履歴書を「ワード(Word)」で作成。転職で推奨される理由と正しい作り方
転職活動(中途採用)において、履歴書をパソコン(PC)で作成することは、今や「手書き」よりも一般的になっています。その際、最も多くの方が利用するソフトが、Microsoftの「ワード(Word)」です。
「Excel(エクセル)とどっちがいいの?」「ワードで作成しても失礼にあたらない?」といった疑問は当然あります。
結論から言いますと、Wordでの履歴書作成は、転職活動において非常に合理的であり、推奨される方法です。ここでは、その理由と、採用担当者に「丁寧な仕事ができる」と評価されるための、Wordを使った正しい履歴書の作り方について詳しく解説します。
1. 転職で「ワード(Word)」作成が推奨される理由
Wordでの作成には、手書きやExcelにはない、明確なメリットがあります。
1. 「志望動機」や「自己PR」が書きやすい
Excelは「表計算ソフト」であり、文字はセル(マス目)単位で入力します。一方、Wordは「文書作成ソフト」であり、志望動機や自己PRといった**「長文」の作成・編集に最適です。** 枠にとらわれず、読みやすいレイアウトで文章を組み立てることができます。
2. 読みやすく、修正が容易
誰が読んでも判読しやすい活字は、採用担当者の負担を減らします。また、一文字間違えただけで最初から書き直す手書きと違い、修正が簡単なため、完璧な状態の書類を効率的に準備できます。
3. PCスキルのアピール
体裁の整ったビジネス文書を作成できること自体が、基本的なPCスキル(文書作成能力)の証明にもなります。
2. ワードでの履歴書の「作り方」。テンプレート(雛形)の活用
Wordで一から履歴書の枠線(表機能)を使って作成するのは大変です。最も効率的なのは、インターネット上で無料配布されている**「履歴書 テンプレート(雛形)」**をダウンロードして利用することです。「履歴書 テンプレート ワード」などで検索すれば、多くの種類が見つかります。
その際、以下の2つの基準でテンプレートを選ぶことをお勧めします。
- サイズは「A4」を選ぶ転職活動では、セットで提出する「職務経歴書」もA4で作成するのが一般的です。応募書類全てのサイズを「A4」で統一することは、採用担当者への「配慮」であり、ビジネスマナーです。
- 様式は「転職者(中途採用)向け」を選ぶ「職歴」欄や「自己PR」「志望動機」の欄が広く設けられているフォーマットを選びましょう。
3. ワード入力時の「基本ルール」
テンプレートに入力する際、Wordならではの注意点があります。
フォント(書体)と文字の大きさ
奇(き)をてらったフォントはNGです。履歴書はビジネス文書ですので、**「明朝体(MS明朝など)」**が最も一般的で、フォーマルな印象を与えます。
文字の大きさは、**「10.5ポイントから11ポイント」**の範囲が、採用担当者にとって最も読みやすい「標準」とされています。アピールしたいことが多いからと、文字を極端に小さくして詰め込むのは、「読み手への配慮がない」とマイナス評価になるため避けましょう。
年号(西暦・和暦)の統一
履歴書全体で、年号の表記は**「西暦(例:2025年)」か「和暦(例:令和7年)」のどちらか一方に、必ず「統一」します。**
(例:生年月日は和暦、職歴は西暦、といった「混在」はNGです)
職務経歴書とも合わせる必要があり、現代のビジネス文書としては「西暦」での統一をお勧めします。
4. 【最重要】「ワード(.docx)」のまま提出するのは絶対NG
ここが、Wordで履歴書を作成する上で、最も重要なマナーです。
Wordで作成した履歴書を、そのままのファイル形式(.docx や .doc)で、企業にメール添付などで送付するのは、ビジネスマナー違反です。
なぜNGなのか
Wordファイルは、閲覧する相手のPC環境(OSやソフトのバージョンの違い)によって、フォントが変わったり、レイアウト(改行や枠線)が大きく崩れたりして、正しく閲覧できないリスクが非常に高いです。
また、内容が簡単に編集(改ざん)できてしまう点も、公的書類としては不適切です。
唯一の正しい提出形式:「PDF」への変換
この致命的なミスを防ぐため、Wordで履歴書が完成したら、必ず**「PDF形式」**に変換(エクスポート)して提出する必要があります。
PDFファイルであれば、どのような環境でも作成時のレイアウトのまま表示でき、編集も困難なため、応募書類の提出形式として「必須」のマナーとなっています。
ワードからPDFへの「変換方法」
Wordソフトには、標準でPDFとして保存する機能があります。
メニューの「ファイル」から「エクスポート」、「PDF/XPSドキュメントの作成」を選ぶか、「名前を付けて保存」でファイルの種類として「PDF」を選択すれば、簡単に変換できます。
5. PDF化した後の「ファイル名」にも配慮を
PDF化したデータのファイル名も重要です。「履歴書.pdf」や「名称未設定.pdf」では、採用担当者が管理に困ってしまいます。
「履歴書(氏名)_20251108.pdf」「履歴書_山田太郎.pdf」
このように、「何の書類か」「誰の書類か」が一目で分かるファイル名に変更することが、社会人としての最後の配慮です。
6. 結論。Wordは「道具」。マナーを守り「中身」で勝負
Wordは、履歴書を効率的に、かつ読みやすく作成するための「便利な道具(ツール)」です。
採用担当者の心を動かすのは、整った「器」ではなく、その中に込められた、あなた自身の「経験」と「熱意」という**「中身」**です。
Wordを賢く活用し、それによって生み出された貴重な時間を、企業研究やご自身のキャリアの棚卸しといった、「中身」を充実させるために使いましょう。そして、提出時には「PDF化」や「ファイル名」といった「ネット提出のマナー」を徹底することが、書類選考を通過する鍵となります。





