履歴書の「英語」力。転職で評価される正しい書き方とアピール術
転職(中途採用)で「英語」スキルはアピールになるか
転職活動で履歴書を作成する際、「英語」のスキルをどう書けばよいか、悩む方は少なくありません。「TOEICの点数が低いけど、書いても良いのか」「英検は何級からアピールになるのか」と不安に思うのは当然のことです。
しかし、結論から言いますと、グローバル化が進む現代において、英語スキルは(たとえ応募先の必須条件でなくても)あなたの「市場価値」を高める強力な武器となります。
採用担当者は、そのスキル自体だけでなく、**「自ら学ぶ姿勢(学習意欲)」や「新しいことへの挑戦意欲」**も、あなたの「ポテンシャル(将来性)」として評価します。
ここでは、あなたの「英語」スキルを、採用担当者に「強み」として正しく伝えるための、履歴書の書き方を詳しく解説します。
1. 【最重要】「免許・資格」欄への正しい書き方
あなたの英語スキルを、採用担当者に客観的に証明する最も強力な方法が「資格(スコア)」です。
履歴書は公的な応募書類ですので、「略称」は使わず**「正式名称」**で記載するのがビジネスマナーです。
NGな書き方(略称)
- (NG例):TOEIC 800点
- (NG例):英検 準1級
OKな書き方(正式名称)
「試験」に合格した場合は**「合格(ごうかく)」、スコアを「取得」した場合は「取得(しゅとく)」**という言葉を、正しく使い分ける必要があります。
【正しい記載例:TOEIC(トーイック)】
(※TOEICは「合格」ではなく「スコアの取得」です)
〇〇年〇月 TOEIC公開テスト 800点 取得
(※企業・学校で受けた「IPテスト」の場合は、**「TOEIC IPテスト 〇〇点 取得」**と記載します。一般的に、転職市場では「公開テスト」の方が評価されやすい傾向にはありますが、IPテストのスコアでもアピールにはなります。)
【正しい記載例:実用英語技能検定(英検)】
(※英検は「スコア取得」ではなく「合格」です)
〇〇年〇月 実用英語技能検定 準1級 合格
【正しい記載例:TOEFL(トーフル)】
〇〇年〇月 TOEFL iBT 〇〇点 取得
【正しい記載例:IELTS(アイエルツ)】
〇〇年〇月 IELTS 6.5 取得
2. 「何級(何点)から」履歴書に書くべきか?
「このレベルで書いて、アピールになるのか」と悩む方もいますが、学習した事実は、自信を持って記載すべきです。
TOEICのスコア目安
- 600点以上→ 多くの企業が「英語力の基礎がある」と判断する目安のラインです。自信を持って記載しましょう。
- 730点以上→ 「ビジネスで英語を使えるポテンシャルがある」と見なされ、強力なアピールになります。
- 860点以上→ 「高い英語での実務能力がある」と評価されます。
- 600点未満の場合→ 点数だけを記載するとアピールとして弱い場合があります。その場合は、**「現在、700点取得に向け学習中」**といった補足(後述)と組み合わせると、あなたの「将来性」や「学習意欲」を伝えることができます。
実用英語技能検定(英検)の目安
- 2級以上→ 転職(中途採用)においては、「2級」以上がアピールになる目安です。(高校卒業レベルの英語力を証明できます)
- 準1級以上→ ビジネスシーン(メール、会議)での実務能力があると見なされ、非常に高く評価されます。
3. 「資格はない」が「スキルはある」場合の書き方
ここが、実務経験者にとって重要なポイントです。
資格(スコア)を持っていなくても、実務(仕事)で英語を使っていた経験は、資格以上に高く評価されます。
この場合は、「免許・資格」欄ではなく、「自己PR」欄や**「職務経歴書」**で、具体的にアピールします。
採用担当者が知りたいのは、「どのレベルで使えるのか」です。「英語ができます」とだけ書くのはNGです。
「レベル感」を具体的に示す(例文)
- (レベル:ビジネス)「英語(ビジネスレベル:海外支社との定例会議(週1回)、および仕様書の翻訳業務が可能)」
- (レベル:実務)「英語(実務レベル:Eメールでのコレポン(読み書き)、および日常会話レベルの電話応対が可能)」
- (レベル:経験)「〇〇(国名)にて〇年間の在住(留学)経験あり」
4. 「自己PR」欄でのアピール例文
英語の経験を、あなたの「強み」として「翻訳」する書き方です。
例文1:商社・メーカーなど(実務経験者)
【自己PR】
私の強みは、**英語(TOEIC 800点)を活かした『調整力』**です。
前職(〇〇業)では、海外の取引先との連絡調整を担当しました。専門の通訳が不在の際には、仕様書の翻訳からWeb会議での交渉までを行い、文化的な背景の違いを考慮したコミュニケーションを心がけた結果、プロジェクトの納期短縮に貢献しました。
例文2:異業種への転職(継続力をアピール)
【自己PR】
私の強みは、困難な目標にも継続して取り組む**『探究心』です。
学生時代に〇〇(きっかけ)から英語学習を開始し、社会人になってからも学習を継続した結果、TOEICスコアを2年間で〇点から〇点まで向上させました。
この「主体的に学び続ける姿勢」と「継続力」**は、貴社の〇〇(応募職種)においても、新しい知識の習得や、困難な課題への取り組みの面で必ず役立つと考えます。
5. 現在「勉強中」の場合のアピール方法
「免許・資格」欄は、すでに取得したものを記載する欄です。
もし、現在応募先の業務に関連する英語の取得に向けて勉強中である場合は、その「熱意」と「学習意欲」をアピールするために、履歴書下部の**「本人希望欄」や「自己PR」欄**を活用します。
(本人希望欄や自己PR欄での例文)
- 「現在、貴社の海外事業に活かすため、TOEIC公開テスト 800点取得に向け勉強中です。(〇月受験予定)」
- 「実用英語技能検定 準1級 合格に向け学習中」
6. 結論。英語スキルは「希少性」と「継続力」の証
採用担当者は、英語のスキルそのものだけでなく、**「なぜ、その言語を学んだのか(目的意識)」と「どうやって学んだのか(継続力・主体性)」**に、応募者としての人格的な強さを感じ取ります。
応募先の業務と直接関係がなくても、それは「他人と違う、アピールポイント」であり、あなたの「知的好奇心」や「継続力」を証明する、何よりの証拠です。
スコアが低くても謙遜(けんそん)せず、ご自身の「レベル感」と「熱意」を具体的に示し、自信を持ってアピールしましょう。





