履歴書の「性格」欄。自己PRや長所への活かし方
転職者用履歴書と「性格」欄の現状
転職活動で使用する履歴書において、「性格」を記載する専門の欄は、現在ほとんど見かけなくなりました。厚生労働省が推奨する様式や、一般的な転職者向けの履歴書フォーマットでは、「自己PR」欄や「長所・短所」欄が設けられていることが多く、応募者の人柄や特性はそれらの項目で判断されるのが一般的です。もし古い様式や企業独自の応募書類で「性格」欄があったとしても、その書き方には注意が必要です。
「性格」と「長所」の明確な違い
応募書類を作成する上で、「性格」と「長所」を混同しないことが大切です。「性格」とは、その人が持つ「ありのままの特性」を指します。例えば、「慎重である」「好奇心が強い」といった性質そのものです。
一方、「長所」とは、その性格的な特性が、ビジネスや社会生活の場面において「良い結果をもたらす強み」として発揮される状態を指します。例えば、「慎重である」という性格は、「ミスが少なく、正確な作業ができる」という長所に繋がります。履歴書でアピールすべきは、この「長所」の部分です。
採用担当者が「性格」を知りたい理由
採用担当者が応募者の性格的な側面を知りたい理由は、主に二つあります。
一つは、「社風との適合性」を見るためです。企業にはそれぞれ独自の文化や働き方があり、応募者の持つ基本的な性質が、その環境に馴染めそうかを判断しようとします。
もう一つは、「職務への適性」です。例えば、スピードと変化が求められる職場で極度に慎重な性格が強く出過ぎると、業務に支障が出るかもしれません。逆に、緻密なデータ分析が求められる職場で「楽観的」な性格だけがアピールされても、適性を疑われる可能性があります。
「性格」をビジネス上の強みに変える書き方
もし「性格」欄への記入が必要な場合、あるいは「長所」としてご自身の性格的側面をアピールする場合、単に「明るい性格です」「真面目です」と記載するだけでは不十分です。
採用担当者が知りたいのは、その「性格」が、入社後に「どのように仕事に活かされるのか」という点です。
例えば、「忍耐強い」という性格を伝えるならば、それを「困難な課題に対しても、最後までやり遂げる責任感」という「強み」に翻訳します。そして、可能であれば「前職で〇〇という困難なプロジェクトがあった際も、諦めずに解決策を探し続けた」といった、ごく簡潔な事実を添えると説得力が増します。
自己PR欄で「性格」を活かす方法
独立した「性格」欄がない場合、ご自身の性格的な強みは「自己PR」欄でアピールするのが最も効果的です。自己PRは、ご自身の職務スキルや経験が、いかに応募先企業で貢献できるかを売り込む場所です。
ここでも、「私は〇〇な性格です」と切り出すのではなく、まず「私には〇〇という強みがあります」と結論から述べます。その強みの「根拠」として、「前職での〇〇という経験」や、「〇〇という性格から、常に〇〇を心がけてきた」といった形で、ご自身の性格的側面をエピソードに織り交ぜて説明するのが自然な流れです。
客観的な「強み」への翻訳を意識する
転職活動の応募書類において、「性格」はあくまで素材です。その素材を、採用担当者という買い手にとって魅力的で、かつ「使い道が明確(=仕事で活かせる)」な「強み(スキルや長所)」へと、ご自身で翻訳し、提示する意識が重要です。ご自身の性格が、これまでのキャリアでどのように良い影響を与えてきたかを振り返り、客観的な言葉で表現するようにしましょう。





