警察官から転職。履歴書の書き方と「強み」のアピール方法
警察官の転職と履歴書の役割
警察官の方が、民間企業など異業種への転職を決意された際、履歴書の作成に悩まれることは少なくありません。公務員としてのキャリア、特に警察官という専門性の高い業務内容は、民間企業の採用担当者にとって評価が難しい側面があるからです。履歴書は、応募者の基本的なプロフィールを伝える書類であると同時に、これまでに培ってきた経験やスキル、そして人柄を、応募先の業種でも理解できるような言葉に「翻訳」して伝える、最初の重要なツールとなります。
基本情報と写真。信頼感の伝達
履歴書の上部に記載する日付(提出日)、氏名、連絡先といった基本情報は、省略せず正確に記載することが大前提であります。特に、証明写真は応募者の第一印象を大きく左右します。警察官としての規律や誠実さが伝わるよう、清潔感のあるビジネススーツを着用し、髪型や身だしなみを整え、信頼感の伝わる表情で撮影に臨むことが望ましいです。
学歴・職歴欄。公務員経歴の書き方
学歴欄は、高等学校卒業から、あるいは最終学歴(大学、専門学校など)から、学校名・学部・学科名を正式名称で正確に記載します。
職歴欄は、警察官としてのキャリアを示す重要な項目であります。まず「職歴」と中央に記載し、次の行から時系列で記載します。公務員の場合、「入社」ではなく「採用」と記すのが一般的です。
(記載例)
「〇〇年〇月 〇〇県警察 採用」
「〇〇年〇月 〇〇警察署 地域課 配属」
といった形で、採用された組織(〇〇県警察など)と、配属された所属(警察署、課)を記載します。
部署異動や昇進の記載
もし、在籍中に所属部署の異動(例。地域課から刑事課へ)や、階級の昇進があった場合は、それも時系列に沿って簡潔に記載します。これは、応募者の経験の幅やキャリアのステップアップを示す情報となります。
(記載例)
「〇〇年〇月 〇〇警察署 刑事課へ異動」
「〇〇年〇月 巡査部長に昇任」
業務内容の補足と守秘義務への配慮
履歴書の職歴欄は、あくまでキャリアの「概要」を示す場でありますが、採用担当者が業務内容をイメージできるよう、簡潔な補足説明(例。「地域住民の安全確保と防犯活動に従事」など)を加えても良いでしょう。ただし、具体的な事件名や捜査内容、機密情報など、守秘義務に抵触する可能性のある内容は、絶対に記載してはなりません。詳細な業務内容やアピールポイントは、併せて提出する「職務経歴書」の方で、守秘義務に配慮しながら具体的に記述します。
資格欄。警察官経験と関連スキル
資格欄には、まず「普通自動車第一種運転免許」など、基本的な免許を記載します。警察官の業務に関連して取得した資格、例えば「大型自動二輪免許」や、柔道・剣道といった武道の「段位」なども、自身の鍛錬やスキルを示すものとして記載して問題ありません。
もし、転職先(民間企業)での業務を見据え、自主的に取得した資格(例。PCスキル(MOS)、宅地建物取引士、語学資格など)があれば、それは転職への意欲と学習姿勢を示す強力なアピールポイントとなるため、必ず記載します。
志望動機欄。なぜ民間企業なのか
採用担当者が履歴書で最も注目する項目の一つが「志望動機」であります。なぜ、安定した公務員(警察官)の職を辞してまで、未経験の民間企業(あるいはその業界・職種)を志望するのか、その理由を明確かつ論理的に説明する必要がございます。単に「前職が厳しかったから」といったネガティブな理由ではなく、「警察官として培った〇〇(例。責任感、課題解決能力)を、今度は貴社(御社)の〇〇という分野で活かし、社会に貢献したい」といった、前向きなキャリアチェンジの意欲を示すことが重要です。
自己PR欄。警察官経験を「強み」に翻訳する
自己PR欄は、警察官としての経験を通じて培われた「汎用的な強み(ポータブルスキル)」をアピールする絶好の場となります。
例えば、厳しい規律の中で培われた「極めて高い規律性」や「責任感」、「法令遵守意識(コンプライアンス意識)」。あるいは、緊迫した現場や困難な状況を乗り越えてきた「強靭な精神力(ストレス耐性)」や「冷静な判断力」。また、多様な地域住民や関係者と接してきた「コミュニケーション能力」や「折衝能力」。これらは、民間企業のどのような職場であっても高く評価される強みであります。
これらの強みが、警察官時代のどのような経験(職務経歴書で詳述するエピソード)に裏付けられているのかを簡潔に示し、応募先企業でどう活かせるのかを結びつけて記載することが、書類選考を通過するための鍵となります。





