職務経歴書における「雑務」・その経験を強みに変える書き方
職務経歴書と「雑務」という表現
転職活動で職務経歴書を作成する際、ご自身の担当してきた業務を振り返る中で、「雑務」としか表現しようがないと感じる業務もあるかもしれません。しかし、職務経歴書に単に「雑務」や「庶務全般」と記載するだけでは、ご自身がどのような業務を、どの程度の範囲で遂行できるのか、採用担当者にその具体性が伝わりません。
「雑務」を具体的な業務内容に分解する
ご自身が「雑務」として捉えている業務も、実際には企業活動を円滑に進めるために不可欠な役割を担っています。まずは、その業務を具体的な作業レベルまで「棚卸し」し、分解してみることが重要であります。例えば、「電話対応」「来客対応」「郵便物・宅配便の仕分けと発送業務」「オフィス・備品の発注と在庫管理」「会議室の予約管理・設営」「社内清掃・美化」など、具体的な業務内容が見えてくるはずであります。
業務内容を「ビジネス用語」に置き換える
次に、それらの具体的な業務を、採用担当者に伝わるビジネス用語に置き換えます。例えば、「電話対応」であれば「社内外からの問い合わせ窓口業務、担当部署への正確な取次ぎ」と表現できます。「備品管理」であれば「オフィス備品の発注・在庫管理、コスト意識を持った運用」と記すことができます。このように、ご自身が果たしてきた役割を明確に言語化します。
「雑務」の中で行った工夫や心掛け
単に業務内容を羅列するだけでなく、その業務を遂行する上でご自身が主体的に行った「工夫」や「心掛け」を補足することで、ご自身の評価は大きく高まります。採用担当者は、その「雑務」の中にこそ、ご自身の仕事に対する姿勢や人柄、問題意識の高さを見出そうとしています。
具体的な工夫のアピール方法
例えば、「来客対応」であれば「お客様に快適にお待ちいただけるよう、常に応接室の整理整頓と清掃を心掛けた」といった記述は、ご自身の「ホスピタリティ(おもてなしの心)」を示します。また、「備品管理」であれば「欠品による業務停滞を防ぐため、独自の在庫管理表を作成し、発注漏れを防止した」といった記述は、ご自身の「計画性」や「業務改善への意欲」をアピールする材料となります。
雑務経験から得られる汎用的な能力
これらの「雑務」と呼ばれる業務を丁寧に、かつ正確に遂行することで培われる能力は、多くの企業で求められる汎用的な能力(ポータブルスキル)でもあります。例えば、他部署からの様々な依頼に対応する「調整能力」や「サポート力」、あるいは社内の細かな変化に気づく「気配り」や「観察眼」は、どのような職場においても、円滑な人間関係と業務遂行を支える重要な強みであります。
経験の価値をご自身の言葉で伝える
「雑務」とは、決して価値の低い業務ではありません。その一つひとつの業務が、組織全体の生産性や快適な職場環境を支えています。ご自身の経験を「雑務」という一言で片付けず、その具体的な内容と、そこで発揮した工夫や強みを、ご自身の言葉で丁寧に記述することが、書類選考を通過する鍵となります。





