履歴書の「簿記」の書き方。日商・全商・全経の正式名称とアピール術
転職(中途採用)と「簿記」資格の価値
転職活動(中途採用)において、「簿記(ぼき)」の資格は、あなたのビジネス基礎能力や専門性を客観的に証明する、非常に強力な武器となります。
経理や財務といった専門職はもちろん、営業職、企画職、販売職など、あらゆる職種において「コスト意識」や「数字の感覚」を持っている人材は高く評価されます。
しかし、その価値ある資格も、履歴書に「正しい書き方」で記載できていなければ、採用担当者に正確に伝わりません。
「『簿記2級』と略して書いて良いのか?」「日商と全商、どれを書くべきか?」
ここでは、採用担当者に「この人はマナーとスキルを両立している」という好印象を与える、簿記資格の正しい書き方について詳しく解説します。
1. 【最重要】「略称」はNG。「正式名称」で書くのが絶対ルール
履歴書の「免許・資格」欄で最も多く見られる間違いが、資格を「略称(りゃくしょう)」で記載してしまうことです。
履歴書は公的な応募書類ですので、これはビジネスマナー違反と見なされる可能性があります。
NGな書き方(略称)
- (NG例):簿記 2級
- (NG例):簿記検定 2級 合格
- (NG例):日商簿記 2級
必ず、お手持ちの合格証書に記載されている通りの**「正式名称」**で記載する必要があります。
2. 「合格」と「取得」。どちらの言葉を使うべきか
履歴書で迷うのが、語尾(ごび)の書き方です。
- 免許(めんきょ)(例:運転免許、薬剤師免許など)→ **「取得(しゅとく)」**と記載します。
- 検定試験(けんていしけん)(例:簿記、英検、宅建など)→ **「合格(ごうかく)」**と記載するのが、最も正確な書き方です。
簿記は「検定試験」ですので、**「合格」**を使いましょう。
3. 【種類別】簿記資格の「正式名称」と書き方(例文)
簿記検定には、主催団体によって主に「日商簿記」「全経簿記」「全商簿記」の3種類があります。転職(中途採用)の市場で、最も広く一般的に評価されるのは**「日商簿記(にっしょうぼき)」**です。
「免許・資格」欄には、取得した年月が古いものから順に記載するのが基本です。
1. 日商簿記(日本商工会議所)
(※転職市場で最も評価が高い、一般的な「簿記」)
【正しい記載例】
〇〇年〇月 日本商工会議所簿記検定試験 〇級 合格
2. 全経簿記(全国経理教育協会)
(※主に経理・会計の専門学校生が多く受験する検定)
【正しい記載例】
〇〇年〇月 全国経理教育協会主催 簿記能力検定試験 〇級 合格
3. 全商簿記(全国商業高等学校協会)
(※主に商業高校の生徒が多く受験する検定)
【正しい記載例】
〇〇年〇月 全国商業高等学校協会主催 簿記実務検定試験 〇級 合格
4. 「何級から」履歴書に書くべきか?
「3級しか持っていないが、書いても良いのだろうか」と悩む方もいますが、結論から言えば「3級」からでも自信を持って記載すべきです。
簿記2級以上の場合
経理・財務部門への転職を目指す場合は、必須とされることも多い資格です。強力な武器となります。
また、営業職や管理職(マネージャー)候補としても、「高度なコスト意識」や「財務諸表が読める」という点で、非常に高く評価されます。
簿記3級の場合
「3級では、かえってスキルが低いと思われるのでは?」と不安に思う必要は全くありません。
採用担当者の視点に立つと、履歴書の「免許・資格」欄が**「特になし」であることの方が、遥(はる)かにマイナスの印象を与えます。**
簿記3級の記載は、少なくとも以下の2点を採用担当者に伝えることができます。
- 「ビジネスの基礎言語」を理解していること(基本的な商業簿記の知識であり、「コスト意識」や「利益」の仕組みを理解していることの証明)
- 「学習意欲(向上心)」があること(資格取得という目標に向かって、自ら学習し、成果を出したという「主体性」や「継続力」の証)
特に、事務職、営業職、販売職など、一見経理と関係ない職種に応募する場合でも、「数字の感覚」を持っている人材として、他者との「差別化」ポイントになります。
5. 現在「勉強中」の場合のアピール方法
「免許・資格」欄は、すでに「合格・取得」したものを記載する場所です。
もし、現在(例:2級や1級)の取得に向けて「勉強中」である場合は、その「熱意」と「学習意欲」をアピールするために、履歴書下部の**「本人希望欄」や「自己PR」欄**を活用します。
「本人希望欄」または「特記事項」欄での例文
「現在、貴社の〇〇業務(経理)に活かすため、日商簿記検定試験2級の取得に向け勉強中です。(〇月受験予定)」
「自己PR」欄での例文
(自己PRの最後などで)
「現在は、さらに専門性を高めるため、日商簿記検定試験2級の取得に向け学習を継続しております。」
6. 結論。簿記は「ビジネス基礎力」の証。自信を持って記載しよう
簿記資格は、「持っていて当たり前」の資格ではなく、「ビジネスの基礎言語を理解している」という、あなたの「学習意欲」と「基礎体力」を示す、立派なアピールポイントです。
過小評価せず、自信を持って、
- 「正式名称」で書く
- 「合格」という正しい言葉で締めくくる
この2つのビジネスマナーを守り、あなたの強みを採用担当者に正しく伝えましょう。





