ゲーム会社の書類選考で落ちる原因とは。ポートフォリオと志望動機の見直しで通過率を高める方法

憧れのゲーム会社に就職したいという一心で応募書類を送ったものの、面接に進めずに不採用通知を受け取ってしまうことは決して珍しくありません。ゲーム業界はクリエイティブで華やかなイメージがあり、新卒・中途を問わず非常に人気の高い業界です。そのため競争率は高く、書類選考の段階で多くの応募者が涙を呑むことになります。しかし書類選考で落ちるという結果には、単なる倍率の問題だけでなく、業界特有の評価基準を満たせていないという明確な原因が存在することが大半です。ここではゲーム会社の書類選考で落ちてしまう主な理由と、採用担当者の目に留まるために見直すべきポートフォリオや志望動機の改善ポイントについて詳しく解説します。

ゲーム業界の書類選考は難関であり落ちることは珍しくありません

まず前提として理解しておきたいのは、ゲーム会社の書類選考通過率は一般的な業界と比較しても低い傾向にあるという事実です。特に大手パブリッシャーや有名タイトルを持つ開発会社の場合、記念受験的な応募も含めて膨大な数のエントリーが集まります。そのため、通過率が数パーセントから10パーセント程度という狭き門になることもあります。数社落ちたからといって自信を喪失する必要はありませんが、漫然と同じ書類を出し続けても結果は変わりません。

ゲーム業界の採用担当者は、短時間で多くの書類をジャッジする必要があります。その中で落ちてしまう書類には、スキルのミスマッチや熱意の方向違いといった共通の特徴があります。落ちた事実をネガティブに捉えるのではなく、自分の書類には何が足りなかったのか、クリエイターとしての視点が欠けていなかったかを冷静に分析する材料とすることが、次回の選考突破への第一歩となります。

ポートフォリオの質と構成が合否を分ける最大の要因です

ゲーム業界、特にデザイナーやプランナー、そしてエンジニア職においても、履歴書や職務経歴書以上に重要視されるのがポートフォリオ（作品集）です。書類選考で落ちる人の多くは、このポートフォリオの作り込みが甘い傾向にあります。単に過去に作った作品を羅列しただけのカタログのようなポートフォリオでは、採用担当者の心をつかむことはできません。

評価されるポートフォリオには、作品そのもののクオリティに加え、制作過程における思考や技術力が明確に示されています。「なぜそのデザインにしたのか」「どの部分を自分が担当したのか」「制作にかかった時間はどれくらいか」「どのような技術的課題をどう解決したか」といった情報が記載されているかを確認してください。また、見る人の視点を意識し、最初に自信作を持ってくる、サムネイルで見やすく整理するといったプレゼンテーション能力も評価の一部となります。ポートフォリオはあなたの実力を証明する分身であり、ここを改善することが通過率アップへの最短ルートです。

プレイヤー視点の志望動機ではクリエイターとして評価されません

志望動機において「御社のゲームが大好きで、昔から遊んでいました」というファン心理をアピールしてしまうことは、書類選考で落ちる典型的なパターンです。もちろん自社製品への愛着は大切ですが、ゲーム会社が求めているのは「ゲームを楽しむ人（消費者）」ではなく「ゲームで人を楽しませたい人（提供者）」です。ファン目線で止まっていると、制作現場の厳しさに耐えられないのではないか、ユーザー視点しか持っていないのではないかと懸念されてしまいます。

通過する志望動機を書くためには、視点を「遊ぶ側」から「作る側」へと転換する必要があります。「そのゲームのどこが優れていて、なぜ面白いと感じるのか」を分析的な視点で語り、そこに「自分のスキルを加えることで、さらにどのような新しい体験や価値を生み出せるか」というビジネス視点での貢献意欲を伝えます。プロフェッショナルとして、その会社で何を実現したいのかを論理的に語ることが求められます。

募集要項と自身のスキルセットにミスマッチが生じている可能性

ゲーム業界は技術の進化が速く、職種ごとに求められるスキルセットが非常に細分化されています。書類選考で落ちる原因の一つとして、企業が求めているスキルと応募者が持っているスキルにズレがあるミスマッチが挙げられます。例えば、ハイエンドなコンシューマーゲームの開発経験を求めている求人に、ソーシャルゲームの運営経験のみで応募している場合や、Unityでの開発経験が必須の求人にUnreal Engineの経験しかない場合などです。

もちろんポテンシャル採用の枠もありますが、即戦力を求める中途採用では、使用ツールや開発環境の一致度が重視されます。応募する前に求人票を熟読し、自分のスキルが必須要件を満たしているかを確認することが大切です。もし不足している場合は、それを補うための自己学習の状況や、類似の経験から応用できるスキルを職務経歴書で具体的にアピールし、適応力の高さを証明する工夫が必要です。

未経験から挑戦する場合に不足しがちな熱意の具体的証明

未経験からゲーム業界を目指す場合、実務経験がない分、書類選考のハードルは格段に上がります。ここで落ちてしまう最大の理由は、熱意を裏付ける「行動」が見えないことです。「ゲームを作ってみたいです」「頑張ります」という言葉だけでは、採用担当者はリスクをとって採用しようとは思いません。未経験者が通過するためには、独学であっても実際にゲームを制作し、完成させた経験があるかどうかが問われます。

Unityや無料のツールを使って簡単なゲームを作り、それをポートフォリオとして提出する、あるいは企画書を書き上げて添付するといった具体的な成果物が必要です。「教えてもらおう」という受け身の姿勢ではなく、自ら手を動かして創作活動を行っている事実を示すことで、初めてクリエイターとしての素養があると判断されます。未経験だから作品がないのではなく、未経験だからこそ作品で熱意を証明するという気概が求められます。

落ちた原因を分析し修正を繰り返すことが内定への唯一の道です

ゲーム会社の書類選考は、一度落ちたからといって終わりではありません。同じ会社でも別のプロジェクトや職種で再応募できる場合もありますし、何より落ちた経験は次の応募書類をブラッシュアップするための貴重なデータとなります。ポートフォリオの構成は見やすかったか、志望動機はファンレターになっていなかったか、誤字脱字はなかったかなど、細部まで見直してください。

また、転職エージェントなどを利用して第三者の客観的なフィードバックをもらうことも有効です。自分では気づかなかった改善点が見つかることも多々あります。ゲーム制作と同じように、応募書類もトライアンドエラーを繰り返してクオリティを上げていくものです。不採用通知に一喜一憂して活動を止めるのではなく、なぜ落ちたのかを分析し、改善し続ける粘り強さが、憧れのゲームクリエイターへの扉を開く鍵となります。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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