパレル業界、美容業界、クリエイティブ職、デザイン関連の企業、あるいは一部のITベンチャー企業などでは、黒シャツの着用が許容されるケースがあります。これらの業界では、型にはまった服装よりも、自分に似合うスタイルを理解し、洗練された着こなしができているかどうかが評価の対象になることがあるからです。黒いインナーにジャケットを合わせることで、モダンで知的な雰囲気を演出できれば、プラスの評価につながることも考えられます。しかし、これはあくまで一部の業界に限った話であり、応募する企業の社風や採用サイトに掲載されている社員の服装などを事前によくリサーチした上で判断する必要があります。

黒シャツを着用する場合の着こなしと撮影のポイント

志望する業界がクリエイティブ系で、あえて黒シャツを着用して撮影する場合は、清潔感を損なわない工夫が不可欠です。まず、素材選びが重要です。色あせた黒や、ヨレヨレのTシャツ素材は不潔に見えるため、光沢感のあるブラウスやハリのあるシャツを選びます。また、全身が真っ黒にならないよう、ジャケットはグレーやベージュなどの明るい色を合わせたり、首元が適度に開いたデザインを選んで肌を見せたりすることで、重苦しさを軽減することができます。さらに、撮影時のライティングにも注意が必要です。黒い服は顔を暗く見せるため、写真館やスタジオでプロのカメラマンに事情を伝え、顔色が沈まないように照明を調整してもらうか、肌の補正を行ってもらうなどの配慮が求められます。

迷ったときは白シャツを選ぶのが最善の策

服装選びに少しでも迷いがある場合や、応募する企業がどのような文化を持っているか確信が持てない場合は、迷わず白シャツを選ぶことをおすすめします。履歴書の写真は、おしゃれさを競う場ではなく、一緒に働きたいと思ってもらうための資料です。白シャツであれば、どの業界、どの年代の採用担当者が見ても不快感を与えることはありません。マイナスの要素を極力減らし、経歴やスキルといった本質的な部分で勝負するためにも、リスクのある服装は避け、王道のスタイルで臨むことが、書類選考通過への一番の近道となります。自分の個性を出すのは、書類選考を通過し、面接で直接話す機会を得てからでも遅くはありません。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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