履歴書の「短所」の書き方。ネガティブを「強み」に変える伝え方
履歴書における「短所」欄の扱い
転職活動で使用する履歴書において、「短所」を単独で記載する欄は、現在では少なくなりました。多くの様式(フォーマット)では、「長所・短所」欄としてセットになっているか、「自己PR」欄などで応募者の人柄を総合的に判断する形が主流です。
しかし、企業独自の応募フォームや、特定の履歴書様式で「短所」欄が設けられている場合、空欄で提出するのは避けるべきです。「自己分析ができていない」あるいは「回答を避けた」と受け取られる可能性があるからです。
採用担当者が「短所」を知りたい本当の理由
企業は、完璧な人間や、短所が一つもない人間を探しているのではありません。あえて短所を質問するのには、主に3つの意図があります。
1. 客観的な自己分析ができているか
ご自身の弱みを客観的に把握し、それを言語化できるかを見ています。ビジネスにおいて、ご自身の弱点を理解していることは、ミスを未然に防いだり、他者の助けを適切に求めたりする上で重要なスキルです。
2. 弱みを克服・改善する姿勢があるか
短所があること自体が問題なのではなく、その弱点とどう向き合い、改善しようと努めているかの「プロセス」や「意欲」を見ています。
3. 職務や社風とのミスマッチがないか
応募者の短所が、その仕事を行う上で「致命的」なものではないかを確認しています。例えば、スピードが求められる職場で「マイペースすぎる」点を改善努力なしに伝えると、ミスマッチと判断されるかもしれません。
書いてはいけない短所。避けるべきNG例
短所なら何でも正直に書けば良い、というわけではありません。社会人としての適性を疑われるような内容は、絶対に避ける必要があります。
- 社会人としての基本姿勢に関するもの例:「時間にルーズです」「責任感がありません」「嘘をつく癖があります」
- 健康状態や精神面に関するもの例:「体調を崩しやすいです」「精神的に落ち込みやすいです」
- 改善が困難、または他責的なもの例:「協調性がありません(改善努力も書いていない)」「頑固すぎて人の意見を聞けません」
- 「短所はありません」という回答自己分析ができていない、あるいは傲慢であると受け取られ、最もマイナスの印象を与えます。
履歴書に書く「短所」の選び方
履歴書に記載する短所は、「長所の裏返し」であるものを選ぶのが鉄則です。短所として伝えつつも、見方を変えれば「強み」とも捉えられる内容を選びましょう。
- 心配性 → (言い換え)→ 慎重で、準備を怠らない
- 頑固 → (言い換え)→ 意志が強く、こだわりを持ってやり遂げる
- せっかち → (言い換え)→ スピード感がある、決断が速い
- マイペース → (言い換え)→ 周囲に流されず、着実に物事を進められる
- 考えすぎる → (言い換え)→ 熟慮できる、分析力が高い
採用担当者を納得させる「短所」の書き方(例文)
短所を伝える上で最も重要なのは、「短所を述べた上で、それを改善するためにどのような努力をしているか」を必ずセットで記載することです。
【書き方の3ステップ】
- 結論(短所):まず、ご自身の短所が何かを簡潔に述べます。
- 具体例(状況):その短所によって、どのような状況が起こり得るかを簡潔に説明します。(省略しても可)
- 改善努力(対策):その短所を克服・改善するために、現在具体的に何をしているかを述べます。
例文1:心配性な場合
私の短所は、心配性な点です。物事を慎重に進めようとするあまり、確認に時間をかけすぎてしまうことがあります。
この点を改善するため、現在はタスクの優先順位を明確にし、「確認は2回まで」といった自分なりのルールを設けることで、慎重さを保ちつつスピードも意識するよう努めています。
例文2:頑固な場合
私の短所は、時に頑固になり、自分の意見に固執してしまうことがある点です。
前職でこの点を指摘されて以来、議論の際はまず相手の意見を最後まで傾聴し、その意図を理解することを第一に心がけています。その上で、自分の意見を伝えるようにした結果、より円滑なコミュニケーションが可能になったと感じています。
例文3:せっかちな場合
私の短所は、物事を早く進めようとする「せっかちな」側面があることです。そのため、時に周囲への配慮や確認が疎かになることがありました。
現在は、タスクに着手する前に必ず全体のスケジュールと関係者の状況を確認し、独りよがりなスピード進行にならないよう、意識的に一歩引いて全体を見るようにしています。
結論。短所は「改善意欲」をアピールする場
履歴書の「短所」欄は、あなたの弱点を告白する場ではありません。ご自身の弱点を客観的に把握し、それと真摯に向き合い、改善しようと努力している「成長意欲」や「誠実さ」をアピールするための場です。短所をネガティブな情報として終わらせず、ご自身の「伸びしろ」として伝える工夫をしましょう。





