転職活動の履歴書作成。好印象を与えるボールペンの選び方とマナー

履歴書作成における筆記具の重要性

転職活動において履歴書を手書きで作成する場合、その文字の美しさや読みやすさは、応募者の第一印象を左右する重要な要素となります。丁寧に書かれた文字は、仕事に対する誠実さや熱意を採用担当者に伝えます。その丁寧さを最大限に引き出し、美しい履歴書を仕上げるためには、自身の筆圧や書き癖に合った適切なボールペンを選ぶことが第一歩となります。弘法筆を選ばずという言葉がありますが、履歴書作成においては、筆記具選びこそが書類の完成度を高めるための戦略の一つであると言えます。

最適なインクの種類はゲルインクか油性か

ボールペンのインクには主に油性、水性、ゲルインクの三種類があります。履歴書作成において最も推奨されるのはゲルインクのボールペンです。ゲルインクは水性インクの滑らかな書き心地と、油性インクの耐水性を兼ね備えており、発色が良く、くっきりとした濃い文字を書くことができるからです。文字がはっきりと見えることは、読み手である採用担当者にストレスを与えず、力強い意思を伝える助けとなります。

昔ながらの油性ボールペンも使用可能ですが、書き出しにかすれが生じたり、ペン先にインクの塊（ボテ）ができやすかったりするため、履歴書を汚してしまうリスクがあります。最近では低粘度油性インクという、滑らかでダマになりにくい油性ボールペンも販売されており、こちらは履歴書作成にも適しています。水性ボールペンは書きやすいものの、水に濡れると滲みやすいため、郵送中の事故などを考慮すると避けたほうが無難です。

ペン先の太さは0.5ミリか0.7ミリが適切

履歴書に適切な文字の太さは、用紙の記入欄の大きさとのバランスで決まります。一般的には0.5ミリの太さが標準的であり、最も推奨されます。0.5ミリであれば、氏名や住所などの大きな欄から、学歴・職歴などの細かい行まで、潰れることなく読みやすい文字を書くことができます。

筆圧が弱く文字が細くなりがちな方や、より力強い印象を与えたい場合は、0.7ミリを選ぶのも一つの方法です。0.7ミリは文字が太くはっきりとするため、大きな枠の履歴書や、自己PR欄などで強調したい場合に有効です。

一方で、0.38ミリ以下の極細ボールペンは避けるべきです。文字が細すぎると線が弱々しく見え、頼りない印象を与えてしまう可能性があります。また、読み手にとっても視認性が低くなるため、履歴書には不向きです。

消せるボールペンは絶対に使用してはいけない

近年普及している、摩擦熱でインクが無色になる消せるボールペンは、履歴書などの公的な書類やビジネス文書には絶対に使用してはいけません。履歴書は入社後も人事資料として長期保管される可能性のある重要書類です。消せるボールペンのインクは、コピー機の熱や夏場の高温環境などで意図せず消えてしまうリスクがあります。また、簡単に修正できるペンで書かれた書類は、改ざんが可能であるとみなされ、証書としての信頼性を失います。採用担当者に常識がないと判断され、書類選考で不合格になる原因となるため、必ず消えないボールペンを使用します。

インクの色は黒を選ぶのが基本ルール

履歴書に使用するインクの色は、黒一択です。万年筆のインクとしてブルーブラックという色がありますが、現代の転職活動における履歴書では、純粋な黒色を使用するのがビジネスマナーです。青色やその他の色は、カジュアルな印象を与えたり、事務処理上不都合が生じたりする場合があるため使用しません。黒インクの中でも、濃くはっきりとした発色のものを選ぶことで、清潔感と誠実さをアピールできます。

書きやすさを左右する機能とおすすめのタイプ

長文を書く履歴書作成においては、ペンの持ちやすさやインクの乾きやすさも重要です。グリップ部分にゴムやゲル素材が使用されているものは、長時間握っていても指が疲れにくく、手ブレを防いで安定した文字を書くことができます。また、速乾性に優れたインクを使用しているボールペンを選ぶことも大切です。インクの乾きが遅いと、書いた文字を手で擦ってしまい、用紙を汚してしまう原因になります。文具店で試し書きを行い、滑らかさと速乾性、そしてグリップの握り心地を確認してから購入することをお勧めします。

書き損じた場合の修正テープ使用について

ボールペンで履歴書を書いている最中に書き損じてしまった場合、修正液や修正テープを使用することは原則としてマナー違反となります。修正された跡がある履歴書は、見栄えが悪いだけでなく、志望度が低い、あるいは注意力が散漫であるといったマイナスの印象を与えてしまいます。一文字でも間違えた場合は、新しい用紙に最初から書き直すのが基本です。

書き損じを防ぐためには、鉛筆で薄く下書きをしてからボールペンで清書をする方法が有効です。清書後はインクが完全に乾いたことを確認してから、消しゴムで優しく下書きを消すことで、ミスのない美しい履歴書を作成することができます。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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