履歴書の「休み希望」。書いても良い? 不利にならない書き方とマナー
転職活動で履歴書を作成する際、「本人希望記入欄」に「休み希望」を書いても良いものか、悩む方は少なくありません。「土日に休みたい」「特定の曜日は休む必要がある」といった希望は、働く上で重要ですが、それを応募の段階でどう伝えるべきかは非常にデリケートな問題です。
ここでは、履歴書に「休み希望」を書くことのリスクと、やむを得ない事情がある場合の正しい書き方について詳しく解説します。
1. 履歴書に「休み希望」を書くのは、原則としてNG
まず結論から言いますと、転職活動(中途採用)の履歴書に、応募者の希望する「休日」や「残業の可否」を一方的に記載するのは、原則として避けるべきです。
採用担当者が、履歴書に「土日休み希望」「残業不可」といった記載を見た場合、どのように感じるでしょうか。
- 「協調性がないのでは?」(他の社員とのシフト調整や、繁忙期の対応が難しいのでは)
- 「働く意欲が低いのでは?」(仕事内容よりも、条件面(休み)を最優先している)
- 「募集要項を理解していないのでは?」(募集要項に「シフト制」とあるのに、「土日休み」を希望している)
このように、入社前から「働く上での制約」を強く主張すると見なされ、あなたの熱意や人柄が伝わる前に、それだけでマイナスの印象を与えてしまうリスクが非常に高いのです。
2. 「本人希望欄」の「正しい使い方」
履歴書にある「本人希望記入欄」は、給与や休日の希望を自由に書くための欄ではありません。
希望がない場合の「正解」
職種や勤務地など、特に応募の段階で譲れない条件がない場合、この欄は以下の定型句(じょうとうく)を書くのがビジネスマナーです。
書き方:「貴社の規定に従います。」
この一文は、「勤務条件に関しては、御社のルールに全てお任せします」という協調性を示す意思表示となります。
休日の希望は「面接」で確認・交渉する
「この会社は、本当に土日休みなのか?」「残業はどの程度あるのか?」といった、働き方に関する疑問や希望は、履歴書に書くのではなく、面接の場で確認・交渉するのが正しい順序です。
面接が進み、お互いの理解が深まった段階(特に、内定が近くなった最終面接など)で、以下のように尋ねるのが適切です。
「内定をいただいた場合、長く貢献したいと考えておりますので、参考までに、皆様の平均的な残業時間や、休日の取得状況についてお伺いしてもよろしいでしょうか。」
3. それでも「休み希望」を書くべき「やむを得ない事情」
原則としてNGですが、例外もあります。
それは、**「どうしても譲れない、やむを得ない事情」**があり、それを伝えないまま選考が進むと、入社後に双方(企業とあなた)が困ってしまうことが明らかな場合です。
ただし、これを書く場合は、**「選考で不利になる可能性も覚悟の上で、事前に誠実に伝える」**という姿勢が求められます。
(例)
- 家族の介護(デイサービスの送迎時間が決まっている、など)
- 持病による定期的な通院(業務に支障はないが、特定の曜日・時間に病院に行く必要がある)
- 育児(保育園のお迎え時間が決まっている、など)
4. 「休み希望」をやむを得ず書く場合の「書き方」(例文)
「本人希望欄」に、やむを得ない事情を書く場合は、**「希望」ではなく「事実」と「相談」**の形で、簡潔かつ丁寧な言葉で記載します。
NGな書き方(一方的・わがままに見える)
- (NG例):「土日は絶対に休みたいです。」
- (NG例):「子供のお迎えがあるので、残業は一切できません。」
- (NG例):「毎週水曜は休みを希望します。」
OKな書き方(事情を説明し、配慮を依頼する)
「業務に支障は出さない」という前提と、「調整する姿勢」を見せることが重要です。
【例文1:介護の場合】
「家族の介護の都合により、毎週〇曜日に(または月2回)、通院の付き添いが必要となります。業務に支障が出ないよう最大限調整いたしますが、事前にご相談させていただきたく存じます。」
【例文2:通院の場合】
「持病の経過観察のため、2ヶ月に1回程度、平日に通院(2時間程度)が必要です。業務の繁閑を考慮し、柔軟に対応する所存です。」
【例文3:育児の場合】
「子どもの保育園のお迎えがあるため、週に〇回程度、〇時以降の残業が難しい日があります。他の曜日での調整や、業務の効率化で対応できるよう努めます。」
5. 結論。「休み希望」は、面接で伝えるのが基本
履歴書は、あなたの「強み」や「熱意」をアピールする場です。
そこで、あえて「制約(休み希望)」を前面に出すことは、書類選考において非常に不利になる可能性があります。
まずは、あなたのスキルと熱意で「この人に会ってみたい」と思わせることが最優先です。
休日の希望や、働き方に関する調整は、原則として、その後の「面接」というコミュニケーションの場で、誠実に相談するようにしましょう。





