履歴書の「休職」期間。記載の必要性と適切な伝え方
転職活動において、過去に休職した経験がある場合、その事実を履歴書にどのように記載すべきか、あるいは記載しなくても良いものか、悩まれる方は少なくありません。休職の事実は、応募者にとってデリケートな情報であり、その伝え方一つで採用担当者に与える印象が変わる可能性もあります。ここでは、履歴書における休職期間の取り扱いに関する基本的な考え方と、適切な伝え方について解説いたします。
転職活動と休職期間の取り扱い
まず、履歴書は応募者の経歴を正確に伝えるための公的な応募書類です。しかし、すべての情報を詳細に記載する必要があるわけではなく、応募先企業が知りたい情報、すなわち応募者がその職務を遂行する能力があるかを判断するための情報を、適切に取捨選択して提示する場でもあります。休職の事実も、その一つとして考える必要があります。
履歴書の職歴欄への記載は原則不要
履歴書の「職歴」欄は、基本的に「入社」と「退職」の事実を時系列で記載するものです。休職は、あくまでも「会社に在籍している」状態での一時的な休暇を意味します。したがって、その会社を退職していない限り、職歴欄に「〇〇年〇月 休職」「〇〇年〇月 復職」といった形で、休職の事実を詳細に記載する義務は、原則としてありません。職歴欄には、最終的な「入社」と「退職」(あるいは「現在に至る」)を記載すれば、履歴書としての要件は満たしています。
職務経歴書で補足が必要となる場合
履歴書に記載する必要がない一方で、休職期間が比較的長期にわたり、その結果として職務経歴に空白(ブランク)が生じているように見える場合は、注意が必要です。採用担当者が職務経歴書を見た際に、「この期間は何をしていたのだろう」と疑問を抱く可能性があるためです。その場合は、履歴書ではなく、詳細な業務内容を記載する「職務経歴書」において、事実を簡潔に補足説明することが望ましい場合があります。
休職理由がポジティブな場合(自己研鑽など)
もし休職の理由が、病気や家庭の事情ではなく、海外留学や資格取得のための自己研鑽といったポジティブな理由である場合は、むしろご自身の強みとしてアピールする材料となります。その際は、職務経歴書や自己PR欄を活用し、「〇〇年〇月より〇年間、〇〇(国名)へ語学留学のため休職」といった形で、その経験が応募先の業務にどう活かせるかを具体的に記載すると良いでしょう。
休職理由が健康上の理由である場合
最も多くの方が悩まれるのが、健康上の理由(病気や怪我)による休職の扱いです。この場合、履歴書への記載は不要ですが、採用担当者としては「現在は業務に支障なく働ける状態か」という点を最も重要視します。もし面接などで質問された場合に備えて、現在はすでに完治しており、業務遂行に何ら問題がないことを、ご自身の言葉で説明できるように準備しておくことが不可欠です。
面接で質問された際の回答の準備
履歴書や職務経歴書に記載しなかったとしても、面接の過程で、前職の在籍期間に対する業務内容の密度などから、休職について質問される可能性はゼロではありません。その際は、慌てずに事実を誠実に伝えることが重要です。大切なのは、休職の理由そのものを詳細に語ることではなく、「現在は回復し、医師からも就業の許可を得ており、フルタイムでの勤務に全く支障がない」という、現在の健康状態と働く意欲を明確に伝えることです。
重要なのは「現在」の就業意欲
採用担当者が知りたいのは、応募者の「過去」そのものではなく、「過去の経験を経て、現在、そして未来において、自社で安定して活躍してくれるか」という点です。休職したという事実があったとしても、それによって得た気づきや、現在の健康状態、そして何よりも「これから貢献したい」という前向きな就業意欲をしっかりと示すことが、選考を通過する上で最も重要になります。
まとめ。誠実かつ前向きな姿勢を大切に
履歴書への休職の記載は、原則として不要です。しかし、その事実を隠すのではなく、もし問われた場合には、誠実に対応することが信頼につながります。過去の休職期間をどう過ごしたかよりも、現在のご自身が万全の状態で、新たな職務に対して意欲を持っていることを、応募書類全体や面接を通じて前向きに伝えていくことを心がけましょう。





