履歴書を鉛筆で書くのは適切か。応募書類の筆記具マナー
転職活動で使用する履歴書は、応募先企業にご自身の経歴と熱意を伝えるための、非常に重要な公的書類です。そのため、その作成方法には社会人としての基本的なマナーが求められます。特に筆記具の選択は、応募者の常識を判断されるポイントの一つとなり得ます。ここでは、履歴書作成における筆記具、特に鉛筆の使用について解説いたします。
履歴書は公的なビジネス文書であるという認識
まず大前提として、履歴書はご自身の分身とも言える公的なビジネス文書です。採用担当者は、そこに記載された内容だけでなく、その書類がどのように作成されたか、文字は丁寧か、といった細部からも応募者の人柄や仕事に対する姿勢を読み取ろうとします。したがって、その場限りのメモ書きとは異なり、長期保存に耐えうる、信頼性の高い形式で作成されなければなりません。
鉛筆(シャープペンシル)が不適切な理由
結論から申し上げますと、履歴書を鉛筆やシャープペンシルで作成することは、ビジネスマナーとして絶対に認められません。最大の理由は、鉛筆やシャープペンシルで書かれた文字は「簡単に消すことができる」ためです。容易に修正・改ざんが可能な筆記具で作成された書類は、公的な文書としての信頼性を著しく欠きます。また、配送中や確認の際に文字が擦れて不鮮明になり、読みにくくなる恐れもあります。
応募者の信頼性への影響
鉛筆書きの履歴書を提出することは、採用担当者に対して「正式な書類であるという認識が欠けている」「ビジネスマナーを知らない」「入社意欲が低い」といった、極めてマイナスの印象を与えてしまいます。どれほど素晴らしい経歴や熱意が書かれていたとしても、その筆記具の選択一つで、選考の土俵に上がることすら難しくなる可能性があります。
消せるボールペンも同様に不適切
鉛筆やシャープペンシルと同様の理由から、近年普及している「消せるボールペン」(フリクションペンなど)の使用も、履歴書には絶対に適していません。これらもまた、摩擦熱などで文字が消えてしまう可能性があり、長期保存が求められる公的文書への使用は認められていません。
手書きの場合に推奨される筆記具
手書きで履歴書を作成する際に使用すべき筆記具は、「黒のボールペン」または「黒のゲルインクペン」です。万年筆もマナーとしては間違いではありませんが、インクが乾くのに時間がかかったり、紙質によってにじんだりする可能性があるため、一般的にはボールペンが最も無難で推奨されます。インクがかすれたり、ダマになったりしない、良質なペンを選びましょう。
パソコン作成という現代の選択肢
筆記具の選択や、書き損じのリスクを避けたい場合、現代の転職活動ではパソコンで履歴書を作成(打ち込み)することが主流であり、多くの企業で推奨されています。パソコンで作成すれば、文字の読みやすさが保証され、修正も容易です。応募先企業から特に手書きの指定がない限り、パソコンで作成し、それを印刷して提出するのが最も確実で効率的な方法と言えます。
下書きとしての鉛筆の唯一の用途
鉛筆が履歴書作成において全く無用というわけではありません。手書きで作成する際、ボールペンでの書き損じをなくすために、あらかじめ鉛筆で薄く下書きをすることは有効な手段です。その場合、ボールペンでの清書が完了し、インクが完全に乾いたことを確認してから、消しゴムで下書きの線をきれいに、かつ丁寧に消し去る必要があります。
筆記具の選択が応募者の評価につながる
履歴書において、鉛筆書きは絶対に避けるべきマナー違反です。筆記具の選択という細部にまで気を配ることが、ご自身の誠実さや、仕事に対する真摯な姿勢を伝えることにつながります。採用担当者にマイナスの印象を与えないよう、適切な筆記具を選び、丁寧な書類作成を心がけましょう。





