履歴書を「グーグルスプレッドシート」で作成。正しい方法と提出時の必須マナー
転職活動(中途採用)において、履歴書をパソコン(PC)で作成するのが主流となっています。その際、Microsoft Office(WordやExcel)がご自身のPCに入っていなくても、無料で高機能な「グーグルスプレッドシート(Google Sheets)」は、履歴書作成の強力な選択肢となります。
インターネット環境さえあれば、MacでもWindowsでも、あるいはスマートフォン(スマホ)からでもアクセス・編集できる利便性があります。
しかし、使い方を間違えると、採用担当者に「ビジネスマナーを知らない」という致命的な印象を与えてしまう危険性もあります。
ここでは、グーグルスプレッドシートで履歴書を作成する正しい方法と、特に注意すべき「提出時」の必須マナーについて詳しく解説します。
1. 履歴書作成にスプレッドシートが選ばれる理由
グーグルスプレッドシート(以下スプレッドシート)を選ぶメリットは多くあります。
- 無料(フリー)で利用できるGoogleアカウントさえあれば、誰でも無料で高機能な表計算ソフトが使えます。
- OSを選ばない(MacでもWindowsでもOK)ソフトウェアをインストールする必要がなく、ブラウザ上で動作するため、MacユーザーでもWindowsユーザーでも同じように使えます。
- クラウド保存(自動保存)作成したデータは自動でクラウド上に保存されるため、「保存し忘れた」というミスがありません。PC、スマホ、タブレットなど、どの端末からでも編集を再開できます。
2. スプレッドシートでの履歴書作成(テンプレートの活用)
スプレッドシートは、一から履歴書のフォーマット(様式)を作るのには向いていません。必ず「テンプレート(雛形)」を活用しましょう。
方法1:標準の「テンプレートギャラリー」を利用する
スプレッドシートのホーム画面には、「テンプレートギャラリー」という機能があります。
ここには、いくつかの「履歴書(Resume)」テンプレートが標準で用意されています。
(※ただし、JIS規格のような日本式の履歴書ではなく、欧米式の「レジュメ」に近いフォーマットが多いため、日本の転職活動では次の方法が適している場合もあります)
方法2:WordやExcelのテンプレートを「インポート」する
これが、日本の転職活動において現実的で、最もお勧めの方法です。
インターネット上には、Word(.docx)やExcel(.xlsx)形式の履歴書テンプレートが無料で多く配布されています。
スプレッドシートは、これらのWordやExcelのファイルをそのまま開き、編集する機能があります。
ご自身の使いたい履歴書テンプレート(A4サイズ・転職者用が推奨されます)をダウンロードし、それをGoogleドライブにアップロードして、スプレッドシートで開いて入力・編集します。
3. 【注意点】Excelテンプレートの「互換性(レイアウト崩れ)」
WordやExcelのテンプレートをスプレッドシートで開く方法は便利ですが、注意点もあります。
スプレッドシートはExcelと完全に互換性があるわけではないため、Excel用に作られたテンプレートを開くと、セルの幅や高さ、フォントの種類、枠線の設定などが正しく認識されず、レイアウトが大きく崩れてしまう可能性が非常に高いです。
レイアウトが崩れた(枠線から文字がはみ出している、など)履歴書は、「注意力が不足している」「PCスキルが低い」と判断され、採用担当者に最悪の印象を与えます。
インポートして使用する場合は、レイアウトが崩れていないかを隅々まで確認し、ご自身で完璧に修正する必要があります。
4. 【最重要】「共有リンク」での提出は絶対にNG
ここが、スプレッドシートで履歴書を作成する上で、最も重要なポイントです。
スプレッドシートには、作成した文書の「共有リンク(URL)」を相手に送る機能があります。しかし、転職活動において、この「共有リンク」で履歴書を提出するのは、ビジネスマナーとして絶対にNGです。
なぜ「共有リンク」での提出がNGなのか
- 1. 相手が閲覧できないリスク採用担当者が、社内のセキュリティポリシーで、外部のGoogleドライブへのアクセスを禁止されている可能性があります。
- 2. 編集権限などのミス「閲覧権限のみ」で送るつもりが、誤って「編集権限」で送ってしまうと、あなたの履歴書を他人が書き換えられる状態になってしまいます。
- 3. 「ビジネスマナーを知らない」と判断される応募書類は「完成品」の「ファイル」として送るのがビジネスの常識です。作成途中のような「リンク」を送る行為は、「PCスキルが低い」「常識がない」と判断されるリスクが非常に高いです。
5. 唯一の正しい提出形式:「PDF」への変換(ダウンロード)
この致命的なミスを防ぐため、スプレッドシートで履歴書が完成したら、必ず**「PDF形式」**に変換(ダウンロード)して提出する必要があります。
PDFファイルであれば、MacでもWindowsでも、どのような環境でも作成時のレイアウトのまま表示でき、編集も困難なため、応募書類の提出形式として「必須」のマナーとなっています。
スプレッドシートからPDFへの「変換方法」
変換方法は簡単です。
スプレッドシートのメニューバーの「ファイル」から「ダウンロード」を選択し、**「PDFドキュメント(.pdf)」**を選びます。
これで、あなたのPCやスマホに、履歴書がPDFファイルとして保存されます。
このPDFファイルを、Eメールに添付したり、Webフォームからアップロードしたりして提出します。
6. 提出前の「最終チェック」
PDF化した後も、安心してはいけません。
1. PDF化した後の「レイアウト確認」
Excelのファイルをインポートして作成した場合、PDFに変換する段階で、意図しないレイアウト崩れ(例:A4・1枚に収まるはずが2枚になる、文字や枠線が途中で切れる)が発生することがあります。
必ず、ダウンロードした後のPDFファイルを、ご自身で一度開いてください。
そして、レイアウトが崩れていないか、隅々まで最終確認する。この「ひと手間」が、あなたの丁寧さを示します。
2. 「ファイル名」への配慮
PDF化したデータのファイル名も重要です。「名称未設定のスプレッドシート.pdf」や「履歴書.pdf」では不親切です。
「履歴書(氏名)_20251108.pdf」「履歴書_山田太郎.pdf」
このように、「何の書類か」「誰の書類か」が一目で分かるファイル名に変更することが、社会人としての最後の配慮です。
7. 結論。グーグルスプレッドシートでもOK。ただし「PDF化」を忘れずに
Macユーザーや、Word/Excelを持っていない方にとって、グーグルスプレッドシートは履歴書作成の「強力な味方」です。
ツール自体に、選考の有利・不利は全くありません。
採用担当者が見ているのは、その「中身」と、「応募者が、TPO(時・場所・場合)をわきまえたビジネスマナー(=PDF化)を実践できるか」という点です。
便利なツールを賢く使い、採用担当者への配慮を忘れず、書類選考の通過を目指しましょう。





