ライターの書類選考を突破する履歴書の書き方ガイド。文章力と実績を魅力的に伝える作成術
Webメディアや雑誌、広報誌など、言葉を紡ぐプロフェッショナルであるライターへの転職において、履歴書は単なる経歴データではありません。ライターという職種柄、履歴書の文章そのものが、あなたの「ライティングスキル」を証明する最初のポートフォリオ(作品)として機能します。採用担当者は、経歴の内容だけでなく、文章の構成力、言葉選びのセンス、そして誤字脱字の有無を厳しくチェックしています。ここではライター職の書類選考を通過するために特化した履歴書の書き方や、経験者・未経験者それぞれのアピール戦略、そしてポートフォリオとの連携について詳しく解説します。
履歴書そのものがライティングスキルの証明書となります
ライター職の応募において最も意識すべき点は、履歴書の完成度がそのまま実務能力の評価に直結するという事実です。一般的な職種であれば多少の誤字や読みにくい文章でも経歴が立派であれば見逃されることもありますが、ライターの場合は致命的です。なぜなら、正しい日本語を使い、読み手にストレスを与えずに情報を伝えることがライターの基本業務だからです。
履歴書を作成する際は、一文の長さが適切か、主語と述語のねじれがないか、接続詞の使い方が論理的かといった細部まで推敲を重ねる必要があります。また、手書きよりもパソコン作成が推奨されます。これは現代のライティング業務のほとんどがデジタル環境で行われるため、基本的なPCスキルやドキュメント作成能力を示す意味合いもあります。レイアウトを美しく整え、読み手の視線を誘導するような構成を意識することで、編集視点を持っていることのアピールにもつながります。
経験者は執筆ジャンルと数値実績を具体的に記述します
ライター経験者が転職する場合、職歴欄や職務経歴書には「何を書いてきたか」だけでなく「どのような成果を出したか」を具体的に記載することが求められます。単に「Webメディアの記事執筆」と書くだけでは不十分です。担当していたジャンル(IT、美容、金融、求人など)、記事のターゲット層、執筆本数、そしてPV数やCVR(コンバージョン率)、検索順位の実績などを可能な限り数値で示します。
例えば、月間20本のSEO記事を執筆し、担当記事の8割が検索順位3位以内を獲得しましたといった具体的な記述があれば、即戦力としての信頼性は格段に高まります。紙媒体の経験がある場合は、担当した雑誌名や企画内容、取材経験の有無なども詳細に記載します。取材ライターであれば、アポイント取りから撮影ディレクションまでの一連の工程を一人で完結できるかどうかも重要な評価ポイントとなります。
未経験からライターを目指す場合のポータブルスキルの伝え方
未経験からライターを目指す場合、執筆実績がないことがハンデとなりますが、前職で培った「ポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)」をライター業務に変換して伝えることで突破口が開けます。ライターに必要な能力は文章を書くことだけではありません。情報収集力(リサーチ力)、論理的思考力、コミュニケーション能力、スケジュール管理能力などが不可欠です。
例えば営業職であれば、顧客のニーズを汲み取るヒアリング能力を取材力としてアピールできます。事務職であれば、正確な情報処理能力や納期を守るタスク管理能力が校正や進行管理に役立ちます。また、個人的に運営しているブログやnote、SNSでの発信活動があれば、それを実績として提示することも有効です。未経験であっても、自ら文章を書き、発信する習慣があることを伝えることで、ライターとしての適性と熱意を証明することができます。
履歴書とセットで提出するポートフォリオの重要性
ライターの選考において、履歴書と同じくらい、あるいはそれ以上に重要視されるのがポートフォリオ(過去の執筆実績集)です。履歴書の本人希望記入欄や備考欄にポートフォリオのURLを記載するか、別紙として添付することが望ましいです。ポートフォリオには、自信のある記事をピックアップし、それぞれの記事について「制作の意図」「ターゲット」「担当範囲(構成、執筆、画像選定など)」「制作時間」を明記します。
未経験者の場合でも、架空のテーマで執筆したサンプル記事や、自身のブログ記事をまとめたものをポートフォリオとして用意することで、本気度を伝えることができます。採用担当者はポートフォリオを通じて、文体のトーン&マナーや、構成力、リサーチの深さを確認します。履歴書で人間性と基礎能力を伝え、ポートフォリオで実技能力を証明するという役割分担を意識して準備を進めてください。
使用可能なツールやCMS経験を明記して即戦力をアピールする
現代のライター業務では、執筆以外にも様々なデジタルツールの使用が求められます。履歴書の資格・スキル欄や特技欄を活用し、使用可能なツールを具体的に記載することで、教育コストがかからない即戦力であることをアピールできます。
具体的には、WordPressなどのCMS(コンテンツ管理システム)の入稿経験、Google AnalyticsやSearch Consoleなどの分析ツールの使用経験、PhotoshopやCanvaなどの画像編集ツールのスキルなどが挙げられます。また、HTMLやCSSの基礎知識があれば、Webライティングにおいてタグ付けや装飾ができる人材として重宝されます。チャットツール(SlackやChatwork)やオンライン会議ツール(Zoomなど)の使用経験も、リモートワークが多いライター職では安心材料となります。
志望動機では「書くこと」の先にある目的を語る
ライターの志望動機において「文章を書くことが好きだから」という理由は、きっかけとしては大切ですが、プロのライターとしての動機としては弱くなってしまいます。企業が求めているのは、文章を通じて自社のサービスを広めたり、課題を解決したりしてくれる人材です。
そのため志望動機では、書くことを手段として捉え、その先にある目的を語る必要があります。例えば、貴社のサービスの魅力を正しい言葉で伝え、ユーザーの意思決定を後押ししたいや、複雑な情報を分かりやすく整理して届けることで、読者の生活を豊かにしたいといったように、ライティングを通じて誰にどのような価値を提供したいのかを明確にします。その企業が運営するメディアや出版物を熟読し、そのトーンや方針に共感した点を具体的に盛り込むことで、定着性の高い人材であることをアピールしてください。





