履歴書の「全商」資格。転職でアピールになる? 正式名称と書き方
転職活動と「全商」資格
転職(中途採用)で履歴書を作成する際、「免許・資格」欄の書き方に悩むことがあります。特に、学生時代に取得した「全商(ぜんしょう)」の資格について、「これは書いても良いのだろうか」「一般企業への転職でアピールになるのか」と不安に思う方も少なくありません。
「全商」とは「全国商業高等学校協会(ぜんこくしょうぎょうこうとうがっこうきょうかい)」の略称で、主に商業高校の生徒を対象とした検定試験を実施している団体です。
結論から言いますと、全商の資格も、あなたのスキルを証明する立派な経歴です。 空欄にしたり、「特になし」と書いたりするより、遥(はる)かに良い印象を与えます。
採用担当者は、資格の「格」だけでなく、あなたが「どのような基礎知識を持ち、学習意欲があるか」を見ています。
【最重要】「全商」はNG。「正式名称」で書くのがルール
履歴書は公的な応募書類です。そのため、「免許・資格」欄には、略称ではなく**「正式名称」**で記載するのがビジネスマナーです。
「全商簿記1級」や「全商ワープロ検定」といった略称で記載するのはNGです。
必ず、主催団体名である「全国商業高等学校協会」から記載する必要があります。
履歴書への具体的な「書き方」(主な全商資格の例)
「免許・資格」欄には、取得した年月が古いものから順に記載するのが基本です。検定試験ですので、語尾は「合格」と記載します。
簿記の資格の場合
(正しい書き方)
〇〇年〇月 全国商業高等学校協会主催 簿記実務検定試験1級 合格
パソコン(ワープロ・表計算)の資格の場合
(正しい書き方)
〇〇年〇月 全国商業高等学校協会主催 ビジネス文書実務検定試験1級 合格
〇〇年〇月 全国商業高等学校協会主催 情報処理検定試験(ビジネス情報部門)1級 合格
(※現在の「情報処理検定」には「プログラミング部門」と「ビジネス情報部門」があります。どちらかを明記すると、より正確です)
英語の資格の場合
(正しい書き方)
〇〇年〇月 全国商業高等学校協会主催 英語検定試験1級 合格
転職(中途採用)での「全商」資格の評価とは
中途採用において、全商資格がどのように評価されるか、その実情を知っておくことも大切です。
「日商簿記」と「全商簿記」の違い
経理・会計の分野において、転職市場で一般的に「標準」として評価されやすいのは、「日商簿記(日本商工会議所簿記検定試験)」です。
採用担当者の一般的な認識として、「全商簿記1級」は、「日商簿記2級(中途採用で求められることが多いレベル)」よりは易(やさ)しく、「日商簿記3級」と同等か、それに近いレベルと見なされることが多いです。
転職で「全商」資格を記載すべきケース
では、転職(中途採用)において、全商資格はどのような場合に記載すべきでしょうか。
経理・事務職に応募する場合
「全商簿記1級」は、「日商簿記3級」相当の「会計の基礎知識がある」という十分なアピールになります。
また、「ビジネス文書実務検定」や「情報処理検定(ビジネス情報部門)」は、事務職で必須となるWord(ワード)やExcel(エクセル)の基礎スキルを持っていることの証明になります。
これらは、未経験から事務職を目指す場合などにも有効なアピールポイントです。
他にアピールする資格が少ない場合
履歴書の「免許・資格」欄を「特になし」とすることは、あなたの印象を大きく下げてしまいます。
全商資格は、あなたが学生時代に「目標を持って学習し、成果を出した」という「継続力」や「学習意欲」の証明となります。応募先の業務と直接関連が薄くても、必ず記載すべきです。
資格欄だけでなく「自己PR」欄も活用しよう
履歴書(または職務経歴書)の「自己PR」欄で、その資格をどう活かしてきたかを補足するのも効果的です。
(自己PR欄での例文)
「前職(販売職)では、学生時代に取得した全商簿記1級の知識を活かし、店舗の売上管理や経費計算の正確性向上に貢献しました。」
「高校時代に全商ビジネス文書実務検定1級を取得しており、基本的なPCスキル(Word, Excel)は習得しています。貴社の事務職においても、このスキルを活かし、迅速かつ正確な資料作成に貢献します。」
結論。全商資格は「基礎力」の証
転職(中途採用)の履歴書において、全商資格は「即戦力」の証明とまではいかなくとも、あなたの「ビジネス基礎体力」や「学習意欲」を示す、立派なアピールポイントです。
大切なのは、その経歴を隠すことではなく、「正式名称」で、かつ「仕事にどう活きるか」という視点を持って、自信を持って記載することです。





