職務経歴書の書き方・造船業の経験を伝える方法
造船業は、巨大な構造物を造り上げるための高度な技術力と、多数の関係者をまとめる管理能力が求められる、非常に専門性の高い分野であります。転職活動において、この貴重な経験を職務経歴書にどう記載するかは、ご自身のスキルと価値を採用担当者に的確に伝える上で非常に重要となります。
造船業の職務経歴書で重視される点
採用担当者は、ご自身がどのような規模のプロジェクトに、どのような立場で関わり、どのような専門技術を培ってきたのかを具体的に知りたがっています。ご自身の経験を「プロジェクト(船種)」と「担当業務(職種)」の両面から、詳細に記述することが求められます。
担当した船種とプロジェクト規模
まず、ご自身がどのような種類の船舶の建造や修繕に携わってきたのかを明確に記載します。例えば、「大型タンカー(VLCC)」「コンテナ船」「LNG(液化天然ガス)運搬船」「バルクキャリア(ばら積み貨物船)」「客船」「特殊作業船(オフショア支援船など)」といった具体的な船種を記します。併せて、そのプロジェクトの規模感(例:総トン数、工期)を補足することで、ご自身が経験してきた業務のレベルが伝わりやすくなります。
担当分野(職種)と業務内容の具体化
造船業の業務は、部門ごとに高度に専門分化しています。ご自身が所属していた分野を明記し、具体的な業務内容を記述します。例えば、「設計部門(船体設計、艤装設計、電気設計など)」であれば、どのような設計を担当し、どのようなツール(例:専用CAD、TRIBON、AVEVA Marineなど)を使用してきたのかを記します。
製造・施工管理の経験
製造部門での経験は、ご自身の技術力を示す中核となります。「船殻組立(溶接、ブロック建造)」「艤装工事(配管、機関室据付、電装)」「塗装工事」など、ご自身が担当した具体的な工程や作業内容を記述します。また、現場監督(職長、係長)として、工程管理、資材管理、協力会社との調整業務、あるいは作業員の指導・育成に携わった経験も、管理能力を示す上で重要であります。
品質管理・検査の経験
造船業において、「品質」は「安全」と並んで最も重要な要素であります。「品質管理(QC)部門」において、どのような検査(例:非破壊検査(RT, UT)、寸法検査、塗装検査)を担当し、どのような品質基準(例:船級規則)に基づいて業務を行ってきたのかを具体的に示します。
安全管理への高い意識
巨大な構造物を扱う造船現場では、徹底した安全管理が不可欠であります。日々のKY(危険予知)活動や、5S活動、安全ミーティングの実施、安全書類の作成・管理など、安全な作業環境を維持するためにどのような意識を持ち、どのような取り組みを行ってきたかを記述することは、ご自身の高い責任感と規律性を示すものとなります。
保有資格による専門性の証明
ご自身の技術力を客観的に証明するのが、保有する「資格」であります。「溶接技能者(JIS)」「非破壊検査技術者」「クレーン・デリック運転士」「玉掛け技能講習修了」「造船施工管理技術者」といった、業務に関連する資格や免許、特別教育の修了実績は、取得年月と共に必ず明記します。
異業種にも通じる汎用的な能力
造船業で培われるスキルは、他の業界にも応用が可能です。例えば、「工期の長い大規模プロジェクトを管理・推進する能力」「多くの部門や協力会社と連携する高度な調整能力」「厳格な品質・安全基準を遵守する姿勢」「コスト意識」などは、他の製造業、プラントエンジニアリング業界、建設業界などでも高く評価される汎用的な能力であります。





