役所(公務員)関連の履歴書の書き方完全ガイド。「入庁」「退職」の正しい使い分けとアピール術
公務員から民間企業への転職、あるいは民間企業から役所(地方自治体など)への転職を目指す際、履歴書の書き方で迷うのが独自の「用語」や「ルール」です。一般企業で使われる「入社」や「退社」といった言葉は、役所関係の経歴には適さない場合が多く、正しく使い分けることがビジネスマナーとして求められます。
ここでは、役所(公務員)に関連する履歴書の正しい書き方や用語の定義、そしてお堅いイメージを払拭して実務能力をアピールするためのポイントについて、ケース別に詳しく解説します。
役所の経歴は「入社」ではなく「入庁」や「入職」を使います
履歴書の職歴欄において、最も基本的かつ重要なのが「入社・退社」に代わる用語の選び方です。役所は会社(株式会社等)ではないため、以下のルールに従って記載するのが正式なマナーです。
入職時の書き方
- 市役所・区役所・県庁・省庁などの場合最も一般的なのは**「入庁(にゅうちょう)」です。省庁の場合は「入省(にゅうしょう)」、都庁の場合は「入都(にゅうと)」**となります。
- 記入例:
令和〇年〇月 〇〇市役所 入庁
- 記入例:
- 迷った場合に使える便利な表現組織の形態に関わらず使えるのが**「入職(にゅうしょく)」や「採用」、「勤務」**といった言葉です。
- 記入例:
令和〇年〇月 〇〇県警察本部 採用
- 記入例:
退職時の書き方
- 「退社」ではなく「退職」会社ではないため「退社」は使いません。**「退職」あるいは「辞職(じしょく)」**を使用します。自己都合の場合は「一身上の都合により退職(または辞職)」と記載します。
- 任期満了の場合臨時職員や会計年度任用職員などで任期が決まっていた場合は、「任期満了により退職」と書くことで、キャリアの一貫性を保つことができます。
【ケース別】組織の種類に応じた正しい記載例
役所といってもその種類は様々です。組織名に合わせた適切な書き方を選ぶことで、採用担当者に「常識がある人」という印象を与えることができます。
1. 地方自治体(市役所・県庁など)の場合
組織名は略さず正式名称で書きます。「〇〇市役所」や「〇〇県庁」で問題ありませんが、配属先まで書くと親切です。
平成28年4月 〇〇県庁 入庁総務部人事課に配属
2. 学校や病院(公立)の場合
公立学校や公立病院の場合も公務員扱いとなりますが、「入校」や「入坑」とは書きません。伝統的な**「奉職(ほうしょく)」や、フラットな「勤務」「採用」**が使われます。
平成30年4月 〇〇市立〇〇中学校 奉職(または採用)国語科教諭として勤務
3. 外郭団体や独立行政法人の場合
役所に準ずる組織ですが、これらも会社ではないため「入職」や「入所」を使います。
令和元年4月 独立行政法人〇〇機構 入職(または入所)
公務員経験を民間企業へアピールする職歴欄の工夫
元公務員が民間企業へ転職する場合、「保守的」「ビジネス感覚が薄い」といった先入観を持たれがちです。履歴書の職歴欄では、役所特有の専門用語を避け、ビジネススキルとして翻訳して伝える工夫が必要です。
1. 専門用語をビジネス用語へ変換する
- 窓口業務・住民対応→ 「顧客折衝」「クレーム対応」「接遇スキル」と表現し、対人スキルの高さをアピールします。
- 予算管理・執行→ 「計数管理」「コスト管理」と表現し、数字に強い一面を見せます。
- 企画・立案→ 「プロジェクトマネジメント」「課題解決能力」として、調整力の高さを強調します。
2. 定量的な実績を盛り込む
「ミスなく業務をこなした」だけでなく、「業務フローの見直しにより処理時間を20%短縮した」「窓口の混雑緩和策を提案し、待ち時間を〇分削減した」など、数値を用いた改善実績を記載することで、民間でも通用する生産性の意識があることを証明します。
民間から役所へ転職する場合の履歴書の注意点
逆に、民間企業から公務員試験(社会人採用枠など)を受ける場合の履歴書作成についても触れておきます。
1. 指定フォーマットの確認を徹底する
自治体によっては、市販の履歴書ではなく指定の様式(エントリーシートや面接カード)の使用を義務付けている場合があります。募集要項を必ず確認し、指定がある場合はそれに従ってください。
2. 志望動機は「公益性」と「実務能力」をセットで
「安定しているから」「地元だから」という理由は、たとえ本音であっても避けるべきです。「民間で培った〇〇のスキルを活かし、地域課題である××の解決に貢献したい」というように、行政マンとしての使命感と即戦力性をセットで伝えることが重要です。
3. 手書きかパソコンか
最近は公務員試験でもパソコン作成が認められるケースが増えていますが、依然として手書きを求める自治体もあります。指定がない場合はパソコンでも構いませんが、丁寧さが重視される傾向にあるため、誤字脱字のない完璧な書類作成を心がけてください。
まとめ
役所関連の履歴書は、独特の用語使いやマナーが存在しますが、基本さえ押さえれば難しくありません。
「入庁」「退職」といった言葉を正しく使い分け、役所での経験を「汎用的なビジネススキル」として翻訳して伝えることで、堅実さと柔軟性を兼ね備えた人材であることをアピールしてください。





