履歴書の「ブランク(空白期間)」。不利にならない書き方と理由別のアピール術
転職(中途採用)と、ブランク(空白期間)への不安
転職活動で履歴書を作成する際、多くの応募者が頭を悩ませるのが「ブランク(空白期間)」の扱いです。「何も書いていない期間があると、選考で不利になるのではないか」「正直に書いて、マイナスの印象を与えないだろうか」と不安に思うのは当然のことです。
採用担当者が履歴書で最も懸念(けねん)するのは、ブランクが「ある」ことそのものではなく、そのブランクが**「説明されていない(=何をしていたか分からない)」**ことです。
「この期間、何をしていたのだろうか?」「働く意欲がなかったのでは?」といった、ネガティブな憶測(おくそく)を呼んでしまうのが一番のリスクです。
ここでは、採用担当者に不要な不安を与えず、ご自身の状況を誠実に、かつ前向きに伝えるための「ブランク期間」の正しい書き方について、理由別に詳しく解説します。
【NG】ブランク(空白期間)で絶対にやってはいけないこと
まず、最もマイナスの印象を与えてしまう、NGな書き方を知っておく必要があります。
NG1:「空欄」のまま提出する
これが最もやってはいけないNG例です。
例えば、「2023年にA社を退社」し、次の職歴が「2025年」であった場合、その2年間の「空欄」を採用担当者は絶対に見逃しません。「説明のない空白」は、あなたの信頼性を著しく損ねます。
NG2:職歴を隠す・在籍期間を偽る
ブランクを隠すために、前職の在籍期間を実際よりも長く書いたり、短期間の職歴を意図的に書かなかったりする行為は、**「経歴詐称(けいれきさしょう)」**にあたります。
入社手続きの際、雇用保険(こようほけん)や年金手帳の加入履歴から、隠していた職歴が発覚するケースは少なくありません。
「経歴詐称」は、採用担当者との信頼関係を根底から覆(くつがえ)す行為であり、発覚した場合は「内定取り消し」や、入社後であっても「懲戒解雇(ちょうかいかいこ)」という最も重い処分を受ける可能性があります。
ブランク(空白期間)の「正しい」書き方
ブランク期間は、隠すのではなく、「なぜ、その期間があったのか」を**「誠実」かつ「前向き」に説明する**ことが鉄則です。
1. 職歴欄に「ブランク」は書かない
履歴書の「職歴」欄は、あくまで時系列に沿って、所属していた企業や組織を記載する場所です。
「〇〇年〇月〜〇〇年〇月 育児に専念」といった記載は、職歴欄にはしません。
職歴欄は、事実として「A社を退社」してから「B社に入社」するまでの期間が、客観的に「空白期間」として空く形になります。
2. 「本人希望欄」や「特記事項」欄で理由を説明する
では、その空白期間の「理由」はどこに書けばよいのでしょうか。
履歴書下部にある**「本人希望記入欄」**、あるいは「備考欄」「特記事項」といった欄を活用し、その期間に何をしていたかを簡潔に補足するのが、最も一般的でスマートな書き方です。
【理由別】ブランク(空白期間)の書き方と例文
無職期間の理由は人それぞれです。大切なのは、その理由を「前向き」に、あるいは「やむを得ない事情」として、採用担当者が納得できるように伝えることです。
理由1:資格取得やスキルの学習
キャリアアップや、未経験職種への転職のために勉強していたケースです。これは「学習意欲」として、強力なアピールになります。
【本人希望欄 例文】
- 「2024年1月より、貴社の業務(〇〇職)に活かすため、〇〇(資格名)の資格取得に向け、専門スクールに通学しておりました。」
- 「前職退職後、独学にて〇〇(例:プログラミング言語)の学習に専念しておりました。」
理由2:病気やケガの療養
病気やケガの治療に専念していたケースです。重要なのは、**「現在は回復しており、業務に支障がない」**ことを必ず明記することです。
【本人希望欄 例文】
- 「2023年10月より病気療養のため(または、怪我の治療のため)、休職しておりましたが、現在は完治しております。業務上の配慮も必要なく、問題なく勤務可能です。」
理由3:家族の介護・育児(主婦・主夫)
家族の介護や、出産・育児に専念していたケースです。これも「やむを得ない事情」として、採用担当者は理解してくれます。この場合も、「現在は業務に集中できる環境である」ことを併記します。
【本人希望欄 例文】
- 「2023年5月より家族の介護に専念しておりましたが、現在は(例:施設入所、親族との交代など)体制が整いましたので、業務に支障はありません。」
- 「出産・育児のため〇年間休職しておりましたが、子どもが保育園に入園したため、今後はフルタイムでの勤務が可能です。」
理由4:留学や海外での経験
語学学習や、異なる文化での経験を目的としたケースです。
【本人希望欄 例文】
- 「2024年1月より1年間、〇〇(国名)へ語学留学しておりました。(TOEIC 〇〇点取得)」
理由5:家業の手伝い(農業、自営業など)
これは「無職」ではなく、「家業従事」という立派な職務経験です。この場合は、「本人希望欄」ではなく**「職歴」欄**に記載します。
【職歴欄 例文】
(前職の退職理由の次の行に)
- 2023年10月 家業(〇〇農園)において農業に従事(生産、出荷管理を担当)
理由6:単なる転職活動(充電期間)
特に明確な理由がなく、「転職活動をしていた」「少し休んでいた」というケースです。これが最も書きにくいかもしれませんが、ここも「前向き」に翻訳します。
【自己PR欄での書き方】
- 「前職退職後、これまでのキャリアを見直し、ご自身の強みを再分析するため、転職活動(自己分析と企業研究)に専念しておりました。その結果、〇〇というご自身の強みを活かせる貴社の〇〇職を強く志望するに至りました。」
ブランク期間が短い場合(3ヶ月程度まで)
もし、ブランク期間が3ヶ月程度までであれば、あえて理由を記載する必要はありません。
転職活動において、退職から次の入社までに2〜3ヶ月かかるのは、ごく一般的だからです。
採用担当者も「転職活動をしていた期間だな」と自然に理解してくれます。
結論。空白期間は「何をしていたか」を誠実に伝える
履歴書のブランク(空白期間)を、恐れる必要はありません。
採用担当者が不安に思うのは「空白」そのものではなく、「何をしていたか分からない」という「不透明さ」です。
ご自身の状況を隠さず、誠実に記載すること。
そして、可能であれば、その期間を「次のキャリアのための準備期間だった」と前向きにアピールすること。
その「誠実さ」と「計画性」が、採用担当者からの信頼を得るための鍵となります。





