宅建試験合格は履歴書にどう書く?正式名称と「合格・登録」の正しい使い分け
不動産業界はもちろん、金融や建築、一般企業の総務など幅広い分野で高く評価される「宅建(宅地建物取引士)」の資格。難関試験を突破して手に入れたその資格は、転職活動において強力なアピール材料となります。
しかし、いざ履歴書の資格欄に記入しようとしたとき、「宅建士と書いていいのか?」「合格しただけだけど、どう書けば正解?」と迷う方は非常に多いです。実は、宅建は**「試験に合格した状態」と「登録して証交付を受けた状態」で書き方が明確に異なります。**
ここを間違えると、意図せず経歴詐称になってしまったり、知識不足と判断されたりするリスクがあります。ここでは、宅建試験合格者のための正しい履歴書の書き方と、実務未経験でも評価を高めるアピール術について解説します。
「宅建」は略称!履歴書に書くべき正式名称とは
まず大前提として、履歴書の資格欄には略称を使わず「正式名称」で記載するのがマナーです。「宅建」や「宅建士」と省略せずに、以下の名称を使用してください。
- 現在の正式名称: 宅地建物取引士
平成27年(2015年)の法改正により、「宅地建物取引主任者」から「宅地建物取引士」へと名称が変更されました。もし改正前に取得している場合でも、現在の名称である「宅地建物取引士」と書いて問題ありません(カッコ書きで旧名称を添える必要も基本的にはありません)。
最重要!「合格」と「登録」の書き分けルール
宅建の資格を履歴書に書く際、最も注意しなければならないのが語尾の書き方です。現状のステータスに合わせて使い分ける必要があります。
1. 試験に合格したが、登録手続きはしていない場合
多くの転職者がこのケースに当てはまります。試験に受かっただけでは「宅地建物取引士」として独占業務(重要事項説明など)を行うことはできません。そのため、「宅地建物取引士」を名乗るような書き方(取得や登録)はNGです。
【正しい書き方】
令和〇年〇月 宅地建物取引士資格試験 合格
あくまで「試験に合格した」という事実を記載します。「取得」と書くと、後述する「宅建士証」を持っていると誤解される恐れがあるため、「合格」とするのが最も正確で誠実です。
2. 実務経験などがあり、都道府県に「登録」をしている場合
試験合格後、実務経験(2年以上)があるか登録実務講習を修了し、都道府県知事の登録を受けている状態です。ただし、宅建士証の交付は受けていないケースです。
【正しい書き方】
令和〇年〇月 宅地建物取引士資格試験 合格(〇〇県登録済み)
3. 「宅建士証」の交付を受けている場合
登録を済ませ、さらに「宅地建物取引士証」の交付を受けている場合、晴れて「宅地建物取引士」として業務を行えます。この場合は「登録」という言葉を使っても問題ありませんが、資格欄には試験合格日を書くのが通例のため、以下のように補足するのがベストです。
【正しい書き方】
令和〇年〇月 宅地建物取引士資格試験 合格(宅地建物取引士証 交付済み)
または
令和〇年〇月 宅地建物取引士 登録
資格欄の日付はいつを書くべき?
資格欄に記載する年月は、試験を受けた日(10月)ではなく、**合格証書に記載されている「合格年月日(11月や12月)」**を記入します。
手元に合格証書がない場合は、試験実施団体の不動産適正取引推進機構のサイトなどで合格発表日を確認しましょう。また、履歴書全体の年号(西暦・和暦)を統一することも忘れないでください。
実務未経験でも「宅建合格」は強力な武器になる
「合格しただけで実務経験がないと評価されないのでは?」と不安に思う方もいるかもしれませんが、その心配は不要です。宅建試験の合格率は例年15〜17%程度であり、合格には相当な学習量と努力が必要です。
不動産業界への応募の場合
必須級の資格ですので、合格しているだけで「即戦力候補」として扱われます。入社後の資格取得サポートコストがかからない点も企業にとっては大きなメリットです。面接では「入社後すぐに登録実務講習を受け、登録手続きを行う意欲がある」ことを伝えると、さらに評価が高まります。
金融・建設・一般企業への応募の場合
不動産業界以外でも、宅建合格は高く評価されます。
- 基礎能力の証明: 民法などの法律知識があり、コンプライアンス意識が高いことの証明になります。
- 努力・継続力のアピール: 働きながら難関資格を取得したプロセスは、目標達成能力や自己研鑽の姿勢として評価されます。
勉強中・結果待ちの場合の書き方
現在勉強中である、あるいは試験を受けて結果待ちの場合も、履歴書に記載してアピールすることが可能です。
【書き方の例】
宅地建物取引士資格試験 取得に向けて勉強中(10月受験予定)
宅地建物取引士資格試験 受験完了(結果待ち)
特に未経験から不動産業界を目指す場合、この記載があるだけで「本気度」が伝わります。ただし、面接で学習状況や手応えを聞かれることがあるため、嘘偽りなく答える準備をしておきましょう。
まとめ
宅建の資格を履歴書に書く際は、**「宅地建物取引士資格試験 合格」**と正式名称で正確に記載することがポイントです。
登録前であっても、その合格実績はあなたの知識と努力の結晶です。正確な記述でビジネスマナーを示しつつ、職務経歴書や面接でその知識をどう活かしたいかを伝えることで、書類選考の突破率は確実に上がります。自信を持ってアピールしてください。





