銀行員(銀行勤務経験者)の転職。採用担当者に伝わる履歴書の書き方
銀行員の転職活動と履歴書の役割
銀行員(銀行勤務経験者)の方が転職活動を行う際、履歴書は応募先企業に自身の基本的なプロフィールと熱意を伝えるための重要な書類であります。銀行業務は専門性が高く、その経験は転職市場においても高く評価される可能性がございます。しかし、その専門的な業務内容を、応募先(特に異業種)の採用担当者に分かりやすく「翻訳」し、自身の価値を的確にアピールする工夫が求められます。履歴書は、採用担当者が応募者の人柄やキャリアの概要を判断する最初の関門となります。
基本情報と写真。銀行員に求められる「信頼感」
履歴書の上部に記載する日付(提出日)、氏名、連絡先といった基本情報は、省略せず正確に記載することが大前提であります。特に、証明写真は応募者の第一印象を大きく左右します。銀行員として培われた「清潔感」「誠実さ」「信頼感」が伝わることが非常に重要であります。服装はビジネススーツを着用し、髪型や身だしなみを整え、知的で落ち着いた表情を心がけた写真を用意することが求められます。
学歴・職歴欄。銀行員キャリアの概要の示し方
学歴欄は、高等学校卒業から、あるいは最終学歴(大学など)から、学校名・学部・学科名を正式名称で正確に記載します。
職歴欄は、これまでのキャリアを示す重要な項目であります。これまでに勤務した銀行(法人名)を、入職・退職の年月と共に時系列で正確に記載します。銀行の場合、「入社」ではなく「入行」と記載することも一般的でありますが、「入社」と記載しても間違いではございません。
(記載例)
「〇〇年〇月 株式会社〇〇銀行 入行(あるいは入社)」
「〇〇支店 〇〇課 配属」
もし、在籍中に支店間の異動や、本部(本店)の部署への異動があった場合も、その年月と共に簡潔に(例。「〇〇年〇月 本店営業部へ異動」)記載すると、経験の幅が伝わりやすくなります。
職歴欄での簡潔な業務内容の補足
履歴書の職歴欄は、あくまでキャリアの「概要」を示す場でありますが、採用担当者が業務内容をイメージできるよう、簡潔な補足を加えることが有効であります。
(記載例)
「法人渉外担当として、中堅・中小企業の融資・コンサルティング業務に従事」
「個人向け窓口(リテール)担当として、資産運用相談・金融商品販売に従事」
「内部事務(預金・為替)担当として、正確な事務処理・管理業務に従事」
(※具体的な実績や数値、詳細な業務プロセスは、併せて提出する「職務経歴書」の方で具体的に記述します)
資格欄。専門性と学習意欲の客観的証明
銀行業務を通じて取得した資格や、自己研鑽(じこけんさん)で得た資格は、自身の専門性と学習意欲を客観的に証明するための強力なアピールポイントとなります。
「証券外務員(一種・二種)」や「ファイナンシャル・プランニング技能士(〇級)」、「宅地建物取引士」、「日商簿記検定(〇級)」といった金融・不動産・会計関連の資格は、多くの業界で評価されます。また、語学力(TOEICスコアなど)や、基本的なPCスキル(MOSなど)も、忘れずに正式名称で記載します。
志望動機欄。なぜ転職なのか、なぜ応募先なのか
採用担当者が履歴書の中で特に注目するのが「志望動機」欄であります。なぜ安定した銀行からの転職を決意したのか、そして、なぜ他の企業ではなく、その応募先企業を志望するのか、その理由を明確かつ論理的に記載する必要がございます。
単に「銀行のノルマが厳しかったから」といったネガティブな理由ではなく、「銀行で培った〇〇(例。財務分析能力、折衝能力)という強みを、貴社(御社)の〇〇(応募先の事業や職務)という、より〇〇(例。顧客の課題解決に深く)なフィールドで活かしたいと考えたため」といった、前向きなキャリアチェンジの意図を示すことが重要であります。
自己PR欄。銀行経験を「強み」に翻訳する
自己PR欄は、銀行員としての経験を通じて培われた「汎用的な強み(ポータブルスキル)」をアピールする絶好の場となります。履歴書のスペースは限られているため、その「要点」を簡潔に記載します。
例えば、銀行業務で求められる「数字に対する高い意識と正確性」、あるいは「厳格なコンプライアンス(法令遵守)意識と機密保持の徹底」は、どのような業種の管理部門や事務職でも高く評価されます。
また、「経営者層や多様な顧客と信頼関係を築く折衝能力」や、「顧客の課題を分析し、解決策を提案する論理的思考力」は、営業職や企画職で大いに活かせる強みであります。これらの強みを、簡潔なエピソード(要約)と共に記載し、応募先企業でどう貢献できるのかを結びつけます。
本人希望欄。適切な記載内容
本人希望欄には、原則として給与や待遇といった詳細な条件を記載することは避けます。特に希望がない場合や、企業の条件に従う場合は、「貴社(御社)の規定に従います。」と記載するのが、協調性を示す上で最も一般的で適切な書き方であります。ただし、在職中であり、連絡可能な時間帯が限られる場合や、入社可能日の目安など、選考プロセスを円滑に進めるための事務的な連絡事項がある場合は、その旨を簡潔に記載します。





