履歴書と「グーグルドライブ」。作成・保存・提出の正しい使い方と「共有NG」の理由
転職活動(中途採用)において、履歴書をパソコン(PC)やスマートフォン(スマホ)で作成し、データとして管理するのが主流となっています。その際、無料で利用でき、どの端末からでもアクセスできる「グーグルドライブ(Google Drive)」は、応募書類を管理する上で非常に強力なツールとなります。
しかし、グーグルドライブには特有の「共有」機能があり、その使い方を間違えると、採用担当者に「ビジネスマナーを知らない」という致命的な印象を与えてしまう危険性もあります。
ここでは、グーグルドライブを賢く活用して履歴書を作成・保存する方法と、絶対にやってはいけない「提出時」のマナーについて詳しく解説します。
1. グーグルドライブでの履歴書「作成」方法
グーグルドライブは、履歴書を作成するための2つの無料ツールを提供しています。
方法1:グーグルドキュメント(Google Docs)
Word(ワード)のように、文章作成に適したツールです。
「志望動機」や「自己PR」といった長文の入力・編集がしやすいため、履歴書作成に向いています。
方法2:グーグルスプレッドシート(Google Sheets)
Excel(エクセル)のように、セル(マス目)で構成されたツールです。
履歴書のような「枠線」で区切られたフォーマット(様式)の作成・入力に適しています。
【推奨】テンプレート(雛形)を活用する
どちらのツールを使うにせよ、一から履歴書のフォーマットを作るのは大変です。必ず「テンプレート(雛形)」を活用しましょう。
インターネット上で「履歴書 テンプレート Word(またはExcel)」などで検索し、ダウンロードしたテンプレート(A4サイズ・転職者用が推奨されます)を、グーグルドライブにアップロードして開けば、ドキュメントやスプレッドシートでそのまま編集・入力できます。
(注意点)
WordやExcel用のテンプレートをインポート(読み込み)した場合、ソフトの互換性の問題で、レイアウト(枠線や文字の位置)が崩れてしまうことがあります。レイアウトが崩れた履歴書は評価が著しく下がるため、必ずご自身で修正するか、レイアウトが崩れないテンプレートを探す必要があります。
2. グーグルドライブでの履歴書「保存」のメリット
グーグルドライブで履歴書を作成・保存するメリットは非常に大きいです。
- 自動保存入力内容は自動でクラウド上に保存されるため、「保存し忘れた」というミスがありません。
- マルチデバイス対応自宅のPCで作成した履歴書の続きを、外出先のスマートフォンで確認・修正するといった、柔軟な対応が可能です。
- データ紛失リスクの低減PC本体が故障しても、データはクラウド上に残っているため、紛失のリスクが低くなります。
3. 【最重要】グーグルドライブからの「提出」方法
ここが、グーグルドライブを使う上で、最も重要なマナーです。
グーグルドライブには、作成した文書の「共有リンク(URL)」を相手に送る機能があります。
しかし、転職活動において、この「共有リンク」で履歴書を提出するのは、ビジネスマナーとして絶対にNGです。
なぜ「共有リンク」での提出がNGなのか
- 1. 相手(企業)が閲覧できないリスク採用担当者が、社内のセキュリティポリシーで、外部のグーグルドライブへのアクセスを禁止されている(=リンクを開けない)可能性があります。
- 2. 権限設定のミス「閲覧権限のみ」で送るつもりが、誤って「編集権限」で送ってしまうと、あなたの履歴書を他人が書き換えられる状態になってしまいます。
- 3. 「ビジネスマナーを知らない」と判断される応募書類は「完成品」の「ファイル」として送るのがビジネスの常識です。作成途中のような「リンク」を送る行為は、「PCスキルが低い」「常識がない」と判断されるリスクが非常に高いです。
4. 唯一の正しい提出形式:「PDF」への変換(ダウンロード)
この致命的なミスを防ぐため、グーグルドライブ(ドキュメント、スプレッドシート)で履歴書が完成したら、必ず**「PDF形式」**に変換(ダウンロード)して提出する必要があります。
PDFファイルであれば、MacでもWindowsでも、どのような環境でも作成時のレイアウトのまま表示でき、編集も困難なため、応募書類の提出形式として「必須」のマナーとなっています。
グーグルドライブからPDFへの「変換方法」
変換方法は簡単です。
グーグルドキュメント(またはスプレッドシート)のメニューバーの「ファイル」から「ダウンロード」を選択し、**「PDFドキュメント(.pdf)」**を選びます。
これで、あなたのPCやスマホに、履歴書がPDFファイルとして保存されます。
このPDFファイルを、Eメールに添付したり、Webフォームからアップロードしたりして提出します。
5. 提出前の「最終チェック」
PDF化した後も、安心してはいけません。
1. PDF化した後の「レイアウト確認」
特に、Excelのテンプレートをスプレッドシートで編集した場合、PDFに変換する段階で、意図しないレイアウト崩れ(例:A4・1枚に収まるはずが2枚になる、文字や枠線が途中で切れる)が発生することがあります。
必ず、ダウンロードした後のPDFファイルを、ご自身で一度開いてください。
そして、レイアウトが崩れていないか、隅々まで最終確認する。この「ひと手間」が、あなたの丁寧さを示します。
2. 「ファイル名」への配慮
PDF化したデータのファイル名も重要です。「名称未設定.pdf」や「履歴書.pdf」では不親切です。
「履歴書(氏名)_20251108.pdf」「履歴書_山田太郎.pdf」
このように、「何の書類か」「誰の書類か」が一目で分かるファイル名に変更することが、社会人としての最後の配慮です。
6. 結論。グーグルドライブは「作成・保存」に。「提出」はPDFが鉄則
グーグルドライブは、履歴書を「作成」し「安全に保存・管理」するためには、最強の無料ツールの一つです。
ツール自体に、選考の有利・不利は全くありません。
採用担当者が見ているのは、その「中身」と、「応募者が、TPO(時・場所・場合)をわきまえたビジネスマナー(=PDF化)を実践できるか」という点です。
グーグルドライブの「共有リンク」という手軽な機能に頼らず、「PDF」というビジネスの標準形式で提出する。このルールを守ることが、書類選考を通過するための鍵となります。





