履歴書の「現住所」欄。正しい書き方とマンション名の省略NGな理由
転職活動で使用する履歴書は、あなたのプロフィールを企業に伝えるための「公的な応募書類」です。その中でも「現住所」欄は、採用・不採用通知の郵送や、入社後の各種手続き(社会保険など)にも使われる、非常に重要な情報となります。
「住所が長いから、マンション名は省略しても良いだろうか?」
「番地はハイフン(-)でも良い?」
こうした「省略」や「書き方」の判断は、採用担当者にあなたの「仕事の丁寧さ」や「ビジネスマナーへの理解度」を伝える上で、意外と見られているポイントです。
ここでは、履歴書の「現住所」欄における、正しい書き方について詳しく解説します。
1. 「現住所」の正しい書き方の基本ルール
まず、履歴書の「現住所」欄は、「応募者が今現在、主に生活している住所」を記載する場所です。基本ルールを押さえましょう。
1. 「都道府県名」から省略せずに書く
これが大前提です。応募先企業が同じ市区町村であったとしても、「〇〇県(または東京都、大阪府など)」から書き始めます。「〇〇市」から書き始めるのは、公的書類としては不適切です。
2. マンション名・アパート名・部屋番号は「省略NG」
「番地」までしか書かない応募者もいますが、これは明確なNGです。
「〇〇レジデンス 101号室」といった、建物名や部屋番号までを正確に、省略せずに記載します。
(なぜ省略がNGか)
採用担当者から見ると、理由は2つあります。
- 実務的なリスク:内定通知書や入社前契約書といった重要書類が、「宛先不明」で届かないリスクがあります。
- 印象のリスク:「公的な書類に、住所を最後まで正確に書けない」「注意力が不足している」「仕事が雑だ」という、致命的なマイナスイメージを与えかねません。
3. 「ふりがな」はどこまで書く?
履歴書の様式(フォーマット)に、住所欄の「ふりがな(フリガナ)」欄がある場合のルールです。
- 指示に従う:「ふりがな」ならひらがな、「フリガナ」ならカタカナで記載します。
- どこまで書くか:原則として、「都道府県名」から「市区町村名」「町名」までで、番地(数字)の部分にふりがなは不要です。(例:とうきょうとちよだくまるのうち)
- (配慮):ただし、マンション名が「難しい漢字(例:〇〇邸)」や「外国語(例:Chateau 〇〇)」で読み方が分かりにくい場合は、マンション名(建物名)までふりがなを振っておくと、採用担当者にとって非常に親切な対応となります。
2. ハイフン(-)と「〇丁目〇番地」、どちらが正しいか
住所の番地部分の書き方には、「1-2-3」といったハイフン表記と、「一丁目2番3号」といった漢字表記があります。
結論から言いますと、どちらで記載しても間違いではありません。
- ハイフン(-)表記:「1-2-3」のように、半角または全角のハイフンでつなぐ書き方です。現代のビジネス文書では一般的であり、簡潔で分かりやすいため、履歴書でハイフン表記を使用しても、全く問題ありません。
- 漢字(〇丁目〇番地)表記:「一丁目2番3号」のように、住民票などに記載されている通りに漢字で書く方法です。こちらが最もフォーマルで丁寧な書き方ではありますが、必須ではありません。
【正しい記載例】
(ハイフン使用)
〒100-XXXX
東京都千代田区〇〇 1-2-3 〇〇レジデンス 101号室
(漢字使用)
〒100-XXXX
東京都千代田区〇〇一丁目2番3号 〇〇レジデンス 101号室
3. 「現住所」と「連絡先」欄の違い
履歴書の様式によっては、「現住所」とは別に「連絡先」という欄が設けられていることがあります。この二つの違いと使い分けを理解しましょう。
- 「現住所」欄:上記で解説した通り、住民票などに基づいた「今住んでいる正式な住所」です。
- 「連絡先」欄:「現住所以外に連絡を希望する場合(例:実家を住民票住所にしているが、今は別の場所で暮らしている)」や、「現住所では郵便物を受け取れない事情がある」といった、特別な場合にのみ記入する補足的な項目です。
4. 連絡先が「現住所」と同じ場合の「連絡先」欄の書き方
応募者のほとんどは、「現住所」=「連絡先」であるはずです。
その場合、「連絡先」欄は**「空欄」のまま提出してはいけません。**
採用担当者にとっては、単なる「記入漏れ(うっかりミス)」なのか、「書く必要がない」のか判断がつかず、「注意力が不足している」というマイナスの印象を与えかねません。
現住所と連絡先が同じ場合は、
書き方:「同上(どうじょう)」
と、一言記載するのが、ビジネスマナーとしての「正解」です。
これにより、「上記の現住所と同じです」という意思が明確に伝わります。
5. (補足)「引っ越し予定」がある場合の書き方
もし、現住所が応募先企業から遠く、採用されたら「引っ越し(転居)する」と決めている場合はどうでしょうか。
その場合も、「現住所」欄には、必ず「今現在の本当の住所」を記載します。(嘘はNGです)
その上で、履歴書下部の**「本人希望記入欄」**に、以下のように補足します。
(本人希望欄 例文)
- 「採用いただいた折には、貴社近隣(または、貴社へ通勤可能な範囲)へ転居予定です。」
この一文で、採用担当者の「通勤できるのか?」という懸念(けねん)を払拭(ふっしょく)し、同時に入社意欲の高さもアピールできます。
6. 結論。「正確さ」があなたの信頼を伝える
履歴書の「現住所」欄は、あなたの「個人情報」であると同時に、あなたの「仕事の正確性」をアピールする最初の項目でもあります。
「たかが住所」と侮(あなど)らず、郵便物が確実に届く「都道府県名から部屋番号まで」の全ての情報を、正確に、かつ丁寧に記載すること。
その「当たり前」をきちんと実行できる姿勢が、採用担当者に「この人は信頼できるビジネスパーソンだ」という最初の安心感を与える鍵となります。





