アパレル業界の転職。履歴書の書き方とアピールポイント

アパレル業界の転職と履歴書の役割

アパレル業界の転職活動において、履歴書は応募者の基本的なプロフィールを伝えるだけでなく、応募者の「業界への理解度」や「熱意」、そして「ブランドイメージとの適合性」を採用担当者に伝えるための、最初の重要なツールとなります。採用担当者（店長、人事、ブランドマネージャー）は、履歴書に記載された学歴や職歴といった基本的な情報と共に、志望動機や自己PRといった項目から、応募者が自社のブランドイメージと合致し、活躍してくれる人材かどうかを判断しようとしています。

【ケース1】アパレル経験者が転職する場合（同業種）

アパレル業界内で転職（例。販売職から販売職、店長候補など）する場合、履歴書は自身の即戦力性をアピールする場となります。

職歴欄の書き方。店舗概要と役割を明記

職歴欄には、在籍した会社名（ブランド名）、店舗名、在籍期間を正確に記載します。その際、採用担当者が応募者の経験の背景を理解しやすいよう、「（〇〇（例。レディース・カジュアル）ブランド、〇〇（立地。例。百貨店、路面店）店）」といった形で、店舗の概要やターゲット層を簡潔に補足することが有効であります。

また、もし「店長」「副店長（サブ）」、あるいは「新人教育担当」「VMD（ビジュアルマーチャンダイジング）担当」といった役職や役割を担っていた場合は、その事実も必ず明記します。これは、自身のスキルレベルや責任範囲を示す上で重要な情報となります。

志望動機欄。ブランドへの理解と貢献意欲

志望動機欄は、採用担当者が特に注目する項目であります。「服が好きだから」といった抽象的な理由ではなく、「なぜ他の多くのブランドではなく、その応募先ブランドでなければならないのか」を、具体的に記述する必要があります。応募先ブランドのコンセプト、デザイン、ターゲット層などを研究し、そのどのような点に魅力を感じているのかを示します。その上で、自身のこれまでの経験（例。〇〇（顧客層）への接客経験、〇〇（商材）の販売経験）が、応募先ブランドでどのように活かせると考えているのか、その貢献イメージを結びつけて伝えます。

自己PR欄。実績の要点と強み

自己PR欄では、自身の強みをアピールします。アパレル業界で評価される強みとは、例えば「高い接客能力（顧客ニーズの把握力）」「コーディネート提案力」「売上目標への達成意欲」などであります。もし、月間の個人売上目標の達成率や、顧客のリピート率（指名客数）といった、具体的な「実績」があれば、その要点を簡潔に示すことも非常に有効であります。（詳細は職務経歴書で補足します）

【ケース2】未経験からアパレル業界へ転職する場合

他業種から未経験でアパレル業界（特に販売職など）へ転職を目指す場合、採用担当者は実務経験の代わりに「熱意」と「適性」を重視します。

志望動機欄。熱意とブランドへの理解

履歴書の志望動機欄は、未経験のハンデを乗り越えるための最も重要なアピール項目となります。なぜ未経験からアパレル業界を志望するのか、その強い熱意を自身の言葉で伝えます。併せて、応募先ブランドへの深い理解と、そのブランドで働きたいという具体的な理由を明記します。

自己PR欄。活かせる汎用スキルのアピール

「未経験だからアピールできる強みがない」と考える必要はございません。前職（現職）の経験から、アパレル業界の業務（特に販売職）で活かせる「汎用スキル（ポータブルスキル）」を抽出し、アピールします。例えば、他業種の接客業で培った「高いコミュニケーション能力」や「顧客対応力」、事務職で培った「正確な在庫管理能力」や「PCスキル」、営業職で培った「目標達成意欲」などは、アパレル業界でも高く評価される強みであります。

履歴書写真の服装。スーツか、ブランドイメージか

一般的な転職活動では、履歴書の証明写真の服装はスーツが基本であります。アパレル業界においても、特に本社勤務（例。事務職、企画職）に応募する場合や、外資系・ラグジュアリーブランドなど、厳格なマナーを重視する企業の場合は、スーツが無難であります。

しかし、販売職の応募や、カジュアルな社風のブランド、あるいは個性を重視するブランドの場合、応募者のセンスやブランドイメージとの適合性を見るために、スーツ以外の「清潔感のあるオフィスカジュアル」や、「応募先ブランドのイメージに合わせた服装」が、かえって好印象を与えるケースもございます。

応募先企業の募集要項に服装の指定がないかを確認し、もし迷った場合は、清潔感のあるスーツ（またはジャケット着用）を選ぶのが最も安全な選択と言えます。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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