整備士の転職。採用担当者に伝わる履歴書の書き方
整備士の転職活動と履歴書の役割
整備士の方が転職を考える際、履歴書は応募先(ディーラー、整備工場、カー用品店など)に自身の基本的なプロフィールと、技術者としての信頼性を伝えるための必須書類であります。採用担当者(工場の責任者や人事担当)は、この履歴書を通じて、応募者がどのような資格を持ち、どのような環境で経験を積んできたのか、その概要を最初に確認します。
履歴書が自身の「概要」を示すものであるのに対し、職務経歴書は「具体的な整備経験やスキル」を詳細に説明する書類であります。この二つの役割の違いを理解し、履歴書では自身の基本情報を正確かつ丁寧に伝えることが、書類選考を通過するための第一歩となります。
基本情報と写真。整備士に求められる「信頼感」
履歴書の上部に記載する日付(提出日)、氏名、連絡先といった基本情報は、省略せず正確に記載することが大前提であります。
特に、証明写真は応募者の第一印象を大きく左右します。整備士は、お客様の大切な車両(命)を預かる仕事であるため、写真からは「誠実さ」「清潔感」「信頼感」が伝わることが非常に重要であります。服装は、作業着ではなく、ビジネススーツを着用するのが基本です。髪型や髭(ひげ)なども含め、身だしなみを整え、真面目な印象を与える写真を用意します。
学歴・職歴欄の書き方
学歴欄は、高等学校卒業から、あるいは整備士資格の取得に関連する最終学歴(工業高等学校、整備専門学校、大学の工学部など)から、学校名・学部・学科名を正式名称で正確に記載します。
職歴欄は、これまでに勤務した会社名(〇〇自動車販売株式会社、〇〇モータースなど)を、入社・退職の年月と共に時系列で正確に記載します。その際、採用担当者が業務内容をイメージできるよう、「(〇〇(メーカー名)系ディーラー)」「(車検・一般整備専門工場)」といった形で、勤務先の概要を簡潔に補足すると親切であります。
また、「自動車整備士として車検・点検業務に従事」といった形で、主な役割を簡潔に添えることも有効であります。(※具体的な担当業務や整備台数、実績などは、併せて提出する職務経歴書の方で具体的に記述します)
整備士の転職で最重要な「資格欄」
整備士の転職において、履歴書の「資格欄」は、自身の技術レベルを客観的に証明するための、最重要項目の一つであります。保有している資格は、取得年月と共に「正式名称」で正確に記載する必要がございます。
まず、国家資格である「自動車整備士技能登録試験」の級位(例。「一級小型自動車整備士」「二級ガソリン自動車整備士」「三級自動車シャシ整備士」など)を正確に記載します。
その他、業務に関連する資格も、強力なアピールポイントとなります。例えば、「自動車検査員」「危険物取扱者(乙種4類など)」「ガス溶接技能講習 修了」「アーク溶接特別教育 修了」「玉掛け技能講習 修了」といった資格や講習は、業務の幅広さを示す上で非常に有効です。
もちろん、「普通自動車第一種運転免許」も必須であり、もしマニュアル(MT)免許や、中型・大型免許を保有している場合は、それも正確に明記します。
熱意と適性を伝える「志望動機欄」
採用担当者が履歴書の中で特に注目するのが「志望動機」欄であります。なぜ他の整備工場やディーラーではなく、その応募先を志望するのか、その理由を具体的に記載する必要があります。
そのためには、応募先の特色(例。扱っている車種、最新技術(ハイブリッド・EV)への強み、研修制度の充実、顧客からの評価など)を事前にしっかりと研究することが不可欠であります。
自身のこれまでの経験(例。〇〇(メーカー)車の整備経験)が、応募先でどのように活かせると考えているのか、あるいは、未経験の分野(例。板金塗装、大型車整備など)に挑戦したいという熱意などを、応募先の強みと結びつけて伝えます。
「自己PR」欄と「本人希望欄」
自己PR欄は、職歴欄や資格欄では伝えきれなかった自身の強みをアピールする項目であります。整備士として求められる「安全意識の高さ」「ミスのない正確な作業」「責任感」「体力」、あるいは「新しい技術を学ぶ向上心」「チームで働く協調性」「(もしフロント業務経験があれば)顧客への説明能力」など、自身の強みを簡潔なエピソードと共に記載します。
本人希望欄には、原則として給与や待遇といった条件面を詳細に記載することは避けます。特に希望がない場合は、「貴社(御社)の規定に従います。」と記載するのが一般的であります。ただし、希望する業務内容(例。整備業務のみ希望、フロント業務も可など)や、勤務形態に絶対に譲れない条件がある場合のみ、その旨を簡潔に記載します。





