無期雇用派遣の転職。履歴書の正しい書き方とアピールのコツ
転職における「無期雇用派遣」経験と履歴書の悩み
転職活動において履歴書を作成する際、これまでのキャリアが「無期雇用派遣(常用型派遣)」であった場合、その職歴をどのように記載すべきか、悩まれる方は少なくありません。無期雇用派遣は、登録型派遣とは異なり、雇用契約を結んでいる「派遣元」(派遣会社)と、実際に業務を行っていた「派遣先」(常駐先企業)が異なるという構造に加え、派遣元との雇用関係が継続しているという特徴がございます。この経歴を、採用担当者にいかに正確に、かつ分かりやすく伝えるかが重要となります。
履歴書の職歴欄と職務経歴書の役割分担
まず理解しておくべきは、履歴書と職務経歴書の役割の違いであります。履歴書の「職歴欄」は、応募者が「いつ」「どの会社に」在籍していたのかというキャリアの「概要(事実)」を、時系列で簡潔に示すための項目であります。
一方、併せて提出する「職務経歴書」は、その在籍期間中に「具体的にどのような派遣先で」「どのような業務を担当し」「どのようなスキルを培ってきたのか」を、採用担当者に詳細に説明し、アピールするための書類であります。
履歴書の職歴欄。雇用契約(派遣元)を基準に記載する
履歴書の職歴欄は、応募者が雇用契約を結んでいた「所属会社(派遣元)」を基準に、時系列で記載するのが大原則であります。派遣先が変わることは「転職」ではありません。あくまで、派遣元の会社への「入社」と「退職」(あるいは「現在に至る」)という事実を、職歴として記載します。
履歴書の職歴欄への具体的な書き方
履歴書の職歴欄には、まず派遣元(派遣会社)の情報を記載します。その際、無期雇用派遣(常用型派遣)であったことを明記すると、採用担当者に状況が伝わりやすくなります。
(記載例)
「〇〇年〇月 〇〇株式会社(派遣元企業名) 入社(無期雇用派遣社員として)」
「現在に至る」
派遣先と業務内容の簡潔な補足
採用担当者がキャリアの概要を把握できるよう、会社名の次の行などに、どのような業務に従事していたのかを簡潔に補足することも有効な書き方であります。
(記載例)
「〇〇年〇月 〇〇株式会社(派遣元企業名) 入社(無期雇用派遣社員として)」
「 〇〇株式会社(派遣先企業名) 〇〇部にて〇〇業務に従事」
「現在に至る」
派遣先が多い場合の書き方
もし、経験した派遣先が多数あり、履歴書の限られた職歴欄に全ての派遣先を書ききれない場合は、その全てを履歴書に羅列する必要はございません。その場合、全ての派遣先の詳細な羅列は、併せて提出する「職務経歴書」の方に譲ります。
履歴書の職歴欄には、派遣元企業への在籍期間のみを記載し、業務内容の補足として「(詳細は職務経歴書をご参照ください)」と一文添えるか、あるいは、応募先企業の業務内容と関連性が高い、主要な派遣先(1社から2社程度)のみを抜粋して簡潔に記載する、といった方法が有効であります。
詳細は職務経歴書でアピールすることが鍵
履歴書の職歴欄でキャリアの「概要」を正確に示した上で、無期雇用派遣の経験の「強み」は、職務経歴書の方で詳細にアピールすることが不可欠であります。職務経歴書では、所属会社ごとに、時系列で「プロジェクト単位(派遣先単位)」の経歴を記載し、プロジェクト(派遣先)の概要(業界など)、自身の役割、担当した具体的な業務内容、そして使用したスキル(PCスキルなど)を具体的に明記します。
無期雇用派遣の経験を「強み」としてアピールする
無期雇用派遣という働き方で得た経験は、転職市場において価値の高い「強み」として、履歴書の自己PR欄などでアピールすることが可能であります。
例えば、短期間で異なる派遣先の環境、業務ルール、人間関係に適応してきた経験は、「高い環境適応能力」や「柔軟性」の証明となります。また、様々な企業や業界の業務プロセスを経験したことは、「幅広い業務知識」や「多様なシステムへの対応力」を持っていることにつながります。
特に、無期雇用派遣として派遣元に継続して雇用されていた事実は、自身の「安定性」や「信頼性」を示す材料ともなり得ます。
正社員転職を目指す場合の志望動機
もし、無期雇用派遣から正社員への転職を目指す場合、履歴書の志望動機欄では、「なぜ正社員として働きたいのか」という理由と、「なぜその応募先企業でなければならないのか」という熱意を、明確に伝えることが不可欠であります。「これまでの多様な派遣経験で培った〇〇のスキル(例。適応力、幅広い業務知識)を活かし、今後は貴社(御社)の一員として、より責任ある立場で長期的に貢献したい」といった、前向きなキャリアプランと貢献意欲を示すことが、採用担当者の信頼を得る鍵となります。





