履歴書の「アラビア語」。その希少価値を「強み」に変える書き方
転職(中途採用)で「アラビア語」はアピールになるか
転職活動で履歴書を作成する際、「アラビア語」の学習経験や実務経験をどう書けばよいか、悩む方は少なくありません。「TOEICや英検のように、一般的な資格試験ではない」「どう書けばアピールになるのか」と不安に思うのは当然のことです。
しかし、結論から言いますと、アラビア語のスキルは、現代の転職市場において「非常に希少(きしょう)価値が高く、他者と圧倒的な差別化が図れる」強力な武器です。
英語や中国語のように「できる人」が多すぎないため、あなたの「オンリーワン」の強みとなり得ます。
採用担当者は、そのスキル自体だけでなく、**「なぜ、そんなに難しい(=教材の少ない)言語を学んだのか」という「探究心」や「継続力」**にも、応募者としての人格的な強さとして、強い関心を抱きます。
特に、商社、メーカー、エネルギー・インフラ関連、金融など、中東地域とのビジネスを行う企業では、即戦力として高く評価される可能性があります。
ここでは、あなたの「アラビア語」スキルを、採用担当者に「強み」として正しく伝えるための、履歴書の書き方を詳しく解説します。
1. 履歴書の「どこに」アラビア語スキルを書くか
アピールの仕方によって、記載するのに最適な場所が異なります。
1. 「免許・資格」欄
もし、日本アラビア協会が主催する「実用アラビア語検定試験」など、客観的な資格を取得している場合は、この欄に記載します。
2. 「自己PR」欄(最も推奨)
そのスキルを「強み」として戦略的にアピールしたい場合は、この欄が最適です。
スキルの「レベル感」だけでなく、「なぜ学んだのか(目的)」や「どう仕事に活かせるか(貢献)」を、具体的なエピソードと共にアピールできます。
3. 「趣味・特技」欄
まだ学習の初期段階であったり、趣味として学んでいたりする場合でも、「特技」として記載することは有効です。「特になし」と書くより、遥(はる)かに強い印象を残せます。
2. 【最重要】「レベル感」を具体的に示す書き方
履歴書において、最もNGなのは「アラビア語ができます」とだけ書いてしまうことです。これでは、採用担当者はあなたのレベル(日常会話なのか、ビジネスレベルなのか)を全く判断できません。
ご自身の「技能レベル」を、客観的な言葉で具体的に説明する必要があります。
1. 「免許・資格」欄での書き方
「免許・資格」欄には、取得した年月順に、必ず「正式名称」で記載し、語尾は「合格」を使います。
【正しい記載例】
〇〇年〇月 実用アラビア語検定試験 4級 合格
2. 資格がない場合の「レベル感」の示し方
【避けるべきNGな書き方(曖昧)】
- (NG例):特技:アラビア語
- (NG例):アラビア語が話せます
【評価されるOKな書き方(レベルを具体的に補足)】
- (OK例1):アラビア語(ビジネスレベル:現地法人との交渉・通訳経験あり)
- (OK例2):アラビア語(日常会話レベル:〇年間の在住経験あり)
- (OK例3):アラビア語(基本的な読解、およびメール作成が可能)
- (OK例4):大学にてアラビア語を専攻(〇〇について研究)
3. アラビア語の経験を「ビジネススキル」に“翻訳”する
採用担当者が知りたいのは、アラビア語のスキルそのものよりも、その「希少な言語」を習得したあなたの「人間性」や「ポテンシャル」です。
「自己PR」欄などで、以下の「強み」に翻訳してアピールしましょう。
強み1:探究心・主体性
まず、「なぜ、アラビア語を?」という疑問への答えです。「他人とは違う分野」に興味を持ち、自ら学んだ姿勢は「主体性」のアピールになります。
強み2:継続力・忍耐力
日本国内では、アラビア語の学習教材や環境は非常に限られています。それを習得した(または、学習を継続している)という事実は、「困難な目標にも、諦(あきら)めずに取り組める」という「継続力」の最強の証(あかし)です。
強み3:異文化適応力
もし、現地(中東・北アフリカ)での居住経験や、実務で使用したのであれば、それは「全く異なる文化や環境(イスラム文化圏など)にも飛び込める」という「適応力」の証明になります。
4. 【例文】履歴書への具体的な書き方
ご自身のレベルや、アピールしたい「強み」に合わせて使い分けましょう。
例文1:「特技」欄で、簡潔に「継続力」をアピールする場合
【特技】
アラビア語
(補足:大学時代に中東情勢に興味を持ち、〇年間学習を継続しています。日常会話レベルの会話が可能です。この継続力は、貴社の〇〇業務でも活かせると考えます。)
例文2:「自己PR」欄で、「探究心・継続力」をアピールする場合
【自己PR】
私の強みは、困難な目標にも継続して取り組む**『探究心』です。
学生時代に〇〇(きっかけ)からアラビア語に興味を持ち、日本国内では教材が少ない中、独学とオンラインレッスンで学習を〇年間継続しています。
この「主体的に学び続ける姿勢」と、目標達成までのプロセスを工夫する「継続力」**は、貴社の〇〇(応募職種)においても、新しい知識の習得や、困難な課題への取り組みの面で必ず役立つと考えます。
例文3:「自己PR」欄で、「実務経験」としてアピールする場合(商社・メーカー向け)
【自己PR】
私の強みは、専門知識と**希少言語スキルを活かした『調整力』**です。
前職(〇〇業)で、中東地域の取引先との連絡調整を担当しました。専門の通訳が不在だったため、独学でアラビア語を習得し、**ビジネスメールの翻訳、および現地スタッフとのWeb会議での技術的な質疑応答(または交渉)**を担当しました。
この希少スキルと、異なる文化背景を持つ相手との調整力を活かし、貴社の海外事業に即戦力として貢献します。
5. 結論。アラビア語は「希少性」と「継続力」の最強の証
採用担当者は、アラビア語のスキルそのものだけでなく、**「なぜ、そんなに習得が困難な言語を学んだのか(目的意識)」と「どうやって学んだのか(継続力・主体性)」**に、応募者としての人格的な強さを感じ取ります。
応募先の業務と直接関係がなくても、それは「他人と違う、オンリーワンの武器」であり、あなたの「知的好奇心」や「継続力」を証明する、何よりの証拠です。
資格がないからと謙遜(けんそん)せず、ご自身の「レベル感」と「熱意」を具体的に示し、自信を持ってアピールしましょう。





