履歴書の「パート」経験。書くべき? 転職(中途採用)でアピールになる正しい書き方
転職活動(中途採用)で履歴書を作成する際、過去の「パート」や「アルバイト」での勤務経験をどう書けばよいか、悩む方は少なくありません。
「正社員の職歴ではないから、書かない方が良いのでは?」
「中途採用の選考で、パート経験はアピールになるのか?」
こうした不安は当然のことです。
しかし、結論から言いますと、「パート」の経験も、書き方次第であなたのキャリアを補強する立派な「職歴」としてアピールすることが可能です。
ここでは、採用担当者にマイナスの印象を与えず、あなたの「強み」として伝えるための、正しい「パート」経験の書き方を解説します。
1. 履歴書に「パート」経験は書くべきか?
まず、その経験を「書くべきか、隠すべきか」という問題です。
これは、あなたの「状況」によって判断が分かれますが、多くの場合、書く方がメリットが大きいです。
書くべき理由1:「空白期間(ブランク)」をなくすため
採用担当者が履歴書で最も気にするのは、「説明のつかない空白期間(ブランク)」です。
例えば、A社を退職してからB社に入社するまで1年間の「空白」があると、「この期間、何をしていたのだろうか?」「働く意欲がなかったのでは?」といった、ネガティブな憶測(おくそく)を呼んでしまいます。
その期間に「パートとして〇〇の業務に従事していた」と誠実に記載することは、「何もしていなかった」のではなく、「労働に従事し、社会と関わっていた」という何よりの証明となります。
書くべき理由2:「経歴詐称」のリスクを避けるため
もし、そのパート勤務で「雇用保険(こようほけん)」に加入していた場合(週20時間以上勤務など)、その履歴は公的な記録として残っています。
入社手続きの際に、雇用保険の履歴から「履歴書に書かれていない職歴」が発覚した場合、「経歴詐称(けいれきさしょう)」を疑われ、信頼を失う可能性があります。
書かなくても良い「例外」ケース
- 学生時代のアルバイト→ 職歴ではなく「学業」が本分のため、基本的には記載不要です。(※ただし、応募先の業務と強く関連する内容であれば、自己PR欄などでアピールするのは有効です)
- 非常に短期間(例:1〜2ヶ月未満)のパート→ 上記の「空白期間」や「雇用保険」の問題に該当しない、ごく短期間のものであれば、省略しても問題にならないケースもあります。
2. 【最重要】「パート」を職歴欄に書く際の「絶対ルール」
「パート」経験を職歴欄に記載すると決めた場合、最も重要なルールがあります。
それは、「雇用形態(こようけいたい)」を必ず明記することです。
NGな書き方(雇用形態の省略)
- (NG例):2023年 4月 株式会社〇〇 入社(〇〇業務に従事)
これでは、採用担当者はあなたが「正社員」として入社したと誤解してしまいます。
前述の通り、もしこれが雇用保険の履歴などで「パートだった」と発覚した場合、「経歴詐称」と見なされるリスクがあります。
OKな書き方(雇用形態を明記)
「入社」という言葉の横に、()書きで「パートタイマーとして」または「アルバイトとして」と、明確に補足します。
【正しい記載例】
2023年 4月 株式会社〇〇 入社**(パートタイマーとして)**
(〇〇(店舗名または部署名)にて、〇〇業務に従事)
2025年 3月 一身上の都合により退社
3. 【例文】職歴欄への具体的な書き方
会社名は「(株)」などと略さず、「株式会社〇〇」のように正式名称で記載します。
記載例1:飲食店(パート)の場合
(学歴)
((学歴を記載))
(職歴)
2020年 4月 株式会社△△(カフェ〇〇) 入社**(パートタイマーとして)**
(ホールスタッフとして、接客、レジ業務、新人指導を担当)
2024年 10月 一身上の都合により退社
以上
記載例2:事務職(アルバイト)の場合
(職歴)
2021年 5月 株式会社□□ 入社**(アルバイトとして)**
(営業部にて、データ入力および電話応対業務に従事)
2023年 3月 契約期間満了により退社
以上
4. 「パート」経験を「強み」に翻訳するアピール術
「パート」経験を、単なる「職歴の穴埋め」で終わらせては、もったいないです。
「正社員」の経験ではなかったとしても、その業務を通じて、あなたは必ず「ビジネススキル」を身につけています。
これらの「強み」を、履歴書の**「自己PR」欄や、セットで提出する「職務経歴書」**で具体的にアピールしましょう。
パート経験からアピールできる「強み」の例
- (例)飲食店・販売のパート→ 「高いコミュニケーション能力」(多様な年代の顧客への対応)→ 「マルチタスク能力」(接客、レジ、品出し、清掃などを同時にこなす段取り力)→ 「責任感」(店舗の売上や、後輩の指導に関わった経験)
- (例)事務・オフィスのパート→ 「正確性・スピード」(データ入力や伝票処理の経験)→ 「PCスキル」(Word, Excelなどの具体的な操作レベル)→ 「サポート力・協調性」(正社員のサポート役として、円滑に業務を進めた経験)
自己PR欄でのアピール例文(事務職応募・パート経験のみ)
「私の強みは、〇年間の事務パート経験で培(つちか)った『正確性』と『サポート力』です。
前職では、月間〇〇件のデータ入力を担当し、常にミスのないようダブルチェックを徹底しました。また、営業担当者が本業に集中できるよう、依頼される前に必要な資料を準備するなど、先読みしたサポートを心がけてきました。
貴社の〇〇(事務・管理)業務においても、この正確性とサポート力を活かし、貢献します。」
5. 結論。「空白」にせず、「強み」として記載しよう
転職(中途採用)において、採用担当者が不安に思うのは「説明のつかない空白期間」です。
「パート」の経験は、その期間のあなたの「行動」と「スキル」を証明する、立派な職歴の一部です。
履歴書の職歴欄には、「(パートタイマーとして)」といった「雇用形態」を必ず明記し、事実を「誠実」に記載すること。
そして、自己PR欄や職務経歴書で、その経験から得た「強み」を、応募先の仕事に結びつけてアピールすること。
その「誠実さ」と「前向きな姿勢」が、採用担当者からの信頼を得ることに繋がります。





