中途採用の書類選考を突破する履歴書の書き方と採用担当者が重視する評価ポイント
転職活動において履歴書は、採用担当者が最初に応募者を知るための重要な書類です。新卒の就職活動以来、久しぶりに履歴書を作成するという方も多く、何を書けばよいのか、どのような形式が適切なのかと迷うことは少なくありません。中途採用では新卒採用とは異なり、即戦力としてのスキルや社会人としてのビジネスマナーが厳しくチェックされます。
履歴書の書き方一つで、仕事に対する丁寧さや志望度の高さが判断されてしまうこともあります。自分自身の経歴や熱意を正しく伝え、書類選考を突破するためには、基本的なルールを守りつつ、読み手にとって分かりやすい内容に仕上げることが不可欠です。ここでは中途採用における履歴書の正しい書き方や、採用担当者が重視する評価ポイント、そして各項目の具体的な記載テクニックについて詳しく解説します。
中途採用と新卒採用における履歴書の役割の違い
履歴書を作成する前に理解しておくべきなのは、新卒採用と中途採用では企業側が求めている情報が異なるという点です。新卒採用ではポテンシャルや熱意、人柄が重視されるため、学生時代の経験や性格的な側面が評価の対象となります。一方、中途採用では即戦力が求められます。これまでの実務経験で何を成し遂げてきたか、入社後すぐに活躍できるスキルを持っているかが最優先で確認されます。
したがって中途採用の履歴書では、単に経歴を羅列するのではなく、自身のキャリアが企業の求める要件と合致していることを端的に伝える必要があります。職務経歴書とセットで提出することが一般的ですが、採用担当者はまず履歴書で全体像を把握します。ここで興味を持ってもらえなければ、職務経歴書を詳しく読んでもらえない可能性もあります。履歴書は自身のキャリアの要約であり、プレゼンテーション資料の表紙のような役割を果たすものだと認識して作成することが大切です。
パソコン作成と手書きのどちらが有利か
かつては履歴書といえば手書きが基本とされてきましたが、現在の中途採用市場においてはパソコンで作成することが主流となりつつあります。特にIT企業や外資系企業、効率性を重視するビジネスの現場では、パソコン作成の方が好まれる傾向にあります。パソコンで作成することで、修正が容易であるだけでなく、WordやExcelなどの基本的なPCスキルを持っていることの証明にもなります。また、レイアウトが整いやすく、採用担当者にとっても読みやすいというメリットがあります。
一方で、歴史のある老舗企業や、文字の丁寧さから人柄を重視する企業、あるいは手書き指定がある場合には、手書きで作成することが望ましいケースもあります。どちらで作成しても合否に決定的な影響を与えることは少ないですが、応募する企業の社風や業界の慣習に合わせて選択するのが賢明です。どちらの場合でも、誤字脱字がないこと、丁寧に作成されていることが大前提となります。
基本情報と証明写真で意識すべきビジネスマナー
履歴書の最上部にある基本情報欄は、第一印象を決定づける要素です。日付は提出日(郵送の場合は投函日、面接持参の場合は当日の日付)を記入します。西暦か和暦(元号)かは、履歴書全体、および職務経歴書と統一することが鉄則です。住所は都道府県から省略せずに記載し、マンション名や部屋番号まで正確に記入します。
証明写真は履歴書の中で唯一の視覚情報であり、合否に大きく影響します。3ヶ月以内に撮影した写真を使用し、服装はスーツが基本です。表情は口角を少し上げた自然な微笑みを意識し、清潔感のある髪型やメイクを心がけます。スピード写真機でも撮影可能ですが、写真館でプロに撮影してもらうことで、明るさや姿勢が補正され、より信頼感のある写真を用意することができます。写真は裏面に氏名を記入してから貼付すると、万が一剥がれた際にも安心です。
職歴欄の書き方とアピールポイント
中途採用の履歴書において、最も重要視されるのが職歴欄です。学歴は義務教育終了後の高等学校入学から記載するのが一般的ですが、職歴はすべての入退社歴を正確に記入します。会社名は略さず正式名称で記載し、隣や下の行に業種や従業員数、簡単な職務内容を添えると、採用担当者がキャリアの背景を理解しやすくなります。
例えば、単に営業部に配属と書くのではなく、法人向け新規開拓営業に従事し、昨対比120パーセントを達成といったように、具体的な役割や成果を一言添える工夫が有効です。ただし、履歴書のスペースは限られているため、詳細は職務経歴書に譲り、あくまで概要を伝えることに留めるバランス感覚も必要です。退職理由については、自己都合の場合は一身上の都合により退社、会社都合の場合は会社都合により退社と定型文で記載します。在職中の場合は現在に至ると記入し、退職予定日が決まっている場合はかっこ書きで添えると親切です。
志望動機の構成と本人希望記入欄のマナー
履歴書における志望動機欄は、自身の熱意や企業への適合性をアピールする重要なスペースです。職務経歴書にも志望動機を書く場合がありますが、履歴書ではその要約として、なぜその業界・職種なのか、なぜその企業なのか、入社後にどう貢献したいかという3つの要素を簡潔にまとめます。結論から書き始め、採用担当者が一読して意図を理解できるように構成します。空欄のままにしたり、特になしと書いたりすることは、志望度が低いと判断されるため避けるべきです。
本人希望記入欄は、勤務地や勤務時間、給与などの希望条件を書く場所ですが、原則としては貴社の規定に従いますと記載するのがマナーです。書類選考の段階で過度な条件提示を行うと、扱いづらい人材と見なされるリスクがあります。ただし、親の介護や育児などでどうしても譲れない勤務条件がある場合や、職種が複数ある募集で希望職種を明記する必要がある場合に限り、その旨を簡潔に記載します。
提出前の最終チェックでミスを防ぐ
履歴書が完成したら、提出する前に必ず最終チェックを行います。誤字脱字は最も基本的なミスであり、注意力が散漫であるというマイナス評価に直結します。年号の不統一や、写真の貼り忘れ、印鑑が必要な場合の押し忘れなども確認ポイントです。また、書き損じた場合に修正液や修正テープを使用するのは厳禁です。間違えた場合は新しい用紙に最初から書き直すのが社会人としてのルールです。細部まで配慮が行き届いた履歴書は、あなたの仕事への誠実さを雄弁に語ってくれます。自信を持って提出できる書類を作成し、次のステップである面接へとつなげてください。





