総務職の書類選考を突破する履歴書の書き方と守りの要としての実力アピール術
企業の「縁の下の力持ち」として組織全体を支える総務職は、安定した需要がある一方で、人気が高く倍率が高くなりやすい職種です。「何でも屋」とも呼ばれる幅広い業務範囲ゆえに、履歴書に何をどう書けばよいのか迷ってしまう方も少なくありません。単に「事務経験があります」と伝えるだけでは、数ある応募者の中に埋もれてしまいます。
総務職の採用担当者が求めているのは、正確な事務処理能力だけでなく、組織の課題に気づき自ら動ける「察知力」や「調整力」です。ここでは総務職の書類選考を突破するために特化した履歴書の書き方や、具体的な職歴のアピール方法、そして評価される志望動機の視点について詳しく解説します。
総務職の採用担当者が履歴書で重視している評価ポイント
総務の仕事は、備品管理から株主総会の運営、ファシリティマネジメント(施設管理)、福利厚生の整備、社内行事の企画まで多岐にわたります。そのため、採用担当者は履歴書を通じて「守備範囲の広さ」と「業務の正確性」を重点的にチェックしています。
まず見られているのは、どの程度の規模感で業務を回していたかという点です。従業員数30名の企業と300名の企業では、総務に求められるスピード感や対応力が異なります。また、受け身でルーチンワークをこなすだけでなく、業務改善やコスト削減などに能動的に取り組める人物かどうかも重要な評価軸となります。履歴書そのものの作成においても、誤字脱字がないか、レイアウトが見やすいかといった細部への配慮が、そのまま実務能力の証明として見られています。
職歴欄では会社の規模と担当業務の範囲を明確にする
総務職の職歴欄において、単に「総務部に配属」と書くだけでは不十分です。採用担当者が知りたいのは、あなたが「どのような環境で」「何の業務を」「どのくらいの深さで」担当していたかという情報です。
記述する際は、まず在籍していた企業の従業員数や拠点数を明記します。これにより、あなたが対応していた業務のボリューム感が伝わります。その上で、担当業務を具体的に記載します。例えば「備品発注・管理」「契約書管理」「社内規定の改定」「Pマーク取得業務」といったように、具体的なタスクを挙げることで、即戦力としてのスキルセットを提示できます。
また、総務は他部署(人事や経理など)と業務が重複することもあるため、「給与計算補助」や「採用面接の案内」など、総務の枠を超えて担当していた業務があれば、それも漏らさず記載することで、マルチタスク能力の高さや柔軟性をアピールできます。
業務改善やコスト削減の実績を数値で示す
総務は売上を直接作る部署ではありませんが、経費削減や業務効率化によって利益に貢献することができます。職歴欄や自己PR欄では、定性的な「頑張りました」という表現ではなく、定量的な「数値」を用いた実績を示すことが効果的です。
例えば、「オフィスのレイアウト変更を主導し、外部倉庫の保管料を年間〇〇万円削減した」や「ペーパーレス化を推進し、会議資料の印刷コストを前年比〇〇パーセント削減した」、「社内申請フローを電子化し、承認までのリードタイムを〇日短縮した」といった具体的な成果を記述します。このように数字で語ることで、経営視点を持って業務に取り組める人材であることを証明でき、他の応募者との大きな差別化要因となります。
社内外との調整力をアピールする自己PRの書き方
総務職は、社内の全従業員はもちろん、ビル管理会社やリース会社、弁護士や社労士といった外部の専門家とも頻繁にやり取りを行います。そのため、円滑なコミュニケーション能力と調整力は必須のスキルです。
自己PRにおいては、立場や利害の異なる関係者の間に入り、どのように合意形成を図ったかというエピソードを盛り込みます。例えば「社内イベントの企画において、各部署の要望をヒアリングしながら予算内で実現可能なプランを策定し、参加率を向上させた」といった経験は、高い調整力の証明になります。また、トラブル発生時の対応力や、イレギュラーな事態にも冷静に対処できる柔軟性をアピールすることも、現場の要としての信頼感を高めるポイントです。
PCスキルは使用ソフトとレベル感を具体的に記載する
総務業務においてパソコンスキルは欠かせません。履歴書の資格欄や特技欄を活用し、PCスキルを具体的に記載します。Wordであれば「社内通達文書や契約書の作成」、Excelであれば「VLOOKUP関数やピボットテーブルを用いた備品管理台帳の作成」など、どのソフトを使って何ができるかを明記します。
もしITに強いのであれば、社内ヘルプデスク的な役割を担った経験や、新しいツールの導入支援を行った経験なども強力な武器になります。MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)などの資格を持っている場合は必ず正式名称で記載し、実務レベルの高さを裏付けてください。
会社のフェーズに合わせた志望動機の作成
総務職の志望動機では、応募先の企業が現在どのようなフェーズ(段階)にあるかを見極めて内容を構成することが重要です。
急成長中のベンチャー企業であれば、「未整備な環境の中で、規程作りやオフィス移転などを通じて組織の基盤を作りたい」という攻めの姿勢が好まれます。一方、安定した成熟企業であれば、「既存の業務フローを見直し、より効率的で働きやすい環境を整えることで社員のパフォーマンス向上に貢献したい」という守りと改善の姿勢が評価されます。「サポートが好きだから」という理由だけでなく、その会社の成長段階に合わせて、総務としてどのように経営や社員を支えたいかを語ることが、採用担当者の心を掴む志望動機となります。





