転職活動の履歴書。「留学」経験は書くべきか? 書き方とアピール術
転職活動と履歴書の「留学」経験の扱い
転職活動において履歴書を作成する際、過去の「留学」経験をどのように記載すべきか、あるいは記載すべきでないかと悩まれる方は少なくありません。新卒の就職活動においては、留学経験は応募者の行動力や異文化理解、語学力を示す重要なアピールポイントの一つとなります。
しかし、キャリア(職務経歴)を持つ転職活動においては、採用担当者が最も重視するのは、応募者がこれまでに培ってきた「実務経験」や「スキル」、そして「実績」であります。そのため、学生時代の留学経験を、新卒時と同じように大きくアピールする必要は必ずしもない場合がございます。
転職で「留学」経験の記載が有効となるケース
原則として職務経歴が重視される転職活動であっても、留学経験の記載が有効、あるいは記載すべきケースもございます。
ケース1。応募先企業の業務内容と関連性がある場合
留学経験が応募先企業の業務内容と直接的に関連する場合は、強力なアピールポイントとなります。例えば、留学によって培った高い「語学力(英語、中国語など)」が、応募先企業の必須(あるいは歓迎)スキルである場合(例。外資系企業、海外との取引がある商社、インバウンド対応があるホテル・観光業など)。
ケース2。職歴の「空白期間(ブランク)」の説明となる場合
前職を退職した後、社会人になってから留学(語学留学、専門留学、ワーキングホリデーなど)をしていた場合、その留学期間は職歴上の「空白期間(ブランク)」となります。採用担当者はこの空白期間の理由を必ず確認したいため、その期間に何をしていたのかを説明する事実として、留学経験を記載する必要がございます。
ケース3。第二新卒や職歴が浅い場合
社会人経験がまだ浅い「第二新卒」や20代前半の方の場合、職務経歴だけでは伝えきれない自身のポテンシャル(潜在能力)を補完する材料として、留学経験が有効に機能する場合がございます。留学という異なる環境で培われた「主体性」や「異文化適応能力」、「課題解決能力」といった基礎的なスタンスをアピールできます。
履歴書の「学歴」欄への記載方法
学生時代に「交換留学」や「認定留学」など、在籍していた大学(あるいは高校)のプログラムの一環として留学した場合は、学歴欄にその事実を簡潔に記載することができます。
(記載例)
「〇〇年〇月 〇〇大学〇〇学部〇〇学科 入学」
「〇〇年〇月 (〇〇大学(国名)へ交換留学(〇〇年〇月まで))」
「〇〇年〇月 〇〇大学〇〇学部〇〇学科 卒業」
※夏休みなどを利用した短期の語学留学(数週間~数ヶ月程度)については、学歴として記載するほどの重要度は高くないため、無理に学歴欄に記載する必要はございません。
履歴書の「職歴」欄への記載方法(社会人留学)
社会人になってから(退職後)留学した場合は、その期間と目的を、職歴欄のブランク期間を説明する形で記載します。
(記載例)
「〇〇年〇月 株式会社〇〇 一身上の都合により退職」
「〇〇年〇月 語学力向上のため、〇〇(国名)へ留学(〇〇年〇月まで)」
「〇〇年〇月 株式会社〇〇 入社」
「資格」欄や「自己PR」欄でのアピール方法
留学経験を最も効果的にアピールできるのは、履歴書の「資格」欄や「自己PR」欄、あるいは併せて提出する「職務経歴書」であります。
「資格」欄には、留学の成果として取得した語学資格(例。「TOEIC L&R TEST 〇〇〇点 取得」「実用英語技能検定試験 〇級 合格」)を、客観的なスキルとして必ず記載します。
「自己PR」欄では、単に「留学していました」という事実だけでなく、その留学体験から何を得て、それが応募先企業の業務でどのように活かせるのか、その「強み」と「貢献意欲」を結びつけて記載することが重要であります。
(記載例)「〇年間の留学経験を通じて、多様な価値観を持つ人々と議論し、課題を解決する異文化適応能力を培いました。この経験は、貴社(御社)の海外部門において、円滑なコミュニケーションを築く上で活かせると考えております。」
結論。留学経験は「応募先との関連性」でアピールする
転職活動の履歴書において、留学経験は、それが応募先企業の求めるスキルや人物像とどのように関連しているのかを、応募者自身が論理的に説明できて初めて、有効なアピールポイントとなります。自身のキャリアの中でその経験をどう位置づけ、次の仕事にどう活かすのかを明確にすることが、書類選考を通過するための鍵となります。





