職務経歴書とスキルシートの違い・それぞれの役割と書き方
転職活動で求められる「経験」と「スキル」の書類
転職活動において、ご自身の能力を応募先企業に伝えるために提出する書類には、いくつかの種類があります。その中でも、特にご自身のキャリアを詳細に示すものとして「職務経歴書」と「スキルシート」という言葉を耳にすることがあります。この二つの書類は、しばしば混同されることもありますが、それぞれに異なる目的と役割があります。ご自身の経験を最大限にアピールするため、その違いを正しく理解しておくことが重要です。
職務経歴書の主な役割
職務経歴書は、これまでの「職務の経歴」を時系列(多くは新しい順)に沿って記載し、ご自身がどのような会社で、どのような業務に、どのような立場で関わってきたかを具体的に伝えるための書類です。基本的には、全ての職種において提出が求められます。採用担当者は、ご自身が担当した業務内容、その中でどのような工夫や努力をし、どのような「実績」や「成果」を上げてきたのかを、この書類を通じて読み取ろうとします。ご自身のキャリアの全体像と、仕事への取り組み方を文章で示す、物語性のある書類と言えます。
スキルシートの主な役割
一方、スキルシートは、ご自身が保有している「スキル(技術)」に焦点を当て、その習熟度や経験年数を具体的に、かつ一覧性を持って示すための書類です。この書類は、特にITエンジニア、Webデザイナー、プログラマーといった、専門的な技術力が求められる職種で多用されます。どのようなプログラミング言語を扱えるのか、どのようなツール(ソフトウェア)の使用経験があるのか、どのようなプロジェクトで、どの工程(要件定義、設計、開発、テストなど)を担当してきたのかを、表(テーブル)形式などで詳細に記述します。
職務経歴書とスキルシートの明確な違い
二つの書類の最も大きな違いは、その「焦点」と「形式」にあります。職務経歴書は、ご自身の「キャリア(経験)」全体に焦点を当て、そのプロセスや成果を「文章」主体で説明します。対して、スキルシートは、ご自身の「スキル(技術)」に焦点を当て、その具体的なレベルや範囲を「一覧表」や「箇条書き」主体で客観的に示します。職務経歴書が「どのような仕事をしてきたか」を語るのに対し、スキルシートは「何ができるか(技術力)」を詳細に語るもの、と考えると分かりやすいでしょう。
二つの書類の関係性
ITエンジニアなどの技術職の転職活動においては、職務経歴書とスキルシートの両方の提出を求められることが一般的です。この場合、職務経歴書でキャリアの概要やマネジメント経験、業務改善への取り組みといった側面をアピールし、スキルシートでその裏付けとなる具体的な技術力やプロジェクト経験を詳細に提示する、という使い分けがなされます。スキルシートは、職務経歴書を補完する、より専門的な「技術資料」としての位置づけとなります。
どちらを準備すべきか
まず、ご自身が応募する職種が、専門的な技術力を問われるものかどうかを判断する必要があります。IT・Web系などの技術職であれば、職務経歴書とスキルシートの両方を準備しておくことが望ましいです。営業職や事務職、企画職といった一般的な職種の場合は、基本的には職務経歴書のみで十分です。その職務経歴書の中の「活かせる経験・スキル」欄で、ご自身のパソコンスキル(Excelの関数など)や語学力などを具体的にアピールします。応募先企業からの募集要項に「スキルシート提出」といった指定がないかを確認することも重要です。





