履歴書における「異動」の正しい書き方。社内異動を効果的に伝える方法
転職活動で使用する履歴書を作成する際、同じ会社に在籍中に部署や勤務地が変わる「社内異動」を経験した場合、その書き方に迷うことがあるかもしれません。社内異動は、応募者の多様な経験、適応能力、そして会社から寄せられた信頼を示す重要なキャリア情報です。特に、異動先の業務が応募先の職務内容と関連している場合は、強力なアピール材料となります。ここでは、履歴書の職歴欄に社内異動を正しく、かつ効果的に記載する方法について解説いたします。
履歴書に社内異動を記載する必要性
まず、社内異動は履歴書に記載すべきかどうかですが、原則として記載することが推奨されます。たとえ短期間の所属であっても、どのような部署でどのような役割を担ってきたのかを正確に示すことは、ご自身のキャリアの全体像を採用担当者に理解してもらうために重要です。異動の事実を省略してしまうと、職務経歴書との整合性が取れなくなったり、ご自身の持つ経験の幅を十分に伝えきれなかったりする可能性があります。
職歴欄への基本的な記載ルール
社内異動は、あくまで一つの会社内での出来事です。したがって、転職とは異なり、職歴欄に新しい会社として書き起こすことはしません。まず「〇〇年〇月 株式会社〇〇 入社」と記載したら、その会社に在籍している期間中の出来事として、時系列に沿って異動の事実を書き加えていくのが基本的なルールです。
異動の具体的な書き方
職歴欄に異動を記載する際は、「異動した年月日」と「異動先の部署名」を明記します。入社から一段落とし、異動した年月を左側に記入し、続けて「〇〇部へ異動」や「〇〇支店に配属」といった形で簡潔に記載します。どの部署「から」異動したかまでを詳細に書く必要はなく、異動後の所属が分かれば問題ありません。
部署名と職務内容の補足
採用担当者が応募者の経験をより具体的にイメージできるよう、異動先の部署名だけでなく、可能であればそこでどのような業務に従事していたのかを一行程度で簡潔に補足すると、履歴書はさらに分かりやすくなります。例えば、「〇〇年〇月 営業企画部へ異動。新規事業の企画立案業務に従事」といった形です。ただし、履歴書のスペースは限られているため、詳細は職務経歴書で説明することとし、履歴書では部署名までの記載でも構いません。
複数の異動がある場合の記載方法
同じ会社内で複数回の異動を経験している場合も、心配する必要はありません。すべてを時系列に沿って、発生した順に記載していきます。「入社」→「異動(一回目)」→「異動(二回目)」→「退職(または現在に至る)」というキャリアの流れが、採用担当者にとって一目で明確に分かるように整理することが大切です。
異動経験がアピールとなる理由
社内異動の経歴は、単なる配置転換の記録ではなく、応募者の強みをアピールする材料となります。異なる部署や業務への対応を求められた経験は、ご自身の「適応力」や「柔軟性」の証明となります。また、会社が応募者に異なる役割を任せたということは、それだけ多様な能力を評価されていた、あるいは信頼されていた証左とも受け取れます。
「出向」や「転籍」との違いに注意
「異動」と混同しやすい言葉に「出向」や「転籍」があります。「出向」は、元の会社に在籍したまま、グループ会社など別の会社で勤務することです。この場合は「〇〇株式会社へ出向」と明記します。「転籍」は、元の会社との雇用契約を解消し、別の会社と新たに雇用契約を結ぶことです。これは実質的な転職にあたります。社内での部署変更である「異動」とは明確に区別して記載する必要があります。
まとめ。正確な経歴で経験の幅を示す
履歴書における社内異動の記載は、ご自身のキャリアの幅と深さを示すための重要な情報です。省略することなく、正確な年月日と部署名を時系列に沿って分かりやすく記載することが基本です。採用担当者にご自身の多角的な経験と適応力を正しく伝えるために、丁寧な記載を心がけましょう。





