履歴書の「やめた理由」。正直に書くべき? 職歴欄の正しい書き方
転職活動で履歴書を作成する際、採用担当者に「前の会社をやめた理由」をどう伝えるべきか、悩む方は非常に多くいます。
「人間関係が理由だけど、正直に書くべき?」
「給与に不満があった、と書いて不利にならないか?」
結論から言いますと、履歴書の「職歴」欄に、詳細な退職理由(やめた理由)を記載する必要は一切ありません。
履歴書はあなたのキャリアの「公的な概要」を示す書類です。採用担当者が履歴書の職歴欄で確認したいのは、「いつ」「どの会社に」在籍していたか、そしてその退職が「自己都合」なのか「会社都合」なのか、という客観的な「事実」です。
ここでは、採用担当者にマイナスの印象を与えない、正しい「やめた理由」の書き方について詳しく解説します。
1. 履歴書に「やめた理由」は、どこまで書くべきか
履歴書の職歴欄には、退職の「背景」や「ストーリー」を書く場所はありません。必要なのは、その退職がどちらの都合であったかを示す「分類」だけです。
2. 【自己都合】最も一般的な「やめた理由」の書き方
ご自身の意思や事情によって退職した場合(転職、キャリアアップ、結婚、引越し、家事都合など)は、すべて「自己都合」となります。
この場合、職歴欄には、退職した年月の次の行に、以下のように記載するのが定型句(じょうとうく)となっています。
書き方:「一身上の都合により退社」
この「一身上の都合」という魔法の言葉が、全ての個人的な理由を網羅します。履歴書の段階では、これ以上に詳細な情報を記載する必要はありません。
3. なぜネガティブな「本音」の理由を書かないのか
たとえ本当の退職理由が「残業が多すぎた」「上司と合わなかった」「待遇に不満があった」といったネガティブなものであったとしても、それを履歴書に書く必要はまったくありません。
これらはすべて「自己都合」にあたるため、職歴欄には「一身上の都合により退社」と記載します。
ネガティブな理由をそのまま記載してしまうと、採用担当者に「入社しても、また同じ理由で辞めるのではないか」という不要な不安を与えてしまうだけです。
4. 【会社都合】倒産や閉店、解雇の場合の書き方
会社の倒産、業績不振による解雇(リストラ)、事業所の閉鎖、店舗の閉店など、ご自身の意思ではなく、会社側の事情によって退職を余儀なくされた場合は「会社都合」となります。
これは、応募者本人に責任があるわけではないため、事実を隠さずに正確に記載する必要があります。
「一身上の都合」と書いてしまうと、ご自身に責任がある退職と誤解されるため、必ず「会社都合」であることを明記しましょう。
書き方:「会社都合により退職」
あるいは、より具体的に「店舗閉店により退職」「事業所閉鎖により退職」などと、客観的な事実を記載することも可能です。
これにより、採用担当者は「本人の意思で短期間に辞めたわけではない」と、事情を正しく理解してくれます。
5. 【その他】契約期間満了の場合
契約社員や派遣社員として勤務しており、定められた契約期間が終了して退職した場合は、自己都合とも会社都合とも異なります。その場合は、事実をそのまま記載します。
書き方:「契約期間満了により退社」
6. 詳細な「やめた理由」は、面接の場で説明する準備を
履歴書には「一身上の都合」と簡潔に記載しますが、面接の場では、その理由について、より具体的に質問されることが予想されます。(特に、在籍期間が短い場合など)
その際に備え、たとえネガティブな理由が本音であったとしても、それをそのまま伝えるのではなく、**「キャリアアップのため」「新しい〇〇に挑戦したかったため」「〇〇のスキルをより活かせる環境を求めたため」**といった、前向きで将来志向の「建前」に変換して説明できるように、ご自身の考えを整理しておくことが非常に重要です。
7. 結論。履歴書には「客観的な事実」のみを簡潔に
履歴書の職歴欄は、退職の「理由」を長々と説明する場所ではありません。
「一身上の都合」「会社都合」「契約期間満了」といった客観的な事実を、定められたルールに従って簡潔に記載すること。これが、履歴書における「やめた理由」の正しい書き方です。





