履歴書に結婚を転職理由として書くべきか。好印象を与える書き方と注意点
結婚を機にする転職と履歴書の書き方
結婚は人生の大きな転機であり、それを機に転職を考える方は少なくありません。住居の移転やライフスタイルの変化に伴い、働き方を見直すことは自然な流れであります。しかし、いざ履歴書を作成する段になると、退職理由や志望動機として「結婚」という個人的な事情をどこまで書いて良いのか、あるいは書くべきなのか迷うことがあります。採用担当者は、応募者が長く働いてくれるか、仕事への意欲は高いかという点を重視しています。結婚という理由が、採用担当者にポジティブに伝わる書き方を理解しておくことが重要です。
履歴書の職歴欄では定型句を使用するのが基本
まず履歴書の職歴欄における退職理由の書き方についてですが、基本的には詳細な理由を書く必要はありません。結婚による退職であっても、自己都合退職に該当するため「一身上の都合により退職」と記載するのが最も一般的であり、ビジネスマナーとして定着しています。職歴欄はあくまでキャリアの事実を時系列で伝える場所であるため、個人的な事情を詳しく書くことでスペースを圧迫したり、公的な書類としての体裁を損ねたりすることは避けるべきです。
結婚に伴う転居がある場合の例外的な書き方
基本的には定型句で済ませる職歴欄ですが、結婚に伴い遠方へ転居(引っ越し)をしたために前職を退職した場合は、あえてその理由を記載することが有効な場合があります。なぜなら、短期間で退職している場合や、キャリアが一貫していないように見える場合でも、転居という不可避な事情があれば、採用担当者は納得しやすくなるからです。
その場合は、職歴欄の退職行の横や次の行に「結婚に伴う転居のため退職」と簡潔に書き添えます。これにより、前職でのトラブルや能力不足による退職ではないことを明確に伝えることができ、採用担当者の懸念を払拭する材料になります。
志望動機欄で結婚に触れる際の効果的な伝え方
履歴書の志望動機欄で結婚について触れる場合は、単に「結婚したから」という事実だけでなく、それが仕事への意欲にどうつながるかを論理的に説明する必要があります。
例えば、「結婚を機に、腰を据えて長期的にキャリアを形成したいと考えました」や、「家庭を持つことでより一層責任感を持って業務に取り組みたい」といったように、結婚を安定して働くための基盤としてポジティブにアピールします。採用担当者が懸念するのは、家庭を優先しすぎて仕事がおろそかにならないか、すぐに辞めてしまわないかという点です。そのため、ワークライフバランスを求めつつも、仕事に対する貢献意欲が高いことをしっかりと示す文章構成が求められます。
扶養範囲内や勤務条件の希望がある場合
結婚を機に働き方を変え、扶養範囲内での勤務や、勤務時間・勤務地に制限がある場合は、履歴書の「本人希望欄」を有効活用します。面接の場まで条件を伏せておくと、お互いにとって時間の浪費になる可能性があるためです。
「配偶者の扶養範囲内での勤務を希望いたします」や「家庭との両立のため、勤務時間は〇時までを希望いたします」と正直に、かつ丁寧に記載します。ただし、権利を主張するような書き方ではなく、「限られた時間の中で効率的に業務を遂行し貢献いたします」といった前向きな姿勢を併せて示すことが、好印象を与えるポイントとなります。
採用担当者が抱く懸念を先回りして解消する
女性の場合、結婚を機にした転職活動では、近い将来の産休や育休の取得可能性について採用担当者が気にする場合があります。もちろん、これらは労働者の権利であり、将来のことを確約する必要はありませんが、長く働く意思があることを伝えることは重要です。
「長期的に勤務し、貴社の中心メンバーとして活躍したい」という意思表示や、環境が変わっても柔軟に対応できる適応力の高さをアピールすることで、採用担当者の安心感につなげることができます。
履歴書と職務経歴書で一貫性を持たせる
履歴書に結婚を理由とした転職であることを記載した場合、職務経歴書や面接での発言とも一貫性を持たせることが大切です。履歴書では「一身上の都合」としておきながら、面接で突然「結婚したので」と話し始めると、情報の食い違いにより不信感を与える可能性があります。
特に転居などの明確な理由がある場合は、職務経歴書の自己PR欄や特記事項欄でも軽く触れ、新しい土地で心機一転頑張りたいという熱意につなげると、ストーリーとして納得感のあるものになります。結婚というライフイベントをキャリアのプラス要素として捉え、誠実に伝えることが転職成功への鍵となります。





