エンジニアの転職。履歴書で技術力を伝える書き方
エンジニアの転職活動と履歴書の役割
エンジニア(技術職)の方が転職活動を行う際、応募書類として履歴書と職務経歴書の両方の提出が求められることが一般的です。この二つの書類は、それぞれ異なる役割を持っています。
職務経歴書が、これまでに担当したプロジェクトの詳細、使用した技術(開発環境)、担当フェーズ(工程)、そして具体的な実績を詳細に説明し、自身の「技術的な専門性」をアピールするための書類であるのに対し、履歴書は、応募者の氏名、学歴、職歴の概要、保有資格といった基本的なプロフィールと、入社への熱意を伝えるための書類であります。
採用担当者は、まず履歴書で応募者の概要や適性の有無を判断し、その上で職務経歴書の詳細な内容に目を通す流れが多いため、履歴書も手を抜かずに作成することが重要であります。
履歴書作成の基本(日付・氏名・写真)
履歴書の上部に記載する日付(提出日)、氏名、連絡先といった基本情報は、エンジニアの転職活動においても、他の職種と同様に、省略せず正確に記載することが大前提であります。
証明写真は、応募者の第一印象を左右します。特にエンジニアという論理性が求められる職種においては、清潔感があり、知的で誠実な印象を与える写真が望ましいです。ビジネススーツを着用し、髪型や身だしなみを整え、撮影に臨むことが基本となります。
学歴・職歴欄の書き方
学歴欄は、高等学校卒業から、あるいは最終学歴(大学、専門学校など)から、学校名・学部・学科名を正式名称で正確に記載します。
職歴欄は、エンジニアとしてのキャリアの概要を示す項目であります。これまでに勤務した会社名(正式名称)を、入社・退職の年月と共に時系列で正確に記載します。その際、採用担当者が概要を把握できるよう、「(システムエンジニアとして〇〇システムの開発に従事)」といった形で、どのような職務を担当していたのかを簡潔に補足することも有効であります。ただし、詳細なプロジェクト内容や業務内容は、併せて提出する職務経歴書の方で具体的に記述するため、履歴書の職歴欄はあくまで概要に留めます。
エンジニアの転職で最重要な「資格欄」
エンジニアの転職において、履歴書の「資格欄」は、自身の技術レベルや知識の幅、そして学習意欲を客観的に証明するための、最重要項目の一つであります。保有している資格は、取得年月と共に「正式名称」で正確に記載します。
例えば、「基本情報技術者試験 合格」「応用情報技術者試験 合格」といった国家資格。あるいは、「PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)」、「Oracle Master(Gold/Silver/Bronze)」、「AWS(Amazon Web Services)認定ソリューションアーキテクト」や「Google Cloud 認定資格」、「Microsoft Azure 認定資格」といったベンダー資格や民間資格も、自身の専門分野と合致する場合は強力なアピールポイントとなります。
熱意と技術的関心を伝える「志望動機欄」
採用担当者が履歴書の中で特に注目するのが「志望動機」欄であります。なぜ他のIT企業ではなく、その応募先企業を志望するのか、その理由を具体的に記載する必要があります。
エンジニアの場合、応募先企業が採用している「技術スタック(言語、フレームワークなど)」への関心や、手掛けている「サービス(製品)」への魅力、あるいは「開発文化(アジャイル開発、コードレビューなど)」への共感といった、技術的な視点に基づいた志望動機を盛り込むと、熱意と専門性が伝わりやすくなります。自身のこれまでの経験が、応募先企業の技術やサービスにどう貢献できると考えているのか、その接点を示すことが重要であります。
「自己PR」欄と「本人希望欄」
自己PR欄は、職歴欄や資格欄では伝えきれなかった自身の強みをアピールする項目であります。履歴書のスペースは限られているため、自身の最も核となる強み(例。「〇〇言語での開発経験」「新しい技術への高い学習意欲」「チーム開発における協調性」「論理的思考力」など)を、簡潔なエピソードと共に記載します。
本人希望欄には、原則として給与や待遇といった条件面を詳細に記載することは避けます。特に希望がない場合は、「貴社(御社)の規定に従います。」と記載するのが一般的であります。ただし、希望する職種(例。「バックエンドエンジニア職を希望いたします」)が明確な場合や、勤務形態に絶対譲れない条件がある場合のみ、その旨を簡潔に記載します。
職務経歴書との連携が鍵
履歴書は、あくまで自身のキャリアの「概要」と「熱意」を伝える書類であります。エンジニアとしての豊富なプロジェクト経験や、詳細な開発環境、担当フェーズ、そして具体的な実績や成果については、併せて提出する「職務経歴書」の方で、より詳細かつ具体的にアピールする必要がございます。履歴書と職務経歴書の役割分担を意識し、両方で一貫性のあるメッセージを伝えることが、書類選考を通過するための鍵となります。





