履歴書の緊急連絡先の正しい書き方と「同上」を使う際のマナー
転職活動で履歴書を作成していると、住所欄の下にある「緊急連絡先」や「連絡先(現住所以外に連絡を希望する場合のみ記入)」という欄の書き方に迷うことがあります。「実家を書くべきなのか」「一人暮らしの場合はどうすればいいのか」「同上と書いて失礼にならないか」といった疑問は、多くの応募者が抱くものです。
この欄は、採用担当者が応募者と確実にコンタクトを取るための予備手段であり、万が一のトラブルに備えるための重要な項目です。空欄のままにしておいたり、曖昧な書き方をしたりすると、リスク管理ができていないと判断される可能性もあります。ここでは履歴書における緊急連絡先の正しい書き方や、状況別の記入例、そして採用担当者に安心感を与えるためのポイントについて詳しく解説します。
履歴書の緊急連絡先欄が持つ役割と記入が必要なケース
履歴書にある緊急連絡先欄(または連絡先欄)の主な役割は、大きく分けて二つあります。一つ目は、現住所に郵送物が届かなかったり、電話がつながらなかったりした場合の予備の連絡先としての役割です。二つ目は、採用選考中や入社後に体調不良や事故などの緊急事態が発生した際に、家族や親族に連絡を取るための役割です。
したがって、実家から離れて一人暮らしをしている場合や、長期の出張や帰省などで現住所を不在にする期間がある場合は、実家や滞在先の住所を記入するのが一般的です。一方で、実家暮らしの場合や、特に別の連絡先を設ける必要がない場合は、現住所と同じであることを示す記載を行います。企業側はこの欄を見て「何かあった時に連絡がつく先があるか」を確認していますので、自身の状況に合わせて正確に情報を伝えることが大切です。
現住所と同じ場合に使う「同上」の正しい書き方
現住所と緊急連絡先が同じ場合、つまり実家暮らしであったり、特に別の連絡先を指定する必要がなかったりする場合は、「同上」と記入するのが正しいマナーです。わざわざ同じ住所を二度書く必要はありませんし、空欄のままにしておくのも「書き忘れ」と誤解されるリスクがあるため避けるべきです。
具体的な書き方としては、住所欄に「同上」と左寄せで記入します。ふりがな欄については、同上の場合は記入する必要はありません。ただし、電話番号欄については注意が必要です。住所が「同上」であっても、電話番号欄には再度、最も連絡がつきやすい番号(通常は携帯電話番号)を記入しておくことをお勧めします。採用担当者がパッと見た時に、すぐに電話番号を認識できるようにするための配慮です。もし固定電話がなく携帯電話のみの場合は、市販の履歴書の電話番号欄の名称を二重線で消すか、そのまま携帯番号を記入しても問題ありません。
一人暮らしで実家を緊急連絡先とする場合の書き方
一人暮らしをしている方で、現住所とは別に実家を緊急連絡先として登録しておきたい場合は、実家の住所、電話番号、そして世帯主などの氏名を記入します。特に「現住所以外に連絡を希望する場合のみ記入」とある欄に実家を書く際は、それが誰の家であるかを明確にする必要があります。
書き方のポイントは、住所の末尾に「(実家)」と書き添えるか、氏名欄に親の名前を書き、自分との続柄などを明記することです。もし表札の苗字が自分と異なる場合は、「〇〇様方」と記入して郵便物が確実に届くようにします。これにより、採用担当者はそこが本人以外の連絡先であることを認識し、適切な対応をとることができます。また、実家に連絡が入る可能性があることを事前に家族に伝えておくことも、トラブルを防ぐための重要なマナーです。
緊急連絡先に書ける親族がいない場合の対処法
事情により実家がない場合や、頼れる親族がいないために緊急連絡先として書ける人がいないというケースもあります。その場合は、無理に誰かの住所を書く必要はありません。履歴書のこの欄はあくまで「連絡がつかない場合の予備」ですので、現住所と同じ「同上」としておけば書類選考上は全く問題ありません。
ただし、入社手続きの際には身元保証人や緊急連絡先の提出を求められることが一般的です。その段階になれば、友人や知人、あるいは恩師などにお願いするか、どうしても難しい場合は会社に事情を説明して相談することになります。書類選考の段階では、まずは自分自身と確実に連絡が取れる状態にしておくことが最優先ですので、自身の携帯電話番号やメールアドレスを間違いなく記載することに注力してください。
連絡先欄を活用して連絡可能な時間帯を伝えるテクニック
緊急連絡先欄や本人希望記入欄を活用して、企業側が連絡を取りやすい時間帯を明記しておくことも有効なアピールになります。特に在職中の転職活動では、日中に電話に出られないことが多いため、「平日の9時から18時は現職のため電話に出ることができません。留守番電話に入れていただければ折り返しご連絡いたします」といった一文を添えておきます。
また、メールでの連絡を中心にしてほしい場合もその旨を記載します。このように相手の手間を減らす配慮を見せることは、ビジネスパーソンとしての実務能力の高さや、気配りができる人柄として評価されます。履歴書は単なるデータシートではなく、コミュニケーションツールの一つです。相手がスムーズに連絡を取れるように情報を整理し、読みやすい形で記載することが、書類選考を通過し面接へとつなげるための第一歩となります。





