履歴書の手渡し。封筒は必要? 当日のマナーと正しい渡し方
履歴書を手渡しする際、封筒は必要か
転職活動において、面接などの場で履歴書や職務経歴書といった応募書類を持参し、直接手渡すよう指示されるケースがあります。この時、「どうせ手渡しするのだから、封筒は不要ではないか」と考える方もいるかもしれませんが、それは間違いです。
結論から言いますと、履歴書を手渡しする場合でも、封筒に入れて持参するのが社会人としての正しいマナーです。
なぜ封筒に入れて持参するのがマナーなのか
封筒の役割は、単に「郵送するため」だけではありません。応募書類は、あなた自身を伝えるための公的な書類です。
まず第一に、**「書類の保護」**という実務的な理由があります。カバン(バッグ)の中に書類をそのまま、あるいはクリアファイルだけで入れて持ち運ぶと、移動中に角が折れたり、不意の雨で濡れたり、他の持ち物で汚れたりするリスクがあります。封筒は、そうした不測の事態から大切な書類を守り、きれいな状態のまま相手に届けるための「外装」としての役割を果たします。
第二に、**「ビジネスマナーの体現」**という理由があります。大切な書類を丁寧に扱う姿勢は、そのまま「仕事の丁寧さ」や「相手への配慮」として、採用担当者の目に映ります。封筒に入れずに裸で持参することは、そうした配慮に欠けると判断されかねません。
手渡し用の封筒の選び方(サイズ・色)
手渡し用の封筒も、郵送時と同様の基準で選びます。
- サイズ応募書類(履歴書や職務経歴書)は、A4サイズで作成するのが現在のビジネススタンダードです。そして、これらの書類は折り曲げずに提出するのが鉄則です。したがって、A4の書類がそのまま入る**「角形A4号(かくがたエーよんごう)」または「角形2号(かくがたにごう)」**を選びます。A4のクリアファイルごと入れても余裕がある「角形2号」が、最も一般的で使いやすいです。
- 色事務的な印象の「茶封筒」は避け、フォーマルな場にふさわしい**「白色」**の封筒を選びましょう。清潔感と丁寧な印象を与えます。
手渡しの場合の封筒準備(宛名・封は不要)
郵送する場合と、手渡しする場合とでは、封筒の準備の仕方が大きく異なります。
宛名書きは必要か
不要です。 郵送ではないため、封筒の表面に、応募先の会社名や担当者名を記載する必要はありません。
ただし、もし表面に「履歴書在中」と赤字で記載しておくと、受付などで預ける際に、何の書類かが一目で分かり親切ではあります。(必須ではありません)
裏面の差出人(自分の名前)は必要か
これも必須ではありません。 しかし、万が一、提出後に社内で紛失した場合などを想定し、裏面に(郵送時と同様に)ご自身の住所・氏名を記載しておくと、より丁寧な印象にはなります。
封(のり付け)は必要か
これが最大のポイントです。封筒の「封(ふう)」は、絶対にしません。
採用担当者が、その場で(あるいは受付で)すぐに中身を取り出して確認できるようにしておく必要があるためです。のり付けやテープ留め、封かんシールなどは一切不要です。
クリアファイルへの封入は必須
応募書類は、封筒に入れる前に、必ず**「無色透明の新品のクリアファイル」**に挟んでください。これも書類保護の観点と、相手が受け取った後にバラバラにならないようにするための、重要なマナーです。
書類を重ねる順番は、上から(1)履歴書、(2)職務経歴書、(3)その他の書類、となるのが一般的です。(※送付状は手渡しでは不要です)
当日のスマートな渡し方(受付と面接官)
当日の渡し方は、シチュエーションによって異なります。
1. 受付などで預ける場合
会社の受付や、面接官以外の人事担当者に「応募書類をお預かりします」と言われた場合は、カバンから封筒を取り出します。
この時、中身(クリアファイル)は封筒から出さず、封筒ごとお渡しします。
相手が読みやすい向き(相手の正面)にして両手で差し出し、「よろしくお願いいたします」と一言添えましょう。
2. 面接官に直接渡す場合
面接室に入り、面接官から「応募書類をいただけますか」と指示された場合(または、指示がなければ「応募書類をお持ちしました。お渡ししてもよろしいでしょうか」と尋ねた後)、以下の手順で渡します。
- カバンから封筒ごと書類を取り出します。
- その場で、封筒から「クリアファイルに入った状態の」書類を取り出します。
- 取り出した封筒は、クリアファイルの下(裏側)に重ねて持ちます。(この時、封筒はカバンにしまっても構いません)
- 相手がすぐに読める向き(相手の正面)に書類の向きを変えます。
- クリアファイルごと、両手で持って「こちらが応募書類です。よろしくお願いいたします。」と述べながら、丁寧に差し出します。
送付状(添え状)は手渡しでは不要
郵送の際に同封する「送付状(添え状)」は、誰が・何を・何の目的で送ったかを伝える挨拶状の役割を果たします。
しかし、直接手渡しする場合は、ご自身が口頭で挨拶をし、何の書類かを明確に伝えるため、送付状を添付する必要はありません。
細やかな配慮があなたの評価を高める
履歴書の内容が最も重要であることは言うまでもありません。しかし、それをどのような状態で、どのような所作で相手に手渡すかというプロセスも、あなたの仕事の丁寧さや他者への配慮を伝えるメッセージとなります。
封筒を正しく準備し、当日のスマートな受け渡しをシミュレーションしておくことが、あなたの信頼性を高めることに繋がります。





