転職活動における履歴書の書き方。基本ルールと各項目のポイント
転職活動と履歴書の役割
転職活動において、履歴書は応募者の基本的なプロフィールを採用担当者に伝えるための重要な書類です。職務経歴書がこれまでの具体的な実務経験や実績をアピールする書類であるのに対し、履歴書は、応募者の学歴、職歴の概要、保有資格、そして人物像(志望動機や自己PR)を、決められた様式の中で正確に伝える役割があります。採用担当者は、この履歴書を通じて、応募者が自社の求める人物像と合致するか、基本的な信頼に足る人物かといった第一印象を判断します。
履歴書作成の基本的な形式とツール
履歴書を作成する際、まず手書きで作成するか、PC(パソコン)で作成するかを選択します。応募先企業から特に手書きの指定がない限り、現在の転職活動ではPCで作成するのが一般的です。PC作成は、修正が容易であること、誰にとっても読みやすいこと、そして職務経歴書と体裁を統一できるという利点があります。
用紙のサイズについては、B5サイズ(見開きB4)とA4サイズ(見開きA3)がありますが、ビジネス文書の標準サイズであるA4サイズを選ぶことが推奨されます。A4サイズは、職務経歴書(通常A4で作成)とサイズが揃うため、採用担当者が管理しやすいという配慮にもつながります。
基本情報欄(日付・氏名・連絡先)の書き方
履歴書の上部にある日付は、応募書類を提出する日(郵送の場合は投函日、持参する場合は面接日)を記載します。氏名や住所は正確に、省略せずに(例。都道府県から)記載します。連絡先については、日中に連絡がつきやすい電話番号と、ビジネスのやり取りにふさわしいメールアドレス(個人のフリーメールなどで可)を記載する必要があります。
写真の準備とルール
履歴書に添付する写真は、応募者の第一印象を大きく左右する重要な要素です。清潔感のあるビジネススーツを着用し、髪型や身だしなみを整え、表情は口角を軽く上げた自然な微笑みを心がけます。撮影は、3ヶ月以内に行ったものを使用するのが原則です。写真館(フォトスタジオ)での撮影が最も望ましいですが、スピード写真機を利用する場合でも、身だしなみや姿勢には細心の注意を払います。万が一、写真が剥がれてしまった場合に備え、写真の裏面には氏名(フルネーム)を記入しておくのがマナーです。
学歴・職歴欄の書き方
学歴と職歴は、項目を分けて記載します。それぞれ一行目の中央に「学歴」「職歴」と記し、次の行から時系列に沿って記載します。学校名や会社名は、省略せずに必ず正式名称で(例。「〇〇高等学校」や「株式会社〇〇」)記載します。職歴については、入社・退職の年月を正確に記します。具体的な業務内容や実績は職務経歴書に記載するため、履歴書の職歴欄では、配属された部署名を簡潔に記す程度に留めます。現在も在籍中の場合は、最後の職歴の次の行に「現在に至る」と記載し、その一行下の右端に「以上」と記して締めくくります。
免許・資格欄の書き方
保有している免許や資格は、原則として取得した年月が古い順に、正式名称で記載します。例えば、「普通自動車第一種運転免許 取得」のように正確に記します。応募先企業の業務内容と関連性が高い資格を優先的に上部に記載する、あるいは関連性の薄い資格は省略するといった工夫も、アピールにつながります。
志望動機欄の書き方
志望動機は、採用担当者が応募者の入社意欲や企業理解度を測るために、特に重視する項目の一つです。なぜ他の企業ではなく、その企業を志望するのか、その理由を具体的に記載する必要があります。そのためには、応募先企業の事業内容や方針を事前に研究することが不可欠です。自身のこれまでの経験や強みが、応募先企業でどのように活かせると考えているのか、その貢献イメージと熱意を論理的に結びつけて伝えます。
自己PR欄の書き方
自己PR欄は、自身の強みや仕事への取り組み姿勢をアピールする項目です。職務経歴書で詳細なエピソードを記載するのに対し、履歴書の自己PR欄はスペースが限られているため、自身の最も核となる強み(例。課題解決能力、調整能力など)を、簡潔な根拠(エピソードの要約)と共に提示します。応募先企業の業務内容と関連性の高い強みを選ぶことが重要です。
本人希望欄の書き方
本人希望欄には、原則として、詳細な待遇(給与、休暇など)に関する希望を記載することは避けます。これらの条件は、選考が進んだ段階で交渉するのが一般的です。特に希望がない場合や、企業の条件に従う場合は、「貴社(御社)の規定に従います。」と記載するのが最も適切であります。ただし、勤務地や職種、あるいは育児や介護といった事情で絶対に譲れない勤務条件(例。時短勤務)がある場合のみ、その旨と理由を簡潔に記載します。
提出前の最終確認
履歴書を書き終えたら、必ず提出前に全体を見直し、誤字脱字がないか、日付や学歴・職歴の年月に間違いがないかを厳しく確認します。作成した書類そのものが、応募者の注意力や丁寧さを示す評価対象となっているという意識を持つことが、転職活動の第一歩として大切であります。





