転職活動の履歴書。「長所・短所」の書き方とアピール術

転職における履歴書の「長所・短所」欄の役割

転職活動において履歴書を作成する際、「長所・短所」を記載する欄が設けられている場合がございます。採用担当者は、この欄を通じて、応募者の「職務経歴」や「スキル」といった実務的な側面だけでなく、その「人柄」や「価値観」が、自社の社風やチームと適合（マッチ）するかどうかを判断しようとしています。また、自身の特性を客観的に「自己分析」できているか、という点も評価の対象となります。

「長所」の書き方。仕事での再現性を意識する

履歴書に記載する「長所」は、単なる性格的な美点（例。「明るい」「優しい」）を記載するだけでは、採用担当者へのアピールとしては不十分であります。重要なのは、その長所が、応募先企業での「仕事（実務）」において、どのようにポジティブに発揮される（活かせる）のか、その「再現性」を示すことであります。

そのため、自身の長所を提示する際は、それを裏付ける具体的な「エピソード（特に職務経験の中での出来事）」を簡潔に添えると、説得力が格段に増します。

「長所」の例文（エピソードを添えて）

例えば、「長所は協調性がある点です」と記載するだけでなく、「前職では、営業部門と開発部門の意見が対立した際、双方のニーズを傾聴し調整役を務めることで、プロジェクトの円滑な進行に貢献しました」といった形で、その長所がどのように業務上の成果や円滑な運営に貢献したのかを示すことが重要であります。

「短所」の書き方。客観的な自己分析と改善努力

「短所」については、「特にありません」や空欄で提出することは、客観的な自己分析ができていない、あるいは誠実さに欠けると判断される可能性があるため、避けるのが賢明であります。

短所を記載する上で最も重要なのは、その短所を自身で「自覚」しており、それを補うために、あるいは「改善」するために、現在どのような「努力」や「意識」をしているのかを、必ずセットで記載することであります。

「短所」の例文（改善努力を添えて）

「短所」は、見方を変えれば「長所の裏返し」であるような内容を選ぶと、伝えやすくなります。例えば、「慎重すぎる（長所。正確性がある）」「頑固・こだわりが強い（長所。責任感が強い）」といった点です。

（記載例）「短所は慎重すぎるあまり、意思決定に時間がかかる場合がございます。そのため、タスクの重要度と緊急度（優先順位）を常に確認し、スピードと正確性のバランスを取るよう意識しております。」

このように、短所を自覚した上で、それをコントロールしようと前向きに取り組む姿勢を示すことが、採用担当者の信頼感につながります。

履歴書で避けるべき「短所」の記載

短所を正直に記載することは重要でありますが、社会人としての基本的な資質や、応募先企業の業務遂行に致命的な影響を与えると判断されかねない短所（例。「時間にルーズである」「協調性がない」「約束を守れない」「飽きっぽい」など）を、あえて記載することは避けるべきであります。

職務経歴書の「自己PR」との違い

もし、履歴書に「長所・短所」欄と「自己PR」欄の両方がある場合、その役割分担を意識することも有効であります。「自己PR」欄は、主にこれまでの職務経歴に基づいた、具体的な「実績」や「専門スキル」（仕事の能力）をアピールする場とします。一方で、「長所・短所」欄は、その仕事を進める上での「スタンス（姿勢）」や「人柄」といった、内面的な側面をアピールする場として使い分けると、応募者の多面的な魅力を伝えることができます。

結論。「長所・短所」は自己分析のアピールの場

転職活動の履歴書における「長所・短所」欄は、単なる性格診断ではございません。自身の特性を客観的に「自己分析」し、長所は仕事の「強み」として、短所は「改善・克服の対象」として前向きに捉えている姿勢を示す、重要なアピールの機会であります。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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